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オトスコープによる犬の耳の診療|耳の内視鏡では何ができる?

2024.10.26

オトスコープによる犬の耳の診療|耳の内視鏡では何ができる?

「うちの犬、耳をかゆがっています」
このように犬の耳のトラブルにお悩みの方は多いのではないでしょうか。
病院でお薬をもらっても治りがあまり良くない時、オトスコープと呼ばれる耳の内視鏡を使うことがあります。

今回の記事ではオトスコープについて解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、新たな治療の選択肢として参考にしてみてください。

 📍 目次

 ▼ 犬の耳に多い病気
 ▼ オトスコープとは
 ▼ オトスコープの適応
 ▼ まとめ

 

犬の耳に多い病気

笑っているコーギー

犬の耳のトラブルは比較的よくある疾患です。
特に耳が垂れている犬種では構造的に耳の中の湿度が高くなり、耳のトラブルが起きやすい環境になってしまいます。
ここではよくみられる犬の耳の疾患について解説します。

外耳炎

外耳炎とは鼓膜より外側の耳道で起こる炎症です。
外耳炎は罹患する犬も多く、

  • 耳のかゆみ
  • 耳垢の増加
  • 耳のにおいの悪化
  • 耳の赤みや腫れ

などの症状がみられます。
外耳炎の治療は耳の洗浄と点耳薬です。
耳の炎症が長引き、耳道が塞がってしまうと外科手術になることもあります。

中耳炎

中耳炎は鼓膜よりさらに奥の方で生じる炎症です。
外耳炎が悪化したり、耳の中に腫瘍が生じたりすることで中耳に炎症が起こります。
外耳炎の症状に加えて眼球の揺れや首の傾きといった神経症状が現れる事もあります。
中耳は鼓膜のさらに奥にあるため点耳薬が届きません。
そのため点耳薬に加えて飲み薬も服用することが多いです。
炎症が重度になると外科手術が必要になる場合もあります。 

耳の腫瘤

耳の中にも腫瘤が出来ることがあります。
耳の穴のすぐ近くであれば目視や耳鏡で発見されることもありますが、奥の方に発生すると通常の検査では見つけることが困難です。
治りにくく繰り返す外耳炎や中耳炎の症状がある場合は耳の中に腫瘤がある可能性があります。
悪性腫瘍の場合もあるので早期に治療することが推奨されます。

 

オトスコープとは

仁王立ちしているヨークシャーテリア

オトスコープはあまり聞き馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
オトスコープとは耳の内視鏡です。
カメラとライトが先端に装着されていて暗い耳の中も観察することができます。
一般的に用いられている耳鏡は耳の入口までしか観察できず細長い耳道を観察するには限界があります。
オトスコープを用いることで奥の方まで耳を観察でき、さらにそのまま洗浄や処置が可能です。

 

オトスコープの適応

耳のトラブルのある犬でオトスコープはどんな時に使うのでしょうか。
オトスコープの適応について解説していきます。

外耳炎での適応

オトスコープを用いると外耳炎に対する治療がより情報量の多い状態で行うことができます。

耳道内の観察

オトスコープを用いると耳の中のより詳細な観察が可能です。
カメラ自体を耳の中に挿入できるため鼓膜周囲まで詳細に観察できます。
観察画面をモニターに映し出すことで獣医師だけでなく飼い主様にも観察している画像を共有できることもオトスコープの魅力です。

耳道内の洗浄

観察時に汚れがみられる場合はそのまま洗浄できます。
外耳炎がなかなか治らない犬の場合、耳道内の被毛に絡みついていて洗浄がうまく行えてないことが多いです。
そのような場合はモニターを見ながら汚れを狙って細かい部分まで洗浄していくことで洗浄効果がより高まります。
映像を見ながら処置ができるのがオトスコープの強みですね。

異物の除去

オトスコープを使用すれば耳道内の異物の除去も可能です。
異物が耳の中に入り込むと外耳炎や中耳炎の原因になります。
オトスコープを挿入して見つかった木の実や被毛などの異物は特殊な器具を用いることでそのまま取り除くことが可能です。

中耳炎での適応

一般的な中耳炎の治療でうまくいかない時はオトスコープを用いての治療が適用になります。
オトスコープでうまくコントロールできれば外科手術を行う必要がなくなるかもしれません。

中耳内の観察

オトスコープを用いると耳の奥まで観察できるため中耳内を見ることもできます。
中耳炎になってしまうと膿が貯留していたり、粘膜が肥厚していたりすることが多いです。
しっかりと中耳内を観察することで
「本当に中耳に炎症があるのか?」
「中耳に異物や腫瘤がないか?」
を確実に検査できます。

中耳の洗浄

オトスコープを使用することで耳の奥まで洗浄が可能です。
基本的には外耳炎と同様に洗浄を行います。
モニターを見ながら中耳内の膿や粘液を洗浄し、さらに必要に応じて抗菌薬などの薬剤を直接注入することが可能です。
うまく中耳炎がコントロールできれば外科手術を行わなくても済むこともあります。

耳道内の腫瘤性疾患での適応

上目遣いのジャックラッセルテリア

オトスコープで全ての腫瘤性疾患を切除できるわけではありません。
ポリープなどの単純な腫瘤の場合、オトスコープが適用になることがあります。

腫瘤の切除

耳道内の腫瘤の切除はもともと外科手術によって治療が行われてきました。
しかし耳の外科手術は侵襲性が高く、合併症も多いという問題点があります。
オトスコープを使用すると低侵襲で腫瘤の切除が可能です。
モニターで腫瘤を確認しながら鉗子やカテーテルを使用して切除を行うことで、外科手術よりも短時間でより簡便に処置を行うことができます。

 

まとめ

オトスコープは治療の幅を広げ、より詳細な観察が可能です。
繰り返す耳の疾患であってもオトスコープにより良化する可能性があります。
「愛犬の外耳炎がなかなか治りません。」
このようにお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。

 

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