猫の口腔内線維肉腫ってどんな病気?|症状や治療について解説
猫の口の中には腫瘍ができることがあります。
口のにおいが変わる、できものが見えているなどで飼い主様が気づくことが多いです。
しかし、動物病院での健康診断で発見されることもあります。
猫の口にできる腫瘍で最も多いものは扁平上皮癌ですが、2番目に多いのが線維肉腫です。
「口の中に線維肉腫ができた時の症状は?」
「猫の口腔内線維肉腫の治療法はあるの?」
「口の中に線維肉腫ができたら、どれくらい生きられるの?」
このような疑問や心配事もあるかと思います。
今回は猫の口にできる線維肉腫について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、猫の線維肉腫について理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ 線維肉腫とは |
線維肉腫とは
線維肉腫とは軟部組織に発生する悪性腫瘍の一種です。皮下組織や筋肉などさまざまな部位に発生します。
線維肉腫は線維芽細胞から発生するとされています。線維芽細胞は体の多くの場所に存在し、さまざまな器官や組織の構造を支え、それらを結びつける役割を果たしていますね。
猫の線維肉腫はワクチン接種部位に発生することがあり、「ワクチン関連肉腫」として知られています。
局所的に非常に浸潤性が高く、周りの組織に広がりやすいという特徴があります。
猫の口にできる線維肉腫について
猫の口腔内に発生する線維肉腫は、口腔内腫瘍の中で扁平上皮癌に次いで2番目に多い悪性腫瘍です。歯肉や口唇に発生し、口先にできやすいです。
線維肉腫は局所浸潤性が強く、周囲の組織に深く侵入する傾向があります。そのため、完全な外科的切除が困難とされています。
手術で取り切ったとしても再発率が高いということですね。一方で、リンパ節や他の臓器への転移は比較的まれという報告があります。
猫の口腔内線維肉腫の症状
猫の口にできる線維肉腫は、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。以下は、飼い主様が注意すべき主な症状です。
- 口腔内の硬いしこりや腫れ
- よだれ
- 口からの出血
- 口臭の悪化
- 食欲不振や食べ方の変化
- 顔面の腫脹
- 食べ物や水を飲み込みにくくなる
- 前足で口を気にする動作の増加
これらの症状は腫瘍の大きさ、位置、進行度によって異なる場合があります。また、症状が口内炎や歯周病と似ている場合もあるため、異常に気づいたら速やかに獣医師の診察を受けることが重要です。
口の中にできる線維肉腫の検査
猫の口腔内線維肉腫の検査は、いくつかの検査を組み合わせて行います。
必要とされる検査法は以下の通りです。
- 口腔内の視診と触診
- 画像診断
レントゲン検査
腫瘍の骨への浸潤や肺転移の確認をします。
CT検査
腫瘍の範囲と周囲組織への浸潤の評価が可能です。 - MRI検査
軟部組織の詳細な評価ができます。 - 生検と病理組織検査
- 針生検または切開生検による組織採取
採取した細胞や組織を顕微鏡で観察し、腫瘍の悪性度などを判定します。 - 免疫組織化学検査
腫瘍細胞の特性や起源の詳細な分析をします。
これらの検査から総合的に判断して、腫瘍の性質、進行度、および最適な治療方針を決定します。早期発見と正確な診断が、効果的な治療と良好な予後につながる重要な要素となります。
猫の口にできる線維肉腫の治療
腫瘍というと抗がん剤などの化学療法を思い浮かべる飼い主様も多いと思います。
しかし、線維肉腫に対する化学療法の有効性は低いとされています。
猫の口腔内線維肉腫に対する有効な治療は以下の通りです。
- 外科手術
猫の線維肉腫は外科的切除が第一選択となります。線維肉腫は局所浸潤性が強く、再発率が高いため、腫瘍から1cm以上の正常な組織も含め、広範囲に切除することが重要です。腫瘍が顎の骨に浸潤している場合は、骨の一部も切除します。 - 放射線療法
線維肉腫は放射線抵抗性があるため、放射線療法単独での効果は期待できません。しかし、外科的切除と併用することで再発防止に有効とされています。
線維肉腫は転移率は低いですが、局所での浸潤性が高く、周囲の組織へ広がりやすいです。外科手術などで腫瘍を取り除くことが重要ですね。しかし、口の中は広範囲の切除が難しいため、腫瘍が大きくなってからだと完全切除が困難になります。腫瘍を確実に取り除くためには早期発見・早期治療が重要です。
日頃から猫とのスキンシップを大切にし、ちょっとした異変に気がつけるようにしましょう。
まとめ
猫の口にできる線維肉腫は浸潤性が高く、悪性度が高い腫瘍です。
しかし、早期に発見し、外科手術で摘出できれば良好な予後が期待できます。
猫の体の異変を早めに感じ取ることが大切ですね。
当院では口腔内疾患の治療やデンタルケアに積極的に取り組んでいます。
猫の口の異常を見つけたらぜひ当院までご相談ください。
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