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犬にも多汗症がある?|犬の汗っかきについて解説

2024.10.21

犬にも多汗症がある?|犬の汗っかきについて解説

犬を飼っているご家族で
「毎年夏に皮膚炎を繰り返す」
「うちの犬、他の子と比べて皮膚がしっとりしている」
と感じている方はいらっしゃいますか?
体質のせいだから仕方がないだろうと諦めている方、もしかしたらそれは多汗症のせいかもしれません。

今回は犬の多汗症について解説します。
犬の皮膚の病気について詳しくなって、愛犬の皮膚の健康維持にお役立てください。

走るヨークシャーテリア

 📍 目次

 ▼ 多汗症って何?
 ▼ 多汗症の原因
 ▼ 多汗症の症状
 ▼ 多汗症の治療方法
 ▼ まとめ

 

多汗症って何?

多汗症とは「汗の分泌が過剰になる状態のこと」を指します。人間でも比較的有名な病気ですね。
汗は皮膚の表面にある汗腺というところから分泌されます。犬と人間の汗腺にはその分布に大きな違いがあります。
人間の全身の皮膚に分布しているのは、エクリン腺と呼ばれる汗腺です。エクリン腺は主に体温調節のための汗腺で分泌液は無臭です。一方、人間では脇などの限られた部位に分布する、アポクリン腺という汗腺もあります。アポクリン腺から分泌される汗はフェロモンとしての働きがあり、分泌液は独特な臭いです。
この2種類の汗腺の分布が人間と犬では逆になっています。犬ではアポクリン腺が全身に分布しているため、汗の分泌量が多いと全身から独特な臭いがします。
過剰になった汗により皮膚の性質が変化するため皮膚炎を起こしやすくなるというのも多汗症の特徴です。

 

多汗症の原因

犬の多汗症の原因は、遺伝的な要因と環境的な要因のふたつに大きく分けられます。それぞれについて詳しくご説明します。

遺伝的要因

詳細はまだ明らかになっていませんが、遺伝的な要因、いわゆる体質が要因であることもあります。
多汗症の好発犬種は、ヨークシャーテリアやミニチュアシュナウザーが代表的です。これらの犬種では若齢から発症し、年を重ねるごとに少しずつ悪化していくことがあります。多汗症が遺伝的要因により発症している場合は、完治させることが難しいです。

環境的要因

多汗症は汗をかきやすい環境で悪化します。
汗をかきやすい環境といえば、人間と同じで大きく分けて二つありますね。

高温多湿

高温多湿な環境では汗の分泌が増えるため、多汗症が悪化することが多いです。人間も気温や湿度が高い場所では汗をかきやすいですよね。
このため多汗症は夏季に悪化する代表的な疾患のひとつと言えます。

精神的ストレス

精神的なストレスも多汗症の要因の一つです。
慣れない環境や動物病院に行ったときなど、犬が緊張している環境では、汗の分泌量が多くなります。多汗症の犬の場合は、こうした環境で皮膚の状態が悪化することがあります。

パソコンを見ているヨークシャーテリア

 

多汗症の症状

汗が多くなることで、皮膚はどのような特徴があるのでしょうか。多汗症の犬の皮膚の症状は以下のようなものがあります。

見た目や臭いの変化

多汗症では汗の量が増えるため、独特の匂いがするようになります。
多汗症と似た病気に脂漏症という皮膚の脂が増える病気がありますが、多汗症ではその臭いとは少し違うもわっとした臭いがします。
見た目もふわふわしたような質感がなくなり、艶が出てしっとりした質感がわかることもあります。重度な場合は、毛束ができて地肌が見えるようになることも多いです。こうした症状は首や脇、股などの蒸れやすい部分に出やすいです。

皮膚炎を起こしやすい

多汗症では、汗の量が多いため常に皮膚がふやけたような状態になります。皮膚の角質層が水分を多く吸収するため、軟化してしまいます。角質層は皮膚のバリア機能として重要な役割があるため、多汗症の皮膚はバリア機能の低下した状態になるということですね。
多汗症では汗の影響で、皮膚のpHがアルカリ性に変化します。これも皮膚のバリア機能を低下させる要因のひとつです。皮膚の常在菌が増殖しやすくなり、膿皮症と呼ばれる細菌感染による皮膚炎を起こしてしまいます。

 

多汗症の治療方法

多汗症が疑わしい場合、治療はどのように行うのでしょうか。「体質だから仕方ない」と諦めがちな多汗症ですが、付き合っていく方法はいくつかあります。

適切なスキンケア

多汗症の治療で最も重要なのがスキンケアです。
皮膚のバリア機能が低下していることが多いため、それを補うようなスキンケアをします。

洗浄

多汗症の場合は、スキンケアとして入浴が効果的です。入浴は汗を洗い流し、皮膚の保湿をすることができます。入浴後に血行が良くなり過ぎて汗が出やすくならないよう、適切な水温、適切な方法で行うことが重要です。
皮膚のバリア機能が低下している状態では、洗浄力の強いシャンプーは逆効果になってしまいます。シャンプーは、毛穴汚れが気になる場合や細菌感染を起こしている場合に実施しましょう。最初は皮膚に優しいアミノ酸系の界面活性剤からはじめ、汚れの落ち方が不十分な場合は高級アルコール系界面活性剤へと、シャンプー後の皮膚の状態に合わせて選択します。細菌感染がひどい場合は、抗菌効果のあるシャンプーを使う場合もあります。

保湿

多汗症では、角質層が軟化していることが多いので、皮膚の保湿が非常に重要です。セラミドなどの角質細胞間脂質やヘパリン類似物質が、多汗症の保湿に適しています。

タオルに包まれるシュナウザー

保護

服の着用は、蒸れや擦れからも皮膚を守ることができ、物理的に皮膚を守ることができます。服に慣れていない犬ではストレスになったり、サイズや素材が合っていないと体温が上がってしまう場合もあるので、犬の様子を見ながら活用しましょう。

環境改善

多汗症の犬の場合は、環境の変化に気をつけてあげなければいけません。
特に夏季には、室温や湿度を適切に保つことが治療に有効です。季節によってスキンケアの頻度を変えて皮膚のバリア機能を強化することを検討しても良いでしょう。
ストレス要因を除去するというのも多汗症の悪化を防ぐことができます。
可能な限りストレス要因となりそうなものや機会をなくし、避けられない場合はおやつを活用するなどの工夫をしてあげましょう。

薬物療法

多汗症により皮膚炎を繰り返している場合には、ステロイドや免疫抑制剤の使用で良化するケースもあります。細菌感染を併発している場合には抗菌薬を投与します。
薬物療法はあくまで一時的な治療なので、長期的な治療に使用することはほとんどありません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は犬の多汗症について解説しました。
多汗症は、体質だからと諦めてしまいがちな皮膚の病気の病気のひとつですが、適切に管理することで症状の改善が期待できます。
犬のスキンケアは奥が深く、商品の種類も多いです。犬の状態に合わせて適切なスキンケアを行わないと悪化してしまうケースもあります。
犬のスキンケアや皮膚の症状に悩んでいる方はぜひ、当院にご相談ください。

 

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