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犬の縫合糸反応性肉芽腫とは|手術後に縫合糸が原因で皮膚が腫れる病気

2024.09.13

犬の縫合糸反応性肉芽腫とは|手術後に縫合糸が原因で皮膚が腫れる病気

 

犬に去勢手術や避妊手術などを受けさせたことがある飼い主様は多いのではないでしょうか?
手術の際には血管や組織からの出血を防ぐために、糸で縛ることがあります。
手術で使用する糸のことを「縫合糸」と言います。
手術で使用した縫合糸は時間経過とともに、体に吸収されるのが一般的です。
しかし、縫合糸反応性肉芽腫といって、縫合糸が異物と認識され、体が強い炎症反応を起こすことがあります。

今回は犬の縫合糸反応性肉芽腫について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の縫合糸反応性肉芽腫について理解を深めましょう。

 📍 目次

 ▼ 犬の縫合糸反応性肉芽腫とは
 ▼ 縫合糸反応性肉芽腫の特徴
 ▼ 犬の縫合糸反応性肉芽腫の症状
 ▼ 縫合糸反応性肉芽腫の診断
 ▼ 犬の縫合糸反応性肉芽腫の治療
 ▼ 縫合糸反応性肉芽腫は予防できるの?
 ▼ まとめ

 

犬の縫合糸反応性肉芽腫とは

「犬の縫合糸反応性肉芽腫って何?」
このように思われる方も多いと思います。
手術の際に使用した縫合糸に対して犬の体が過剰な反応を起こすことがあり、これを縫合糸反応性肉芽腫と言います。
縫合糸の周囲に炎症細胞が集まった肉芽組織を形成する病気ですね。

縫合糸反応性肉芽腫は強い炎症反応によりさまざまな問題を引き起こします。

 

縫合糸反応性肉芽腫の特徴

縫合糸反応性肉芽腫の原因は、手術で使用された縫合糸に対する過剰な免疫反応によって引き起こされます。
特に絹糸を使用した時に起きやすいとされていますが、他の種類の縫合糸でも発症することがあります。
縫合糸に雑菌が付着していた場合は、発症しやすいと言われていますね。
縫合糸反応性肉芽腫はミニチュアダックスフンドに多いとされているので注意が必要です。
手術後、数ヶ月で発症することが多いですが、中には数年経ってから手術部位が腫れたり、しこりができることもあります。
皮膚に腫瘍ができたと思ったら、縫合糸反応性肉芽腫だったということもあります。

 

犬の縫合糸反応性肉芽腫の症状

犬の縫合糸反応性肉芽腫の症状は発生部位や炎症の程度によってさまざまです。

全身症状

体が強い炎症反応を起こすことで、

  • 発熱
  • 痛み
  • 食欲不振

などを起こします。全身状態の悪化が見られる場合は要注意です。

局所症状

縫合糸反応性肉芽腫が発生した部位では、以下のような症状が見られます。

  • 手術部位付近の皮膚や皮下組織の腫れや赤み
  • 手術部位からの漿液や膿の漏出
  • 皮膚の潰瘍形成

皮膚の腫れや赤みなどは他の皮膚病と勘違いされることも多いですね。

縫合糸反応性肉芽腫は数ヶ月から数年の時間をかけて徐々に大きくなることがあり、症状が明確でないこともあります。
しかし、お腹の中で内臓を巻き込んで発生した場合は症状が重篤になります。

縫合糸反応性肉芽腫の診断

過去に手術を行った部位の皮膚に腫れなどを見つけた場合は、縫合糸反応性肉芽腫を疑いましょう。
縫合糸反応性肉芽腫の診断には、画像検査が有用です。
特にエコー検査やCT検査で病変の大きさや部位、周囲組織への影響を評価します。
これらの検査は治療を行う際の重要な判断材料になりますね。
また、血液検査では体の炎症反応に伴い、炎症マーカーの上昇が見られることもあります。

 

犬の縫合糸反応性肉芽腫の治療

犬の縫合糸反応性肉芽腫の治療には、外科治療と内科治療の2つのアプローチがあります。

外科治療

縫合糸反応性肉芽腫のもっとも効果的な治療法は、肉芽腫と残存する縫合糸を外科的に摘出することです。
これにより、根本的な原因を取り除くことができます。
ただし、手術が困難な場合や、肉芽腫が重要な臓器を巻き込んでいる場合には、手術がリスクを伴うことがあります。

内科治療

手術が難しい場合や全身状態が悪く手術に耐えられない場合は内科治療が行われることもあります。
内科治療ではステロイドや免疫抑制剤を用いて炎症反応を抑えます。
ただし、原因になっている縫合糸は体内に残ったままなので、根本的な解決にはならないことが多いです。

縫合糸反応性肉芽腫は予後が必ずしも良好とは限らず、手術で完全に摘出しても無菌性皮下脂肪織炎といった炎症反応が継続する場合があります。
手術だけで治療が終わらない場合があるということですね。

 

縫合糸反応性肉芽腫は予防できるの?

「縫合糸反応性肉芽腫の発症する確率を減らす方法はあるの?」
このような疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。
縫合糸反応性肉芽腫を予防するためには、以下のような対策が有効です。

体内に縫合糸を極力残さない手術の実施

体内に縫合糸を残さないことが、縫合糸反応性肉芽腫の発症を防ぐ確実な方法です。
超音波切開凝固システムや電気メスなどの専用の機械を用いて、縫合糸を使わずに血管や組織を凝固・切開する手術方法が推奨されています。

吸収性の縫合糸の使用

体内に縫合糸を残さざるを得ない場合は、体内で溶ける吸収性の縫合糸を使用することで、縫合糸反応性肉芽腫の発症リスクを下げることができます。
非吸収性の絹糸は縫合糸反応性肉芽腫の発症リスクが高いため注意しましょう。

縫合糸の使用を最小限に抑え、やむを得ず使用する場合は吸収性の縫合糸を選択することが、縫合糸反応性肉芽腫の予防につながります。
ただし、体質的な要因もあるため完全に予防することは難しく、術後も注意深く経過を観察する必要があります。

 

まとめ

犬の縫合糸反応性肉芽腫はまれな病気ですが、発症すると治療に時間がかかる厄介な病気です。
手術から時間が経ってから発症することもあるので注意しましょう。
縫合糸反応性肉芽腫は適切に診断し、治療を行えば完治を目指せます。
初期症状は他の皮膚疾患と似ていることもあるので、皮膚の異変を感じたらすみやかに動物病院を受診しましょう。

当院では皮膚科の診療に積極的に取り組んでいます。
犬の皮膚トラブルにお困りの方はいつでもご相談ください。

 

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