猫のカリシウイルス感染症とは|猫の歯内口内炎の原因の一つ
猫の口の中にはウイルス感染症によってひどい歯内炎や口内炎ができることがあります。
ご家族が猫がごはんを食べている際に
「ドライフードをこぼしながら食べている!」
「なんだか口が痛そう!」
と気づく場合や、猫の食欲低下のために動物病院に来院された際に、獣医師が偶然口の中に口内に炎症を見つけることもあります。
猫の歯肉口内炎の原因の一つに、カリシウイルス感染症があります。
「うちの猫はワクチンを打ってるからカリシウイルスにはかからない?」
「カリシウイルスによる歯肉口内炎って完治するの?」
「新しい猫がもしカリシウイルスを持ってたら先住猫にうつったりするの?」
といった疑問や心配事もあるかと思います。
今回は猫の感染症カリシウイルスについて詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、猫のカリシウイルスについての理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ カリシウイルスとは |
カリシウイルスとは
猫のカリシウイルス感染症とは、「猫風邪」と呼ばれる感染症の一つです。猫風邪とは猫に風邪のような症状をおこす感染症の総称ですね。
カリシウイルスはくしゃみや鼻水といった猫風邪特有の症状の他、歯肉や口の中の炎症を引き起こすことが特徴的です。
また、カリシウイルスは猫のコアワクチン(3種混合ワクチン)で予防できる感染症の一つです。
コアワクチンとはすべての猫が接種すべきとされているワクチンのことですね。
カリシウイルスは、乾燥に強いウイルスのため、自然界で広く蔓延しています。
実際に猫では、同じ猫風邪ウイルスであるヘルペスウイルスよりも、カリシウイルスの方が5倍も感染していると言われているんです。
ではどのようにしてカリシウイルスに感染するのでしょうか。
カリシウイルスに感染している猫の口や鼻、結膜などの分泌物には、ウイルスが含まれます。
そのため感染している猫と食器やトイレ、おもちゃなどを共有したり、感染猫のくしゃみや涙などを浴びて他の猫も感染します。
感染すると少なくとも30日間、もしくは数年排出し続ける猫もいると言われています。
カリシウイルス感染症の症状
カリシウイルスは感染後、7〜10日症状が続きます。
カリシウイルス感染症の症状は、カリシウイルス株の種類や猫の年齢、飼育環境により、異なります。特にひどい口内炎が特徴的ですね。
以下は猫カリシウイルス感染症の主な症状です。
主な症状
カリシウイルス感染症の口の中の主な症状には
- 歯肉や口の中の粘膜のただれ
- 舌のただれ
- 口からの出血
- よだれ
- 元気や食欲の低下
などが挙げられます。
また口の症状以外には
- くしゃみや鼻水
- 発熱
- 結膜炎・目やに
- 肺炎(とくに幼猫)
- 関節炎(たまに)
などが挙げられます。
猫の口の痛みによる食欲の低下は、命に関わる他の病気を併発する可能性もあります。
猫がごはんを食べにくそうにしていたり、食欲がなくなっている場合には、お家でもできるだけ猫の口の中をチェックするようにしましょう。
カリシウイルス感染症の検査
カリシウイルス感染症の診断は、獣医師が下記の検査を組み合わせて行います。
主な検査
カリシウイルス感染症の主な検査には
- 身体検査
- 血液検査
- 病理検査
- RT-PCR検査
- 画像検査(レントゲン)
などが挙げられます。
歯肉炎や口内炎を示す病気には慢性腎臓病や免疫介在性疾患、扁平上皮癌などの癌もあります。
複数の検査を組み合わせないと、正確な診断や、他の病気を除外できるかが判断できません。
カリシウイルス感染症の治療
症状に対して治療を行っていきます。
以下はそれぞれの症状に対する主なカリシウイルスの治療です。
主な治療
カリシウイルス感染症による歯肉口内炎に対する内科治療には
- インターフェロン製剤
- 消炎鎮痛剤
- 食欲増進剤
- 抗生物質
などが挙げられます。
歯肉口内炎に対する外科治療には
- 全臼歯抜歯
- 全顎抜歯
などが挙げられます。
全顎抜歯で歯肉口内炎の90%が治癒すると言われています。
呼吸器の症状や全身状態の悪化がある場合などは
- ネブライザー
- 輸液治療
などを合わせて行います。
猫の現在の状態から獣医師とご家族が相談して最善な治療を行います。
カリシウイルス感染症を発症している猫の多くは、口が痛く、嗅覚が低下しています。
お家では硬いフードから柔らかいフードへ変更したり、冷たいフードを温めるなど、猫にとって食べやすいものを与えましょう。
カリシウイルスの予防とワクチン
一度カリシウイルスに感染しても、広く蔓延しているウイルスのため、何回も感染する可能性があります。
しかし、カリシウイルスにかかると、幼猫だけでなく成猫でもまれに重症化したり、他の病気を併発すると猫の体調が悪化したりします。
ワクチンは、ウイルスに感染することは防げませんが、発症しても重症化するリスクを低下させることができます。定期的にワクチン接種をして、猫の健康を守りましょう。
新しい猫を迎える時の注意点
新しい猫を迎えた時、ワクチンを打つまでは数週間は隔離をしましょう。
また猫によってお皿を変えたり、接触するご家族自身も消毒することが大切です。
カリシウイルスは乾燥した状態でも1ヶ月死なない強いものです。
消毒薬は次亜塩素酸ナトリウムを使いましょう。
まとめ
猫のカリシウイルス感染症は症状も軽く、数日で回復する場合も多い感染症ですが、甘く見てはいけません。
カリシウイルスは慢性的な歯肉口内炎に関係していることが多いです。
歯肉口内炎は口が痛くて食欲がなくなるなど、猫のQOLを大きく低下させるでしょう。
猫の食欲の低下は命に関わるような他の病気も引き起こす可能性もあります。
猫のカリシウイルスの多くは、ワクチンで重症化を防ぐことができます。
猫の口の中の異常やワクチン接種は当院にご相談ください。
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