犬の痒み止めって何があるの?|犬のアレルギー性皮膚炎に使う痒み止めの薬について解説
「うちの犬、何度も体を掻いてかわいそうなんです!」
という相談を受けることは、動物病院では非常によく見る光景です。
犬がしきりに体を掻いている姿は、ご家族にとって心配で気になるものですよね。
犬の皮膚炎の原因はいくつかあり、それぞれ原因によって治療をします。しかし、原因が分からない場合や、原因に対する治療だけでは完全に治すことが難しいこともあります。
そのため、原因に対する治療だけでなく、症状を抑えるために痒み止めを使うことも有効です。
今回はこの痒み止めについて詳しく解説します。
これから犬の皮膚炎の治療をされる方も、今まさに治療をしている方も、治療に使われる薬について知っておきましょう。
📍 目次 ▼ 痒み止めを治療に使うのはどんな病気? |
痒み止めを治療に使うのはどんな病気?
皆さんは犬のアレルギー性皮膚炎についてどれくらい知っていますか?
犬のアレルギー性皮膚炎は、ハウスダストや花粉などの環境中の成分に反応してしまうアトピー性皮膚炎と、犬の食べ物の中の特定の成分に反応してしまう食物アレルギーに分けられます。
どちらも痒みや赤みといった皮膚の炎症が主な症状です。
犬アトピー性皮膚炎も食物アレルギーも、根本的な治療は原因として疑わしいものを避けることです。
しかし、犬アトピー性皮膚炎も食物アレルギーも、原因を完全に回避することが難しいです。
どちらの病気でも、薬で炎症による痒みを止めることは対症療法として有効です。
痒み止めのとして使われる薬について
炎症を止めることを目的とした薬にはいくつかの種類があり、それぞれ使い方や副作用が異なります。
どれも根本的な治療ではなく、アレルギー性皮膚炎を治すことはできません。しかし、痒みを薬で抑えることで、掻くことによる皮膚の状態の悪化を防ぐことができます。
ステロイド
ステロイドは古くから抗炎症薬として使われている薬のひとつです。ステロイドは副腎というお腹の中にある小さな臓器から出るホルモンです。
このホルモンには、炎症を抑えたり、体の中で起こる過剰な免疫を抑えたりと、さまざまな作用があります。
薬として処方されるのは、それと似た成分を人工的に作ったものです。ステロイドは効果が強く、作用する臓器が多い薬です。
ステロイドは短期間で使用すると、最小限の副作用で高い効果を見込めますが、長期間で使用すると多くの副作用が出ます。ステロイドの副作用には、
- 多飲多尿
- 食欲増加
- 免疫力低下
- 糖尿病
- クッシング症候群
が挙げられます。
中でも免疫力低下、糖尿病、クッシング症候群は場合によっては命に関わることもあり、注意が必要ですね。
オクラシチニブ
オクラシチニブは、犬のアレルギー性皮膚炎のために開発された薬です。
オクラシチニブは、分子標的薬といって、炎症により発生した痒みを起こす物質の働きを抑える作用があります。
ステロイドと比較して作用するところがピンポイントなので、副作用が発生する可能性が少なく、安全性が高いです。
デメリットには、比較的作用時間が短いことと、高価であることが挙げられます。
オクラシチニブの副作用は、嘔吐下痢などの消化器症状が出ることが多いと言われていますが、命に関わるようなものは少ないです。
ロキべトマブ
ロキべトマブは犬のアトピー性皮膚炎のために開発された新しい注射薬です。ロキベトマブも、痒みを発生させる物質の働きをピンポイントで抑えます。
そしてなんといってもこの薬は注射薬で、およそ1ヶ月間作用が続くという点が良いですね。
投薬が難しい犬や経口薬だけでは痒みがコントロールできない場合にとても便利な薬ですね。
ロキベトマブのデメリットには
- 効果が出るのに時間がかかる
- 体質によって効果が出ない子もいる
- 食物アレルギーに対しては効果がない
という点があり、注意が必要です。
そのため、使用前にアレルギー検査を実施するなどして、何が原因か調べてから治療を行うことが好ましいです。
副作用はほとんどありませんが、ごく稀にアナフィラキシーショックという命に関わるアレルギー反応が出ることがあります。
シクロスポリン
シクロスポリンは免疫抑制剤の一つです。
アレルギーは、本来害のないものを害のあるものと体が認識してしまい、過剰に免疫反応が起きてしまうことにより発生します。
そのため、シクロスポリンで免疫を抑制することが治療になります。
副作用としては、嘔吐下痢などの消化器症状や、必要な免疫反応を抑えてしまうことにより、感染症にかかりやすくなったりする可能性があるので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?犬のアレルギー性皮膚炎で使う薬として代表的なものについて解説しました。
犬のアレルギー性皮膚炎では、根本的な治療はとても難しく、それぞれの特性や痒みの程度によって治療に使われる薬が変わります。
なるべく副作用がないように抗炎症薬を組み合わせることが多いので、獣医師と相談してその子にベストな治療を決めていきましょう。
お家の犬に痒みの症状があって困っている方は、ご家族や犬にとってどの治療がベストか、当院にご相談ください。
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