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犬の皮膚肥満細胞腫|犬の皮膚できたしこり、実は悪いものかもしれません

2024.10.23

犬の皮膚肥満細胞腫|犬の皮膚できたしこり、実は悪いものかもしれません

こちらを見上げている黒いフレンチブルドッグ

犬の皮膚には肥満細胞腫というしこりができることがあります。
犬を飼っているご家族の中には
「肥満細胞腫ってどんな見た目をしているの?」
「肥満細胞腫って痛い?」
「肥満細胞腫って命に関わる?」
といった疑問や心配事もあるかと思います。

そこで今回は犬の皮膚にできる肥満細胞腫について詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の皮膚肥満細胞腫についての理解を深めましょう。

 📍 目次

 ▼ 肥満細胞腫とは
 ▼ 皮膚肥満細胞腫の症状
 ▼ 皮膚肥満細胞腫の検査
 ▼ 皮膚肥満細胞種の余命
 ▼ 皮膚肥満細胞腫の治療
 ▼ 家庭で気を付けること
 ▼ まとめ

 

肥満細胞腫とは

肥満細胞腫は肥満細胞の悪性腫瘍(がん)です。
肥満細胞という細胞を聞き慣れない方もいるかもしれません。
肥満細胞とは白血球の一つで、アレルギーに関係する細胞です。
皮膚肥満細胞腫は皮膚にできる悪性腫瘍の11%を占める、比較的よくみられる腫瘍ですね。

どんな犬がなりやすいの?

肥満細胞腫には好発犬種があります。
特に好発する犬種には

  • ボクサー
  • ブル・テリア
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ゴールデン・レトリバー
  • ラブラドール・レトリバー
  • シャー・ペイ
  • ダックスフンド

が挙げられます。

肥満細胞腫と犬種の関係性

実は犬種と肥満細胞腫の悪性度には関係があると言われています。
例えばパグとボクサーにできる肥満細胞腫は比較的悪性度の低いふるまいをすることが多く、シャー・ペイにできる肥満細胞腫は悪性度の高いふるまいをすることが多い傾向があるとされています。
シャー・ペイを飼われているご家族は犬が肥満細胞腫とわかったら、特に経過に注意しましょう。

 

皮膚肥満細胞腫の症状

タオルに包まれているパグ

肥満細胞はアレルギーに関係する細胞とお話ししました。
もちろん肥満細胞腫もアレルギーを促す物質を含んでいて、刺激を受けて皮膚や全身に症状を起こします。犬の皮膚だけでなく全身にも症状が出ることを覚えておきましょう。

皮膚の症状

主な皮膚の症状には

  • 痒み
  • 赤み
  • 腫れ
  • えぐれ
  • 皮下出血

などが挙げられます。

全身の症状

主な全身症状には

  • 元気食欲の低下
  • 循環が悪くなる
  • 血圧が低くなる
  • 嘔吐や下痢
  • 血が止まりにくくなる
  • アナフィラキシーショック

などが挙げられます。
全身におきる症状の中には命に関わる症状もありますね。

 

皮膚肥満細胞腫の検査

皮膚肥満細胞腫の診断は見た目だけではできません。
獣医師が下記の検査を組み合わせて行います。
皮膚肥満細胞腫の主な検査には

  • 身体検査
  • 血液検査
  • 骨髄検査
  • 細胞診
  • 病理検査
  • 遺伝子検査
  • 画像検査(レントゲン、超音波検査、CT、MRI)

などが挙げられます。
複数の検査を組み合わせないと、正確な診断や腫瘍の悪性度、病気がどのくらい進行しているかが判断できません。

 

皮膚肥満細胞種の余命

ご家族の中には治療をして犬の余命がどのくらいなのか気になる方もいるかもしれません。
皮膚肥満細胞腫の余命は

  • 悪性度
  • できた場所
  • 病変の大きさ
  • 転移していないか

などと関係があるとされています。
検査結果から、ある程度は犬の余命を予測することができます。

 

皮膚肥満細胞腫の治療

皮膚肥満細胞腫は、皮膚にできた腫瘍それぞれが様々なふるまいをします。
特に悪性度の高いものは、リンパ節や肝臓、脾臓、骨髄など他の臓器に転移したり、治療後も再発を起こしたりします。
完治を目指すためにも、早期発見早期治療が大切になりますね。

主な治療

皮膚肥満細胞腫の主な治療には

  • 外科手術
  • 放射線治療
  • 化学療法
  • ステロイド

などが挙げられます。
皮膚肥満細胞腫の治療は様々な治療方法を組み合わせて行います。
腫瘍が低悪性度であれば外科手術のみで完治することもありますが、中〜高悪性度の場合には外科手術のみでは完治が難しいことが多いです。
その場合には化学療法(抗がん剤)の併用が必要になります。
また頭や足先にできるような皮膚肥満細胞腫では皮膚に余裕がなく、外科手術のみで腫瘍が取りきれないこともあります。
その際には術後に放射線療法を併用するという選択肢もありますね。
皮膚肥満細胞腫の治療方法は、このように一つの方法だけではありません。
複数の治療方法を組み合わせて、皮膚肥満細胞腫の完治や症状の緩和を目指します。

皮膚にできる肥満細胞腫の治療のリスクや副作用って?

皮膚肥満細胞腫のそれぞれの治療法には残りの寿命や腫瘍による不快感を改善できる可能性があります。しかし一方で、治療にもリスクや副作用が伴います。
皮膚肥満細胞腫の治療のリスクや副作用には

  • 外科手術では腫瘍から出される物質によって傷の治りが遅れる場合もある
  • 外科手術では腫瘍周囲を含む大きな切除が必要
  • 放射線治療による皮膚や骨に対するダメージ
  • 化学療法とステロイドによる臓器障害

などが挙げられます。
犬の現在の状態から獣医師とご家族が相談して最善の治療を行っていきます。

 

家庭で気を付けること

犬の皮膚肥満細胞腫に対してご家族ができることには、しこりがないか犬の体を日々触ることやしこりが皮膚肥満細胞腫とわかったらあまり触らないようにすることが挙げられます。
皮膚肥満細胞腫を見つける前後で相反するような注意点だと思われるかもしれませんが、それには以下の理由が挙げられます。

皮膚肥満細胞腫は気付かれにくい

皮膚肥満細胞腫は様々な形で現れ、見た目で判断はできません。
例えば、脂肪細胞の良性腫瘍である脂肪腫が一例として挙げられます。
肥満細胞腫はこの脂肪腫と似た形や感触を示し、見過ごされてしまうこともあります。
皮膚にしこりをみつけたら自己判断せず動物病院に相談しましょう。

皮膚肥満細胞種は触り過ぎに注意?

皮膚肥満細胞腫は必要以上に触ると思いもよらないトラブルがでます。
皮膚肥満細胞腫は、腫瘍に触れたことが刺激になって犬にアレルギーを引き起こします。
さらにアナフィラキシーショックで犬が亡くなってしまう可能性もあります。
犬の皮膚のしこりが皮膚肥満細胞腫とわかったらなるべく触らないようにしましょう。

 

まとめ

葉っぱの中にいる2匹のパグ

皮膚肥満細胞腫は悪性の腫瘍ですが、様々な形で発生するため、ご家族が腫瘍の存在になかなか気付かない場合があります。
しかし皮膚肥満細胞腫は、早期発見で治療の幅が広がり、悪性度のタイプによっては完治も目指せる病気です。
犬の体を触るなどの日々のスキンシップは皮膚にできる腫瘍を見つける上でとても大切です。
日々の犬とのコミュニケーションに積極的に取り入れましょう。

犬の皮膚に異常を見つけたらすぐに当院にご相談ください。

 

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