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猫の歯肉炎でステロイドを使う理由は?|猫の歯肉炎の治療について

2024.08.31

猫の歯肉炎でステロイドを使う理由は?|猫の歯肉炎の治療について

注射を打たれる猫

皆さんは猫の歯肉炎の治療についてどのくらいご存知ですか?
猫では比較的歯肉炎を発症することが多く、動物病院ではよく相談を受けます。
猫の歯肉炎の治療で、ステロイドという薬が処方されることがあります。
お家の猫が歯肉炎と診断されて、ステロイドという薬を処方されて、
「ステロイドってどういう薬かよくわからない」
「副作用が多くてなんだか怖い」
など、服用中何に気をつければいいかわからず、困った方も多いのではないでしょうか。

今回は、猫の歯肉炎について、特にステロイド治療について詳しくご説明します。

 📍 目次

 ▼ 猫の歯肉炎とは
 ▼ ステロイドについて
 ▼ ステロイド治療を上手く行うには
 ▼ まとめ

猫の歯肉炎とは

猫の歯肉炎とは、人間でいうところの口内炎のように、口の中や喉の奥の粘膜に炎症を起こしている状態を表します。
見た目には、粘膜部分が赤く変化し、ひどいケースでは苺ゼリーのように潰瘍ができることもあり、痛みを伴います。
猫は病気を隠すことも多いため、ご家族が気づかれないうちに、猫が痛みと闘っているというケースもあります。

症状

猫の歯肉炎では、

  • 口内の粘膜に腫れや出血が出る
  • 口臭が強くなる
  • くしゃみや鼻水が出る
  • 涙の量が増えたり、目やにが出たりする
  • 痛みで元気食欲がなくなる

といった症状が出ます。
ご家庭で気づいて病院に来られる方もいれば、健康診断の時に獣医師に指摘されて初めてはっきりすることもあります。

治療

猫の歯肉炎の治療には、外科治療と内科治療があります。

外科治療は、根本的な治療としてとても有効です。
具体的には、全身麻酔をかけて抜歯を行います。
ひどい炎症の起こっている歯のみを抜歯するケースもあれば、全ての歯を抜かなければ歯肉炎が改善しないケースもあります。
しかし外科治療は負担が大きいため、炎症がひどく内科治療が効かない場合や何度も再発する場合に選択されたり、段階的に行うこともあります。

内科治療では、炎症を止める作用のあるステロイドが使われることがあり、痛みがひどい場合には効果的です。
原因によっては抗ウイルス薬、抗生剤も併用することがあります。
内科治療は有効なことも多いですが、根本的な治療ではないことに注意が必要です。

あくびをする猫

ステロイドについて

ステロイドという薬を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
ステロイドは人の医療でも古くからよく使われる知名度の高い薬の一つですが、実は動物でもよく使用されます。
猫の歯肉炎の治療でも、抗炎症剤として使われることもあるためステロイドについてここで詳しくご説明します。

ステロイドってどんな薬?

ステロイドとは、副腎という臓器から分泌されるホルモンの一つです。それと似た物質を人工的に合成したものが、普段我々が使用している薬です。
体内で作られたステロイドは体のいろいろな部位に作用して、健康を維持するのに役立っています。
その作用の一部を強化することを目的としてステロイドは使用されます。

主な作用

ステロイドにはいくつかの作用がありますが、最も一般的なものは、炎症を抑える作用です。
動物はさまざまな要因で炎症を起こし、それによりかゆみや腫れなどの症状が出ます。
ステロイドは、原因によらず起こってしまった炎症反応を抑える薬です。
猫の歯肉炎でステロイドが有効なのは、ステロイドの抗炎症作用によるものです。

主な副作用

ステロイドは獣医療において欠かせない薬ですが、副作用が多岐にわたることも有名です。副作用を恐れるあまり、猫に服用させたくないと考える方も多いのではないでしょうか。
ステロイドの副作用には様々なものがありますが、猫にとって特に重要な2つの副作用についてそれぞれご説明します。

免疫力の低下

ステロイドの副作用で最も危険と言われているのが、免疫力の低下です。
炎症は体が感染と戦うのに必要なものです。体に感染がある時にステロイドで炎症を抑えると、感染に対して無防備な状態になり、細菌やウイルスに侵されるがままになってしまいます。
そのため、ステロイドを使用するときは、感染症がないか調べたり、抗菌薬や抗ウイルス薬を併用したりします。

糖尿病

高齢の猫で1番恐ろしいステロイドの副作用は糖尿病の発症リスクが高くなることです。
ステロイドには、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌を抑えたり、働きを妨げる作用があります。糖尿病になると、水を飲む量が増えたり、薄い尿が大量に出るようになります。
他にも、食事量が増えるのにどんどん痩せて行ったり、重症になると命に関わることもあります。
糖尿病と診断されたら、インスリンを毎日注射する治療をしなければなりません。

 

ステロイド治療を上手く行うには

効果も広く期待できるステロイドですが、その分副作用もさまざまあることがお分かりいただけたでしょうか。
ステロイドを使うときは以下のことに気をつけましょう。

漫然と使わない

ステロイドは高用量で長期間使用すると副作用が出る可能性が高くなってしまうので、ある程度の効果が得られたら、用量を減らしたり、他の治療や薬に移行していくことが推奨されています。

副作用の症状に気をつける

副作用の症状が出るようなら獣医師と相談することも重要です。
ステロイドの副作用は短期的な使用でも発生するので、投薬を終了した時にその症状も改善するようなら良いですが、終了後も症状が続く場合や、症状がひどい場合は要注意です。
ステロイド服用中は、副作用が出るかもと思いながら注意深く猫の様子を観察し、どれくらいの期間続いているのか、程度なども詳しく記録しておくと良いでしょう。

定期的に検診を受ける

注意深く様子を観察していても、猫は体の異常を隠すことも多いです。
ステロイドにより脱水傾向になっていても、生活環境によって水を飲めなかったり、トイレに行かなかったりする猫もいます。
目に見えた変化がなくても、止むを得ず長期でステロイドを使用する場合は特に、健康診断を行うことが推奨されています。取り返しのつかない状態になる前に異常に気づいてあげられるかもしれません。

獣医師に口の中を見られる猫

 

まとめ

今回は猫の歯肉炎の治療で、特に使用頻度の高いステロイドについて詳しくご説明しました。
ステロイドは怖い薬だという認識で、使用を忌避するのではなく、副作用の症状に気をつけながら、注意深く使用することが重要です。
おうちの猫が歯肉炎になってステロイドを使用する場合は、獣医師とご家族で一緒に治療計画を立てて、しっかり観察しながら使用していきましょう。

 

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