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犬の歯周病になると心臓病が増える?|歯周病と心臓病の関連性を解説

2024.08.12

「人間では歯周病が心臓病の原因になるって聞いたことがあるけど、犬もそうなの?」
「歯石除去を勧められたけど、心臓病があるから麻酔が心配」
このようなお悩みや疑問をお持ちの飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、犬の歯周病と心臓病は密接に関係しているといわれています。
近年では人と同様に、口の健康が全身の健康に大きく影響することが明らかになってきました。

今回は

  • 犬の歯周病と心臓病の関係
  • 心臓病の歯石除去の際の麻酔リスク
  • 歯周病と心臓病の予防方法

について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康寿命を延ばすことに役立てていただけると幸いです。

 📍 目次

 ▼ 犬の歯周病は心臓病の発生率を上げる?
 ▼ 歯石除去の麻酔リスク
 ▼ 高齢犬の麻酔リスク
 ▼ 心臓病を悪化させないためにできること
 ▼ まとめ

犬の歯周病は心臓病の発生率を上げる?

仰向けのチワワ

人間の医療では「歯周病を放置すると心臓病になるリスクが高まる」といわれています。
ある研究では「1日1回未満しか歯磨きをしない人は、1日2回歯磨きをする人と比べて心臓病になる確率が1.7倍も上がる」とも。
これは、歯垢に含まれる細菌が歯ぐきの血管から血流に入り、心臓に届いて炎症を引き起こすことが原因と考えられています。

では犬の場合はどうでしょうか?
実は犬の場合でも人間と同様に、歯周病と心臓病との関連性が複数の論文により発表されています。
犬では、心内膜炎(心臓の内側の膜の炎症)や弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症など)などの心疾患と歯周病との関係が報告されています。
心臓病は犬の寿命に影響を与える病気なので、歯周病も寿命に影響を与えてしまう病気ということになりますね。

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歯石除去の麻酔リスク

歯周病を改善するには、歯石の除去(スケーリング)が効果的です。
歯石を除去することで口腔内環境を清潔にし、その後は歯磨きなどでその口腔内環境を維持することが有効です。
「歯周病が心臓病の発生率を上げるなら、急いで歯石除去をしなければいけない」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、歯石除去は以下の理由から全身麻酔をかけて行う必要があります。

  • 犬が動かないようにし、怪我や事故を防止するため
  • 奥歯や歯周ポケットの歯石も除去するため
  • 誤嚥を予防するため
  • 処置を一度で終わらせるため

一般的に、健康な犬であっても麻酔による死亡率は約0.17〜0.65%と言われています。
高齢犬や心臓などに持病を持つ犬ではこのリスクがさらに上がるということですね。

確かに歯周病を治すためには歯石除去が有効ですが、麻酔で死亡するリスクと天秤にかけて、実際に歯石除去を行うか慎重に決める必要があります。

高齢犬・心臓病の犬にとっての麻酔リスク

歯石除去が必要になる犬の年齢は中高齢期で病気を持っていることが多いです。
場合によっては、中高齢期特有の持病が麻酔リスクにかかわってきます。
特に麻酔リスクを上げる持病として挙げられるのが、心臓病です。
歯周病が原因かどうかに関係なく、心臓病は麻酔リスクを高める原因の一つです。
全身麻酔は、

  • 血圧の変動
  • 心拍数の増減
  • 酸素供給の変化

といった、心臓への負担をともなう要素が多いため、心臓病のある犬では合併症を引き起こすリスクが高くなります。
血圧の変動により心臓病が悪化し、心不全に至る犬もいます。
重症度によって違いはありますが、一般的には心臓病の場合は全身麻酔を避けるべき、と言われていますね。

ただし、「心臓病だから歯石除去は絶対にできない」というわけではありません。

  • 麻酔前検査で状態を把握する
  • 点滴・酸素管理・モニター体制を強化する
  • 必要に応じて心臓の薬を事前に調整する

など、状態に応じた対策をしっかり行えば、安全に処置できるケースもあります。
主治医とよく相談したうえで判断することが大切です。

歯周病と心臓病を同時に予防するためにできること

横を向いている白いチワワ

歯と心臓の両方を守るために日常的にできることはあるのでしょうか?
前述の通り、歯が悪くなると心臓に影響があり、心臓が悪くなると歯の治療が難しくなります。
そのため、普段から歯のケアに取り組み歯周病の予防をすることが大事ですね。
また、心臓病の予防には定期的な健康診断も欠かせません。
歯周病と心臓病どちらも予防していくことで愛犬の健康を維持することができます。
詳しく説明していきましょう。

歯磨きを習慣に

歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きです。
特に若いうちから歯ブラシに慣れておくと、中高齢期にも口腔ケアが続けやすくなります。

  • 1日1回の歯磨きを目標にする
  • 歯ブラシが苦手な子は、ガーゼや歯磨きシートから始める

定期的な健康診断で心臓チェック

定期的な健康診断で心臓のチェックをすることも大切です。
犬の1年は人間の約4年分ともいわれます。
健康診断は半年に1回がおすすめです。
心臓の音や心雑音のチェック、必要に応じてエコー検査を行うことが早期発見に役立ちます。

スケーリングのタイミングを逃さない

歯石が厚くなってからでは麻酔時間も長くなり、身体への負担も大きくなります。
口臭や出血などの初期症状があるうちに相談することで、より安全に歯科処置を受けるチャンスが広がりますね。

まとめ

犬の歯周病は、単なる口のトラブルではなく心臓病のリスクを高める全身の問題でもあります。
また、心臓病をすでに抱えている犬にとっても、歯周病はさらなる負担となりうる存在です。
だからこそ、「歯と心臓」両方を意識した予防・ケアがとても大切になります。
日頃から歯のケアを行うこと、心臓病の早期発見に努めることを意識しましょう。

当院では歯磨き指導や心臓病を早期発見できる血液検査を実施しています。
愛犬の歯と心臓の健康を守るためにぜひ活用していただけると幸いです。

よくある質問

Q .犬の歯周病が心臓に影響を与えるのはなぜですか?

A .歯周病は、歯垢に含まれる細菌が歯ぐきの血管から全身を巡り心臓に達して炎症を起こすことで心臓に影響を与えます。
歯周病が原因で心臓病のリスクが高まると考えられています。

Q .高齢犬に歯石除去をすすめられないことがあるのはなぜですか?

A .高齢犬は心臓病などの持病があるケースが多く、全身麻酔が高齢犬の体に負担をかけるためです。
麻酔は血圧を大きく変動させるため、心臓病の悪化や心不全のリスクが懸念されます。

Q .心臓病を防ぐためにできるケアはありますか?

A .歯周病の予防がおすすめです。
歯周病を予防すると心臓病のリスク低減につながる可能性があります。
歯磨きは幼少期から習慣づけるといいでしょう。
心臓病の早期発見のためにも、健康診断を年に2回受けることもおすすめです。

 

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