歯が全部ない猫はどうなる?|猫の歯が抜ける原因と口内炎の治療法を解説
「猫の歯が抜けてしまったけど大丈夫なの?」
「口内炎がひどくて、歯を全部抜くしかないと言われた」
「猫は歯がなくても、ご飯は食べれるの?」
このような悩みを持つ猫の飼い主様は多いと思います。
猫の歯がなくなってしまうことは、飼い主様にとって大きな不安と心配が伴うことでしょう。
この記事では猫の歯が抜けてしまう原因や、口内炎で歯を抜いても大丈夫かについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、猫のお口の健康維持にお役立てください。
📍 目次 ▼ なぜ猫の歯は抜けてしまうの? |
なぜ猫の歯は抜けてしまうの?
猫も人と同様に、乳歯から永久歯への生え替わりがあり、乳歯が抜けることは問題ではありません。
しかし、成長期以降に何らかの症状を伴い、歯が抜ける場合は以下のような原因が考えられます。
歯周病
歯周病は歯垢(プラーク)の中で細菌が繁殖し、歯肉に炎症を起こす病気です。
猫は歯周病になると、次のような症状が見られます。
- 口臭の悪化
- よだれが増える
- 歯肉の腫れや赤み
さらに進行すると口の痛みにより食欲が低下したり、歯がぐらついて抜けてしまうこともあります。
歯周病を予防するには、日々のデンタルケアが重要ですね。
歯頸部吸収病巣
猫の歯頸部吸収病巣は破歯細胞性吸収病巣とも呼ばれる猫特有の疾患で、破歯細胞(歯を壊す働きをもつ細胞)が永久歯を溶かしてしまう病気です。
通常は歯と歯茎の境目の歯頸部から吸収が始まり、歯根部まで進行します。
歯の吸収が進むと、歯が欠けたり、神経や血管が露出して痛みを伴うことがあります。
猫の歯頸部吸収病巣の主な症状は以下の通りです。
- 食欲の低下や食べ方の変化
- よだれが増える
- 歯の欠損や脆弱化
猫の歯頸部吸収病巣の根本的な原因はまだ解明されておらず、予防策も確立されていませんが、早期の診断と適切な治療が重要です。
口腔内腫瘍
猫の歯が抜ける原因として、腫瘍が関与することがあります。口腔内の腫瘍が発生すると、歯を支えている骨や歯肉に影響を与え、歯が抜けることがあります。腫瘍が進行すると、口腔内の構造が破壊されることがあるため、早期の診断と治療が重要です。
口腔内の腫瘍は
- 口の痛みや出血
- 口臭の悪化
- 食欲不振
などの症状を引き起こし、進行すると顔の形が変わることもあります。
上記のように猫の歯が抜ける場合は適切な治療が必要になるので、早めに動物病院を受診しましょう。
猫の歯を抜く治療について
猫の口内炎が深刻な場合は全ての歯を抜歯することがあります。
ここでは猫の口内炎の症状や治療法などについて解説していきます。
猫の口内炎とは?
猫の口内炎とは口腔の内側を覆っている粘膜に炎症を起こす病気です。
口内炎は歯肉だけでなく、舌や扁桃などにも炎症を起こすことがあります。
口内炎の症状
猫の口内炎の症状は
- 口の痛み
- よだれ
- 口臭の悪化
- 出血
などが挙げられます。症状が悪化すると食欲低下や体重の減少などが見られます。
猫の口内炎は口の痛みにより全身状態が悪化することが多いので注意が必要です。
猫の口内炎の原因
猫の口内炎の原因は多岐に渡りますが、主に以下のような要因が挙げられます。
- ウイルス感染
猫カリシウイルスや猫白血病ウイルスなどのウイルス感染が口内炎の原因になることがあります。 - 細菌感染
パスツレラ菌などの口腔内の細菌が口内炎に関与することもあります。 - 免疫反応
口腔内微生物に対する過剰な免疫反応が炎症を引き起こします。
猫の口内炎は上記のような要因が複合的に作用し、発症するとされていますね。
猫の口内炎の治療
猫の口内炎の治療には外科治療と内科治療があります。
内科治療
猫の口内炎の内科治療には以下のような薬が使用されます。
- 抗生物質
細菌感染を抑えるために使用されますが、口内炎の完治にはつながらないことが多いです。 - ステロイド薬
炎症を抑えるために使用されますが、長期使用には副作用のリスクがあります。 - 免疫抑制剤
免疫反応を抑えるために使用され、炎症を軽減する効果があります。 - 痛み止め
痛みを和らげるために使用され、猫が食事を取りやすくするのに役立ちます。
内科治療は口内炎の症状を一時的に改善することがあるものの、根本的な治療にはならないことが多く、外科治療が必要なこともあります。
外科治療
猫の口内炎の外科治療としては、主に抜歯が行われます。
抜歯には以下のような方法があります。
- 全臼歯抜歯
猫の口内炎の標準的な治療です。すべての奥歯を抜歯することで、口腔内の微生物を可能なかぎり除去し、炎症を抑えることを目的としています。 - 全抜歯
症状が重い場合や全臼歯抜歯で効果が見られない場合に、すべての歯を抜歯することもあります。炎症の原因となる歯を完全に取り除くことで、症状の改善を図ります。
- 部分的な抜歯
猫の状態や年齢によっては、全抜歯が難しい場合もあるため、短時間の麻酔での歯石除去や部分的な抜歯が選択されることもあります。
外科治療は、口内炎の症状を大幅に改善する可能性がありますが、早期に行っても5〜10%の症例で改善が見られないこともあります。猫の口内炎の治療方法の選択には慎重な判断が必要です。
猫は歯が全部なくても大丈夫?
「猫の歯を全部抜いてしまって大丈夫なの?」
このように抜歯後の猫の生活を心配される飼い主様も多いと思います。
猫は歯がすべてなくなっても、通常の生活を送ることが可能です。猫の歯の主な役割は食べ物を飲み込めるサイズにすることであり、狩りをする必要がない家庭猫の場合、歯がなくても問題なく食事をすることができます。歯がなくてもドライフードを丸呑みする猫も多く、抜歯によって痛みから解放され、食欲が向上することもあります。
歯が全部ない猫のケアは?
猫の歯がすべてなくなった場合でも、適切なケアをすることで健康的な生活を送ることができます。
歯がない猫のケアには、以下のようなことに気をつけましょう。
- 食事の調整
歯がない猫には、柔らかい食事が適しています。ウェットフードや水でふやかしたドライフードを与えると、食べやすくなります。 - 口腔内のチェック
定期的に口腔内をチェックし、異常がないか確認します。口臭や口内の赤み、出血などがないかを観察します。 - 定期的な動物病院での検診
年に1回は動物病院で口腔内の検診を受けることをおすすめします。口腔内の健康状態を確認し、必要に応じてケアを行います。 - 口腔内の清潔を保つ
歯がなくても、口腔内を清潔に保つことが重要です。ガーゼや専用のデンタルケア用品を使って、口の中を優しく拭くことで、細菌の繁殖を防ぎます。
これらのケアを行うことで、歯がない猫でも快適に生活を続けることができます。
まとめ
猫は歯が全部なくなっても、適切なケアと管理により快適な生活を送ることが可能です。
しかし、可能なかぎり歯の健康を維持し、歯を残してあげることが理想的です。
日頃からの予防と早期発見・早期治療が猫の口腔内の健康を守るカギとなります。
猫の健康と幸せのために、定期的なデンタルケアを習慣づけ、少しでも異常を感じたら迷わず当院までご相談ください。
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