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犬の唾液腺嚢胞について|犬の顔周りや首のあたりが腫れたら唾液腺嚢胞かも?

2024.08.05

犬の唾液腺嚢胞について|犬の顔周りや首のあたりが腫れたら唾液腺嚢胞かも?

 

犬の顔や首のあたりにぷくっとした腫れやしこりを見つけた場合は「唾液腺嚢胞」かもしれません。

犬の唾液腺嚢胞はさまざまな症状を引き起こすので適切な対応が必要になります。

この記事では犬の唾液腺嚢胞の症状や治療などを詳しく解説していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、飼い犬に思い当たる症状があればお気軽にご相談ください。

 📍 目次

 ▼ 犬の唾液腺について
 ▼ 犬の唾液腺嚢胞とは?
 ▼ 犬の唾液腺嚢胞は予防できるの?
 ▼ まとめ

犬の唾液腺について

唾液腺の図解

犬も人と同様に唾液腺があり、耳や顎の下などの顔周りに存在します。

犬の代表的な唾液腺には、以下のものが挙げられます。

  • 頬骨腺(きょうこつせん)
  • 耳下腺(じかせん)
  • 舌下腺(ぜっかせん)
  • 下顎腺(かがくせん)

唾液腺では唾液が分泌され、導管と呼ばれる細いトンネルのような管を通って口の中へ排出されます。

唾液の代表的な働きは以下の通りです。

  • 酵素によって食物を消化する
  • 飲み込みをスムーズにする
  • 抗菌作用により細菌から体を守る

唾液が分泌されることは犬にとってさまざまなメリットがありますね。

 

犬の唾液腺嚢胞とは?

犬の唾液腺嚢胞とは唾液腺や導管のトラブルで唾液が本来とは違う場所に漏れて溜まってしまう病気です。

犬の唾液腺嚢胞は「唾液瘤」や「唾液粘液嚢胞」とも呼ばれます。

唾液が舌下に溜まった場合はガマガエルがのどを膨らませたように見えることから「ガマ腫」とも呼ばれます。

 

犬の唾液腺嚢胞の原因

犬の唾液腺嚢胞は以下のような原因が考えられています。

  • 外傷
    外傷により唾液腺や導管が傷つくことで唾液が漏れ出ることがあります。
    唾液腺嚢胞は異物を口に入れて噛むことで発症することが多いです。
    抜歯などの口腔内の手術でも唾液腺や導管を傷つけてしまうと唾液腺嚢胞の原因になります。
  • 導管の閉塞
    唾石と呼ばれる硬い石のようなものが唾液腺や導管に詰まることがあります。
    導管が閉塞することで唾液腺や導管が破裂し、唾液が漏れ出ることで唾液腺嚢胞を発症します。
  • 感染
    細菌などが唾液腺の中へ侵入し、炎症を起こすことで唾液腺嚢胞を発症することがあります。
    感染は歯周病菌が原因になることが多いです。

犬の唾液腺嚢胞は原因がわからないことも多く、プードルやダックスフンドなど一部の犬種では遺伝的な影響も考えられます。

 

犬の唾液腺嚢胞の症状

犬の唾液腺嚢胞の症状は発生部位や進行速度によって異なります。

代表的な症状には以下のものが挙げられます。

  • 顎の下や耳の下などの腫れ
  • 柔らかく波動感のあるしこり
  • 唾液の過剰分泌
  • 痛みや不快感
  • 食欲不振

発生部位によっては食物を飲み込みにくくなったり、呼吸困難を起こす場合があるので注意が必要ですね。

腫瘤が大きくなると破裂して、出血を起こすこともあります。

唾液腺嚢胞の犬

 

唾液腺嚢胞の診断方法

唾液腺嚢胞と診断するには、以下のような検査を組み合わせて行う必要があります。

  • 穿刺吸引
    触診で波動感のあるしこりを確認した場合は原因を探るために穿刺吸引を行います。
    穿刺吸引とはしこりに針を刺して中身の液体を吸引または採取することです。
    穿刺吸引によってねばっとした粘稠性の高い液体が採取された場合は唾液腺嚢胞の可能性が高いです。
  • 画像検査
    レントゲンや超音波検査などの画像検査を行うことで原因が異物によるものなのか、唾石によるのかなどを調べます。
    唾液腺の腫れは唾液腺嚢胞ではなく、腫瘍などの可能性もあるので慎重に検査を進める必要があります。

どの唾液腺が損傷・閉塞を起こしているのか不明な時にはCT検査やMRI検査を実施することもあります。

犬のCT検査やMRI検査では全身麻酔が必要です。獣医師とそれぞれの検査のメリット・デメリットを相談しながら診断を進めましょう。

 

唾液腺嚢胞の治療

木を噛む雑種犬

犬の唾液腺嚢胞は外科治療が必要になることが一般的です。

穿刺吸引で溜まっている唾液を抜去することで症状が改善することもありますが、一時的であることが多く、再発を繰り返します。

外科治療では唾液の漏出を起こしている部位の唾液腺を摘出します。唾液腺の導管もできる限り摘出することで再発を防ぎます。

犬の唾液腺は複数あるため、一部を切除しても問題になることは少ないです。

適切に唾液腺の切除が実施されれば予後は良好です。

 

犬の唾液腺嚢胞は予防できるの?

犬の唾液腺嚢胞はすべてが予防できるわけではないですが、外傷が原因になるものは予防できることもあります。

口の中を刺激する硬いおもちゃや歯磨きガムなどで唾液腺や導管を傷つけることがあるので注意が必要です。

犬の首輪を強く引っ張ることでも唾液腺が損傷を受けることもあるので、力の入れ具合には注意しましょう。

 

まとめ

犬の唾液腺嚢胞は適切な診断と治療を行うことで良好な予後が期待できます。

しかし、放置すると犬の生活の質を低下させるため、早期発見・早期治療が重要です。

定期的な健康診断や適切な口腔ケアを行うことで唾液腺嚢胞を含むさまざまな病気のリスクを減らすことができます。

日々のお世話の中で口周りのチェックを行い、少しでも異変を感じたら当院までご相談ください。

 

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