犬の褥瘡って何?|犬の褥瘡の原因、管理の仕方について解説します
犬の飼い主様には「褥瘡(じょくそう)」と言う言葉を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?
褥瘡とは、皮膚の同じ箇所に圧力がかかることで、皮膚組織が壊死してしまう皮膚の病気です。いわゆる「床ずれ」のことですね。
人間でも、体をうまく動かすことができなくなると管理が必要になる病気です。
犬でも、同じように褥瘡になってしまうことはとてもよくあります。
今回は犬の褥瘡について解説します。
犬を飼っている方は、ぜひ最後までお読みいただき、褥瘡について知っておきましょう。
📍 目次 ▼ 褥瘡ってどうしてできるの? |
褥瘡ってどうしてできるの?
皮膚の同じ箇所に長時間圧力がかかると、どうして壊死してしまうのでしょうか。
皮膚の下には、血液から皮膚に酸素や栄養を与えるために細い血管がたくさん走っています。
血管は、ホースのような構造をしていて、外から圧力をかけると潰れてしまいます。血管が潰れている場所には、血液は存在できません。
一度この記事を読むのをやめて、手を短時間押してみてください。皮膚の色が変わりますよね。
これは、押した部位の下にあった血管が潰されて、その中の血液がなくなったことによる変化です。
血液がその場になくなることは、短時間であれば問題ありません。
しかし長時間になると、皮膚へ酸素や栄養が行き渡らない時間が長くなり、皮膚は壊死してしまいます。
重症化すると、皮膚自体が脱落し骨や筋肉が剥き出しになってしまうこともあります。
褥瘡に気をつけないといけないのはどんなとき?
基本的には、犬が自分で体を動かせなくなると、発症することが多いです。
- 歳をとって寝たきりになる
- 体の状態が悪く起き上がることができない
- 麻痺している部位があり、姿勢が変えることが難しい
このような状態になると、褥瘡を起こす可能性があるので、気をつけてあげなければいけません。
若くて元気な犬でも、整形外科の手術の後など、体がうまく動かせない時期は要注意ですね。
一般的に大型犬は、一点にかかる体重がかなり重くなってしまうので、褥瘡のリスクが高いです。
褥瘡になりやすい部位
褥瘡は、骨が外側に出ていて、支点になっている部位に発症します。
例えば、犬が横に倒れて寝ている時間が長い場合は頬骨や骨盤に、伏せの状態で寝ている時間が長い場合は胸骨に、深い褥瘡ができやすいです。
このように、犬の姿勢によって褥瘡のできやすい部位は異なります。
体が動かせない犬は、排泄もうまくできないことも多いです。
褥瘡になった部位に長時間排泄物が触れることで、膿が出たり、ウジが沸いたりすることもあります。
褥瘡になってしまったらどうする?
褥瘡の根本的な治療は、「同じ箇所に長時間圧力がかからないようにすること」です。
そうは言っても、褥瘡ができるのにはなんらかの原因があります。
褥瘡の原因が改善の見込めない麻痺や加齢の場合、褥瘡のできた部位に一切体重をかけないようにするということは、非常に難しいですよね。
動物病院では、褥瘡と診断された場合、
- 傷を清潔な状態に保てるよう傷の周りの毛を刈る
- 犬が気にして触ってしまわないようにエリザベスカラーをする
- 傷口に絆創膏や緩衝材を当てる
などの処置をします。感染症になっている場合は、一時的に抗菌薬を使用したり、消毒をすることもあります。
軽症の場合はこれらの治療で一時的によくなることもありますが、ほとんどの場合は再発してしまいます。
褥瘡にならないようにするには
褥瘡は、一度重症化してしまうと完治させるのは難しいことが多いです。
そのため、褥瘡は予防がとても重要となります。
犬が褥瘡ができるような状態になった場合、ご家族にできることは何があるのでしょうか。
一度できてしまっても、他の部位にできないようにするためにできることがいくつかあります。
圧力を逃す工夫をする
褥瘡の発生原理から考えると、最も重要なのが、同じ箇所に持続的に圧力がかからないようにすることですね。
例えば、犬の寝る場所を床の硬い場所でなく、柔らかいマットやビーズの入ったクッションの上で寝かせてあげると皮膚にかかる圧力が分散されます。
犬の姿勢を観察し、圧力のかかる部位にクッションを置いたり、ウォーターベッドや空気を少し抜いたバランスボールなどを使って、皮膚が接する部分を増やすことも有効です。
現在は、褥瘡防止のクッションやマットが多数販売されています。
クッションが柔らかすぎると体が沈み込み一部が床についてしまい、クッションが硬すぎるとその意味がなくなってしまいます。
そのため、マットの厚さや硬さは、犬の体格に合わせて選ぶことが重要ですね。
体位変換
人間では褥瘡予防のために、寝たきりになってしまったら2〜3時間ごとの体位変換をすることが推奨されています。
犬でも可能であれば1〜4時間ごとのペースで体位変換をすることで褥瘡を予防できると言われています。
動かす時に犬が痛みを感じていないか確認しながら体位変換をし、動かした後も落ち着いているか様子を見守ってあげましょう。
まとめ
犬の褥瘡は、日常的な管理が必要な病気です。
愛犬の介護が必要になった時、ご家族はどうしたらいいか戸惑ってしまいますよね。
どんなに気をつけていても、愛情をかけて介護をしていても、褥瘡を100%予防することはできません。
管理の難しい褥瘡だからこそ、ご家庭とその犬に合った治療と管理を考える必要があります。
犬の褥瘡管理が必要になった時はぜひ、当院にご相談ください。
神奈川県藤沢市湘南台の動物病院
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