犬の歯周病は抗菌薬で治るのか?|犬の歯周病で抗菌薬を使う理由を解説
動物病院では犬の歯周病に対して抗菌薬を処方することがあります。
歯周病の犬を飼われている飼い主様の中には
「抗菌薬を処方されたけど何のために飲んでいるかわからない」
「飲ませる時に口が痛そうで薬を飲ませるモチベーションが上がらない」
などと悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は歯周病の犬に抗菌薬を飲ませる理由について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の歯周病に対して抗菌薬を飲ませることに対して正しく理解できるようになっていただけると嬉しいです。
📍 目次 ▼ 犬の歯周病の原因 |
犬の歯周病の原因
犬の歯周病は歯に歯垢(プラーク)が付着し、歯垢中の歯周病原菌が歯周囲の組織を破壊することによって起こります。
犬の歯垢は人間よりも早く歯石に変化するため、歯周病原菌が付着しやすく、歯周病が悪化しやすいと言われています。
歯周病の治療は、歯科処置を行うことで物理的に歯垢や歯石を歯周病原菌ごと除去することと、それ以上歯垢が付着しないように日頃から歯磨きなどのデンタルケアを行うことが重要と言われていますね。
抗菌薬の役割
普段から馴染みのある言葉である抗菌薬、この薬について正しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
抗菌薬は細菌を壊したり、増殖を抑制したりする薬です。
抗菌薬のうち細菌やカビなどの微生物から作られるものを抗生剤や抗生物質という呼び方をします。
抗菌薬は主に感染症に対して使われます。
漫然と抗菌薬使われると、抗菌薬に対して耐性を持った細菌が誕生してしまうため、必要十分な量と期間で使われることが推奨されています。
犬の歯周病は抗菌薬で治るのか?
犬の歯周病は歯垢中の歯周病原菌が歯周囲の組織を破壊することによって起こる疾患のため、感染症に分類されます。
ということは抗菌薬によって歯周病は治るのでしょうか?
その答えは「歯周病は抗菌薬の投与では治りません」です。
確かに歯垢、歯石の中の歯周病原菌に対しては薬は効きますが、歯垢や歯石が除去できるわけではないので、例え抗菌薬を投与しても歯周病原菌は発生し続けてしまいます。
そのため、歯周病に対する抗菌薬の効果はかなり限定的です。
また、歯周病原菌が発生し続ける中で抗菌薬を使用し続けると、抗菌薬に対して耐性を持った細菌が誕生してしまうため、漫然と使用し続けることはおすすめできません。
犬の歯周病に対する抗菌薬の役割
犬の歯周病は抗菌薬で治すことはできず、歯科処置を行うことが一番の治療です。
しかし、犬の歯周病では抗菌薬を使うことがあります。
歯周病に対する歯科処置では、歯周ポケットの歯垢や歯石を除去したり、抜歯したりします。
その際に細菌が血管に入り込み全身に波及し、感染症にかかってしまうことがあります。
感染症が重症化した時には敗血症という命に関わる状況になることもありますね。
抗菌薬はこのような事態を防ぐために使われます。
歯科処置の後に数日から数週間、歯周病の重症度に応じて抗菌薬を使うことが望ましいとされています。
抗菌薬は基本的に歯科処置の後に使用されますが、それ以外にも使用されることがあります。
何らかの原因で歯科処置を受けられない場合で歯周病の症状が看過できない時ですね。
例えば、高齢で重度な心臓病を持っている犬の場合は、全身麻酔をかけて歯科処置を行うことが困難です。
こういった犬で歯周病により口を痛がっていた場合は、苦肉の策で抗菌薬を投与することがあります。
原因となっている歯周病は治すことはできないけど、細菌感染による炎症が一時的に引くことで症状は緩和されます。
ただし、確実に再発をするということと、抗菌薬への耐性菌を生じるという点でリスクがあります。
歯科処置をせずに抗菌薬を投与するときはよく相談して決める必要がありますね。
まとめ
抗菌薬は歯周病の原因である細菌に対して確かに効果のある薬です。
しかし、耐性菌の発生という観点から漫然と抗菌薬を使うことは勧められません。
基本的には歯科処置の後に使う薬ですが、場合によってはそれ以外の時にも使うことがあります。
動物病院でよく相談した上で抗菌薬を使っていくか決めていきましょう。
当院では犬や猫の歯科疾患の治療に力を入れています。
歯周病やその他の歯科疾患でお悩みの方はいつでも当院にご相談ください。
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