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【犬にも歯列矯正が必要】犬の不正咬合について

2024.08.20

【犬にも歯列矯正が必要】犬の不正咬合について

 

「犬の噛み合わせが悪いけど放っておいて大丈夫?」
このようなお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
人間同様に犬にも噛み合わせがあり、噛み合わせが悪いと健康に悪影響を及ぼすことがあります。

今回の記事では犬の不正咬合の原因や治療について詳しく解説していきます。
犬の歯並びにお悩みの方はぜひ最後までお読みいただき、当院にご相談ください。

 

 📍 目次

 ▼ 犬の不正咬合とは?
 ▼ 不正咬合の原因
 ▼ 不正咬合の種類
 ▼ 不正咬合の診断
 ▼ 不正咬合を放置しておくとどうなる?
 ▼ 不正咬合の治療
 ▼ まとめ

犬の不正咬合とは?

犬の不正咬合とは上下の歯が正常に噛みあっていない状態です。
噛み合わせが悪いと上下の歯が干渉し、歯肉を傷つけることがあります。
さまざまな原因で噛み合わせの異常が生じると見た目の問題だけでなく、口のトラブルを引き起こすことがあります。

 

不正咬合の原因

不正咬合の主な原因は以下のものが挙げられます。

遺伝

寝ているイングリッシュブルドッグ

顎の長さは多くの場合は遺伝的な影響を大きく受けます。
親が不正咬合であると子も不正咬合の遺伝子を受け継ぐ可能性が高くなるため、不正咬合の犬は繁殖には適しません。
ブルドックやボクサーなどでは意図的な交配の影響でアンダーバイトが正常とされています。

乳歯遺残

乳歯は永久歯が生えてきて2週間ほどで自然に抜けます。
乳歯が歯の生えかわりの時期を過ぎても残っている状態が乳歯遺残です。
乳歯が残っていると永久歯の生える方向に影響を与えます。

乳歯遺残は

  • チワワ
  • トイプードル
  • ヨークシャーテリア

などの小型犬で多くみられます。

外傷

幼少期の顎の骨折、脱臼などで左右の骨格のバランスに異常が生じ、不正咬合につながる場合もあります。

 

不正咬合の種類

不正咬合はさまざまなタイプに分かれ、骨格が原因の場合と歯が原因の場合があります。

骨格性不正咬合

上下の顎の長さや顎の幅のつり合いが取れておらず、噛み合わせが乱れている状態です。

骨格性不正咬合には以下のものが挙げられます。

  • オーバーバイト
    下の顎に対して上の顎が長い状態です。
  • アンダーバイト
    上の顎に対して下の顎が長い状態です。
  • ライバイト
    左右の顎の骨の長さが非対称で歪みが生じている状態です。

歯性不正咬合

骨格に異常がなく歯の生える方向に異常が生じる不正咬合です。

歯性不正咬合には以下のものが挙げられます。

  • クロスバイト
    上下の歯の重なりに異常が生じている状態です。
  • 転位
    特定の歯の生える位置に異常が生じている状態です。
  • 叢生
    歯が数本にわたり、一列に並ばずに歯列が乱れている状態です。
    小型犬の前歯でときどきみられます。

 

不正咬合の診断

不正咬合は見た目で診断することが多いですが、歯科専門の動物病院ではレントゲンを撮影することもあります。

見た目

仰向けの犬

基本的には顎の長さや歯並びを視診で判断します。
乳歯遺残は乳歯と永久歯が重なり合って内側と外側に生えていることが特徴です。

歯科用レントゲン

動物病院によっては歯科用のレントゲンを撮影することもあります。
歯科用のレントゲンでは通常のレントゲンと比べて細部まで観察が可能です。
歯科用レントゲンでは視診では観察できない歯根の部分や周囲の顎骨まで検査することができます。

 

不正咬合を放置しておくとどうなる?

不正咬合があっても生活に支障なく過ごせることが多いです。
しかし、犬によっては以下のような症状が生じることもあります。

歯肉を傷つけてしまう

上下の噛み合わせが合っていないと歯が歯肉に当たり反対側の歯肉を損傷し、歯肉炎を起こす場合があります。
歯肉の損傷に伴い、

  • よだれに血が混じる
  • 痛みによって食欲が低下する
  • 口をくちゃくちゃと動かす

といった症状を示す時は早めに動物病院を受診しましょう。

食べこぼしてしまう

上下の歯がうまく機能せず食べ物を口の中で運ぶのが下手になることもあります。

歯周病のリスクが高い

不正咬合の犬では歯周病に注意しましょう。

歯周病は歯に付着した細菌によって起こる歯の周りの炎症です。

不正咬合の犬では以下のサイクルで歯周病が発生します。

  1. 歯並びが悪いと歯と歯の隙間に食べ物が挟まりやすくなる
  2. 挟まった食べ物の残りが細菌と混ざることで歯垢が付着し、数日で歯石が形成される
  3. 歯石の周囲では歯周病によって炎症がおこる

歯周病の予防のために不正咬合の犬ではより一層デンタルケアが求められます。

 

不正咬合の治療

撫でられるヨークシャーテリア

犬の場合は口腔内の治療には全身麻酔が必要になるため、不正咬合の治療には麻酔のリスクを伴います。
犬の不正咬合は以下の場合に治療が推奨されます。

  • 歯肉に損傷が生じてる
  • 機能的な問題が起こっている

不正咬合の主な治療方法は以下の3つです。

抜歯

乳歯遺残による不正咬合の予防には抜歯が効果的です。
乳歯を適切なタイミングで抜歯することで永久歯に歪みが生じることを防ぎます。
特定の歯がピンポイントに歯肉を傷つけていたり、上下の歯が不自然にぶつかっていたりする場合も一部の歯を抜くことで治療を行います。

歯が触れてしまう不正咬合

抜歯し整復された不正咬合

生活歯髄切断法

歯の真ん中には歯髄と呼ばれる神経組織が通っています。
生活歯髄切断法とは歯を切断し、露出した神経を生かしたまま表面を埋める方法です。
歯の神経を生かしたまま切断するので歯の感覚を残すことができます。
歯肉を傷つける歯の長さを短くすることで歯肉炎の改善が期待できます。

歯列矯正

永久歯を矯正することで歯並びを改善する方法です。
人間と同様に矯正器具を用いて歯の位置を矯正します。
歯列矯正は専門性が高いため、歯科専門の動物病院で行われることが多い治療法です。
歯列矯正は長期間に及ぶことが多いです。

 

まとめ

不正咬合は早期発見・早期治療が大切です。
犬では人間のように見た目の改善のためではなく、病的な症状の治療のために歯列矯正を行います。
不正咬合だけでなく口腔内ではさまざまなトラブルが起きやすいため、動物病院での定期チェックをおすすめします。
犬の歯並びが悪いかも?と気になる方は是非当院にご相談ください。

 

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