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犬の耳の扁平上皮癌について|耳にできる悪性腫瘍の治療

2024.09.30

犬の耳の扁平上皮癌について|耳にできる悪性腫瘍の治療

扁平上皮癌は犬に比較的よく見られる悪性腫瘍で、耳は扁平上皮癌ができやすい部位のひとつです。
皮膚の扁平上皮癌は、早期に手術をしてしっかりと切除できれば完治できる癌です。
しかし、扁平上皮癌はしこりをつくらないことがあるため癌だと気付かれにくく、進行すると手術が難しくなってしまいます。

今回は犬の耳に発生する扁平上皮癌の特徴、検査、治療について解説します。
ぜひ理解を深めていただき、愛犬の病変に早めに気づいてあげましょう。

寝ている白い犬

 📍 目次

 ▼ 犬の扁平上皮癌の特徴
 ▼ 犬の耳の扁平上皮癌の検査
 ▼ 犬の耳の扁平上皮癌の治療と予後
 ▼ まとめ

 

犬の扁平上皮癌の特徴

扁平上皮癌は、皮膚や粘膜の扁平上皮細胞を由来とする癌です。

犬では比較的よく見られる癌で、皮膚や口腔粘膜、指の先など様々な場所に発生します。

耳の皮膚は扁平上皮癌ができやすい部位のひとつです。
扁平上皮癌の原因のひとつに、紫外線が考えられています。
そのため、日光にさらされやすい鼻の頭や耳などには扁平上皮癌ができやすいのですね。
被毛が白色の犬や短毛の犬でも紫外線の影響を受けやすいため、扁平上皮癌ができやすいと言われています。

癌というとしこりができるイメージがありますよね。
皮膚にできる扁平上皮癌はしこりをつくらないことがよくあります。
病変の見た目は様々で、赤くただれたような病変や、潰瘍(皮膚の表面が崩れてえぐれたような病変)、かさぶたなどができます。
進行すると、潰瘍が大きくなって出血や感染を伴い、痛みが出ることもあります。
しこりがないと見た目では癌とわかりにくく、治りにくい皮膚病と思っていたら実は癌だったということもあるのです。

 

犬の耳の扁平上皮癌の検査

扁平上皮癌は、見た目では他の皮膚病と区別ができません。
診断には針生検や病理組織検査が必要になります。

腫瘍の診断でよく行う検査に、病変部を注射針で刺して顕微鏡で細胞を見る針生検があります。
病変部の針生検を行って、扁平上皮細胞が多数採取されれば扁平上皮癌の可能性が高くなります。
針生検は診察室ですぐにできるメリットがある一方で、組織のごく一部の細胞しか採取できないため、腫瘍細胞が上手く採取されずに診断が難しいこともよくあります。
針生検で診断ができない場合に、病変部を切除して組織構造を見る検査が病理組織検査です。
扁平上皮癌の疑いが強いときには、手術によって病変全体を切除することで、病理組織検査での診断と外科治療を同時に行うことができます。

 

犬の耳の扁平上皮癌の治療と予後

並んでるラブラドールと獣医師

扁平上皮癌の治療では、外科治療がとても大切です。
扁平上皮癌は、癌が発生した部位において周囲に広がる性質はありますが、離れた臓器への転移は少ない癌です。
そのため、手術で癌をしっかりと切除できれば完治が期待できます。

切除範囲は癌ができた部位と大きさによって決めます。
耳の先のほうに癌ができたときには、耳介(耳の外側から見える部分)を切除することになります。
耳の根本に癌ができたときには、耳介全体に加えて耳道(耳の穴の内側)や顔の一部も切除しなければならないこともあります。
顔の見た目が変わってしまうことは悲しいですが、手術しなければ癌によって亡くなってしまう可能性が高いです。
手術できるのであれば早めに行うことを強くおすすめします。

残念なことに、切除できないほど大きくなってしまったり、転移が見つかったりした場合には、手術を行っても完治はできません。
完全切除が難しい場合や手術後に腫瘍細胞が残ってしまった場合には、放射線治療や抗がん剤治療を行うこともあります。
いずれも外科治療ほどの効果は期待できませんが、癌の進行を遅らせる可能性があります。

 

まとめ

犬の耳にできる扁平上皮癌は、しこりをつくらないことも多く見た目では癌だとわかりづらいことがあります。
手術でしっかりと切除できれば完治が期待できますので、大きくならないうちに手術をすることが大切です。
愛犬の耳に何か異変を見つけたら、お気軽に当院までご相談ください。

 

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