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犬の腎臓病は歯周病の原因になる?|犬の口臭や口の痛みの原因は腎臓病かも

2024.08.07

「うちの犬、口が臭くなった気がする」
「歯磨きしてるのに、歯茎が赤い」
「最近、腎臓の数値が悪いって言われたけど関係あるの?」

このような不安をお持ちの飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
実は、犬の歯周病と慢性腎臓病(CKD)は、まったく別の病気のように思えて、意外と深く関係しているのです。

今回は、腎臓病が犬の口の中に与える影響、そして口臭や歯茎のトラブルとの関係について、わかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の口と腎臓を守るためにお役立ていただけると幸いです。

 📍 目次

 ▼ 犬の慢性腎臓病
 ▼ 犬の歯周病
 ▼ 慢性腎臓病から歯周病が引き起こされる理由
 ▼ 慢性腎臓病でも歯肉炎にならないようにする
 ▼ まとめ

犬の慢性腎臓病

水を飲む柴犬

犬の慢性腎臓病は腎臓の働きがゆっくりと低下していく病気です。
犬では加齢とともに発症することが多く、とくにシニア期の犬でよく見られる疾患です。
腎臓には、

 

  • 老廃物の排泄
  • 水分と電解質の調整
  • 血圧の維持

 

 

といった、生きていく上で欠かせない重要な役割があります。

しかし、慢性腎臓病になって腎機能が低下すると、徐々にこれらの役割が果たせなくなってしまいます。
腎臓の細胞は一度壊れると再生されにくく、じわじわと機能が失われていくのが慢性腎臓病の怖いところです。
代表的な初期症状には以下のようなものがあります。

 

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増える
  • 体重減少
  • 食欲の低下
  • 嘔吐や元気消失

 

 

こうした変化がゆっくり進行していくため、飼い主様が気づいた時にはすでに腎機能がかなり落ちているケースも少なくありません。

犬の歯周病

犬の歯周病は歯垢の中の歯周病原菌が原因となり、歯の周りの組織が破壊されてしまう疾患です。
歯周病になると

  • 歯肉の後退
  • 歯を支えている骨(歯槽骨)が溶ける
  • 歯がぐらつく
  • 歯の炎症によって痛みが出る

などの症状が出ます。
歯周病の発生は口腔内の環境の悪化によってさらに悪化すると言われています。

一見すると全く関係のなさそうな慢性腎臓病と歯周病にどのような関係があるのでしょうか?

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慢性腎臓病が歯周病を引き起こす?

「慢性腎臓病によって歯周病が引き起こされる可能性がある」と聞くと意外に思われるかもしれません。
犬が慢性腎臓病になると、口腔内の環境が変化し、歯周病のリスクが高まる可能性があります。
詳しく解説していきましょう。

口の中が乾燥しやすくなる

腎機能が低下すると、体内の水分調整がうまくできなくなり、体が脱水気味になります。
そのため、慢性腎臓病になった犬は唾液の分泌が減り、口の中も乾燥しやすい状態です。
歯周病の原因となる歯周病原菌は、潤った環境より乾燥した環境の方が増殖しやすいと言われています。
つまり慢性腎臓病によって脱水が起こり口の中が乾燥した結果、歯周病のリスクが高まるということですね。

免疫力の低下

慢性腎臓病が進行すると、体全体の免疫機能も落ちやすくなります。
免疫力が低下すると炎症を起こしやすくなるため、歯茎の炎症から歯周病へとつながる危険があります。

慢性腎臓病だと歯科処置ができない?

散歩中に水を飲む犬

歯周病が進行している場合、歯石除去(スケーリング)などの歯科処置が最も有効とされています。
歯科処置を行うと歯についた歯垢や歯石を歯周病原菌ごと除去することが可能です。
しかし、歯科処置を行うためには全身麻酔をかける必要があります。

健康な犬であっても、全身麻酔にはわずかながらのリスクがあります。
一般に健康な犬の全身麻酔による死亡割合は約0.17~0.65%です。

慢性腎臓病になると、健康な犬と比べて元々の全身の状態が悪いため、麻酔のリスクがさらに上がると言われています。
具体的には

  • 腎臓が麻酔薬の代謝・排出に関与している
  • 脱水により麻酔管理が難しくなる
  • 麻酔中の血圧低下が腎臓にダメージを与える可能性がある

といったリスクが考えられます。
そのため、慢性腎臓病の犬では、歯科処置を行うかどうかを慎重に判断する必要がありますね。

ただし、慢性腎臓病でも絶対に歯科処置ができないというわけではありません。
犬の状態によっては、腎機能をサポートしながら安全に処置ができる場合もあります。
麻酔のリスクをメリットが大きく上回る場合は、全身麻酔をかけて歯科処置を行うことも必要です。
慢性腎臓病の犬で歯科処置を行うかどうかは、動物病院でよく相談して判断しましょう。

慢性腎臓病でも歯肉炎にならないようにする

慢性腎臓病になると口腔内が乾燥し、歯周病原菌が増殖しやすくなります。
ただし、適切なケアを行えば慢性腎臓病であっても歯周病を予防することは可能です。
慢性腎臓病の時の歯肉炎の予防には以下のものがあります。

脱水予防

脱水することにより口腔内は乾燥します。
脱水を防ぎ口腔内の潤いを保つことが非常に大切です。
そのためにも以下のような方法がおすすめです。

  • こまめに水分補給をさせる
  • ウェットフードやスープ状のフードを活用する
  • 常に新鮮な水を用意する
  • 必要に応じて皮下点滴を併用する

皮下点滴は動物病院で指導を受ければご自宅で実施が可能な場合もあります。
ただし、自己判断では行わず、必ず獣医師に指示を仰ぐようにしてください。

デンタルケア

正しいデンタルケアによって歯垢が歯石になる前に除去することで、歯周病を予防できます。

  • 歯ブラシやガーゼで歯を優しく磨く(3日に1回以上を目標に)
  • 歯磨きが難しい場合は、デンタルガムや口腔ジェルを併用
  • 無理のない範囲で毎日少しずつ慣らしていく

早期からのケアが歯周病予防のカギ

犬が慢性腎臓病になってからのケアも重要ですが、若い頃からのデンタルケア習慣がもっとも効果的です。
健康なうちから口腔環境を整えておくことで、シニア期になっても歯を残しやすくなります。

まとめ

水を飲むフレンチブルドッグ

犬の慢性腎臓病と歯周病は、一見無関係なようでいて、体のなかでは密接に関係している病気です。
腎機能が落ちることで口腔内が乾燥しやすくなり、結果として歯周病のリスクが上がってしまいます。
だからこそ、腎臓のケアと同時に、お口のケアにも目を向けることがとても大切です。

当院では歯科の治療やデンタルケアの指導に取り組んでいます。
お困りの際はいつでもご相談ください。

 

よくある質問

Q .慢性腎臓病の犬はどうして歯周病になりやすいのですか?

A .慢性腎臓病になると腎機能が低下し体が脱水しやすくなります。口腔内も乾燥しやすくなり、歯周病の原因菌が繁殖しやすい環境が整ってしまうため、慢性腎臓病の犬は歯周病にかかりやすくなるのです。

Q .慢性腎不全の犬は全身麻酔での歯科処置ができませんか?

A .慢性腎不全の犬でも全身麻酔で歯科処置ができる場合があります。腎機能の状態によっては麻酔のリスクが高まるため、事前に血液検査などで評価を行い獣医師と検討しましょう。

Q .慢性腎臓病の犬に効果的なデンタルケアの方法はなんですか?

A .効果的なケアとしては、口腔内の乾燥を防ぐための水分補給と、歯垢除去のための定期的な歯磨きが挙げられます。ウェットフードの利用やこまめな水分摂取、3日に1回以上の歯磨きが歯肉炎予防に役立ちます。

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