ノミによる犬のアレルギーとは?|ノミの通年予防のススメ
「犬のノミ予防をしてるけど、ノミってどんな悪さをするの?」
「うちの犬は散歩に行かないからノミは関係ない」
犬のご家族であれば一度はそのように考えたことがあるのではないでしょうか。
実は犬はノミによってアレルギー性皮膚炎を起こすことがあります。
そこで今回は犬のノミアレルギー性皮膚炎について詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬のノミアレルギー性皮膚炎についての理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ 犬に感染するノミの特徴とは |
犬に感染するノミの特徴とは
ノミには、イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミなど多くの種類があります。
イヌノミ、ネコノミという名前がついていますが、実際は、イヌノミが「犬にのみ」に寄生するわけではありません。
ノミはその種類を問わず様々な動物に寄生します。例えば、犬に寄生する大半はネコノミであることが知られています。
ではノミはどのように犬に感染するのでしょうか。
ノミが犬に感染する経路には
- 環境中にいるノミが感染する
- 他の犬や猫、人からノミが感染する
が挙げられます。
ノミは暖かく、湿気を好む性質があります。ノミがよくいる場所には、草むらや縁の下、庭などが挙げられます。また梅雨から秋にかけて活発に活動します。
そのような時期にノミが生息しやすい場所への散歩のほか、動物病院、ドッグランなどの不特定多数の動物が集まる施設を利用すると、感染するリスクが高まるんですね。
「〇〇に行った後から、急に犬がかゆがりだした!」などイベントの後に急な発症をおこす場合にはノミの感染の疑いがあります。
犬のノミアレルギー性皮膚炎の症状
ノミは犬に対してどのように悪さをするのでしょうか。
ノミが引き起こす病気には
- ノミ刺症
- ノミアレルギー性皮膚炎
- ノミが吸血することによる貧血
- ノミが媒介する寄生虫感染症
が挙げられます。
ノミ刺症とは、ノミが皮膚の中の血管から血を吸うときに、皮膚が障害を受け、皮膚に炎症が起きる状態のことです。
一方でノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが犬の皮膚を吸血した時に、同時に唾液を皮膚の中に注入します。唾液の成分にはアレルゲンが含まれているため、犬の皮膚にアレルギー反応を起こします。
症状がでる場所は、背中と腰のあたりに多いです。そのほか、首や尻尾、お腹、顔などにも症状が出ることもあります。体の左右対称に症状が出ることが特徴的です。
犬のノミアレルギーの主な皮膚の症状には
- 重度で激しい痒み
- 赤み
- 発疹
- かさぶた
- えぐれ
- 脱毛
などが挙げられます。
多くは5歳未満で初めて症状が現れます。若い頃にノミの感染がなければ、中高齢になってから急に症状が出ることもあります。
このような症状を放置してしまうと皮膚を掻きこわしてしまい、他の感染症を引き起こしてしまう可能性があります。
また、ノミは犬から人へも感染し、かゆみや皮膚炎を起こします。犬や自分自身を守るためにも、すぐに動物病院に相談しましょう。
犬のノミアレルギー性皮膚炎の検査
ノミアレルギーの症状は、多くの皮膚の感染症やアレルギーにも起こります。
そのため、症状からノミが原因のアレルギーであるとなかなか判断しにくいです。
原因をみつける上で大切なのは、犬の被毛にノミ自体やノミの糞がついてないか探すことです。
ノミ1匹に吸血されただけでも、ノミの唾液が皮膚の中に注入されれば、犬に広範囲のアレルギー性皮膚炎を引き起こします。
しかし、ノミ自体は小さいしすばしっこいので、なかなか見つけるのは難しいんですよね。
そこでノミがいた証拠であるノミの糞を探します。ノミ取り櫛で犬の被毛をといてノミ自体やその糞がついていないか探します。ノミの糞は黒くて小さくて、一見砂のように見えます。
ではノミの糞かどうか判別のにはどういった方法があるのでしょうか。
ノミの糞は水をかけると赤い液が染み出してきます。実はこの赤い液は犬から吸った血なんです。
また、ノミやノミの糞が検出されなくても、生活環境や予防状況からノミの感染が疑われる場合には、試験的に治療に進むこともあります。事前に生活環境や予防状況などの情報を獣医師に伝えておくと良いでしょう。
犬のノミアレルギー性皮膚炎の治療
ノミアレルギー性皮膚炎の治療には
- 犬についたノミの駆除
- アレルギーの治療
- 生活環境の改善
- 同居動物の治療
が挙げられます。
ノミアレルギーの治療は駆虫薬でノミを駆除することが基本となります。
原因であるノミをやっつけて症状の回復を待つという作戦です。
ノミ駆除剤には
- 経口薬
- スポット薬
- スプレー
などが挙げられます。
犬の生活スタイルや投与のしやすさからご家族と相談して駆除剤を選びます。
適切に治療すれば1〜2ヶ月ほどで完治します。
一部の駆除剤には犬にてんかん発作や運動・歩行障害などの副作用を起こしたという報告もあるので、使用して犬に異常があった場合はすぐに動物病院に相談しましょう。
また家でノミを落とすためのシャンプーをする時に、皮膚に掻きこわしのあとがある場合には、強い界面活性剤を配合したシャンプーは避けましょう。掻きこわした部分は油剤などで保護した方が良いですね。
またノミアレルギーに対する皮膚の痒みや炎症を抑えるために、数日間ステロイド剤などを使用する場合があります。ステロイドの使用で炎症が引き、症状が落ちつくことがありますが、ノミを駆除せずにステロイドを使うと、症状が悪化してしまいますので、必ず駆虫薬を使うことが大切です。
また、せっかく犬の治療をしても、家の中でノミが繁殖していると再び犬についてしまいます。
掃除機や部屋用のノミ駆除剤などを使って、部屋中のノミを駆除しておきましょう。
特に暗い場所を好むため、棚の下などはしっかりと掃除機をかけることをおすすめします。掃除機が届かない場所はノミ駆除に効くスプレーなども有効です。
同様に同居動物も感染し、互いにうつしあっている可能性があるので一緒に治療しておいたほうが良いかもしれません。
犬のノミアレルギー性皮膚炎の予防について
ノミアレルギー予防としてはノミと接触しないことが一番です。
定期的にノミアレルギーを発症してしまう場合にはノミの感染が疑われるような散歩ルートを避けたり、生活環境を見直す必要があるでしょう。
またノミ取り首輪やノミ取りシャンプーでは完全にノミの予防をすることはできないので注意が必要です。
近年では冬でもエアコンで部屋を暖かくできるため、ノミの繁殖には季節を問わなくなってきました。
そのため、ノミの予防は一年を通して定期的に行うことをおすすめします。
まとめ
犬のノミアレルギーは犬にひどい痒みをおこして、犬のQOLを下げてしまいます。
犬がノミアレルギーを何度も繰り返したりして、困っておられるご家族もいるかもしれません。
当院では皮膚科に力を入れています。
ノミアレルギーに対するアドバイスも行っていますので、お困りの方はいつでもご相談ください。
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