犬アトピー性皮膚炎について|犬に多いアトピー性皮膚炎の原因や治療法を解説
「犬が昔から体中を痒がるけど、何が原因なの?」
「犬アトピー性皮膚炎って治らないの?」
「犬アトピー性皮膚炎の治療は薬を飲ませる以外にできることはあるの?」
このような悩みを持つ犬の飼い主様は多いのではないでしょうか。
今回は犬アトピー性皮膚炎について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬アトピー性皮膚炎の理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ 犬アトピー性皮膚炎とは |
犬アトピー性皮膚炎とは
犬アトピー性皮膚炎は、慢性的なかゆみを伴う皮膚疾患であり、特に若い犬に多く見られる病気です。
症状は、室内に存在するダニや花粉などのアレルゲンに対する過剰な免疫反応によって引き起こされます。
慢性的なかゆみは、犬にとって非常に不快であり、生活の質を著しく低下させる要因となります。
特に、1歳から3歳の間に発症することが多く、早期の発見と適切な管理が重要です。
犬アトピー性皮膚炎の原因
「そもそも犬アトピー性皮膚炎の原因は何?」
このように思われる飼い主様もいるのではないでしょうか。
犬アトピー性皮膚炎は以下のような要因が関与していると言われています。
遺伝的要因
犬アトピー性皮膚炎は遺伝的な素因が大きく関与しており、特定の犬種が発症しやすいです。
日本では、以下のような犬種が好発です。
- 柴犬
- フレンチブルドッグ
- シーズー
- ウェストハイランド・ホワイトテリア
これらの犬種の飼い主様は、愛犬の皮膚の様子を注意深く観察し、小さな変化を見逃さないことが大切です。
アレルゲン
おもなアレルゲンには、ハウスダストマイト(ダニ)、花粉などがあります。
これらの物質が犬の体内に侵入すると、免疫系が過剰に反応し、かゆみや炎症を引き起こします。
特に室内で飼われている犬はハウスダストやダニにさらされる機会が多く、アトピー性皮膚炎の発症を助長する要因となるので注意しましょう。
定期的な掃除や換気を行い、アレルゲンの影響を最小限に抑えることが重要ですね。
皮膚バリア機能の低下
健康な皮膚は外部からの刺激を防ぐバリア機能を持っていますが、アトピー性皮膚炎の犬ではこの機能が低下しているため、アレルゲンが侵入しやすくなります。
特に、乾燥した環境や不適切なスキンケアは、皮膚のバリア機能を損なう要因です。
適切な保湿や定期的なシャンプーを行い、皮膚の健康を維持することが重要です。これにより、アレルゲンの侵入を防ぎ、症状の悪化を防ぐことができます。
犬アトピー性皮膚炎の症状
犬アトピー性皮膚炎において、かゆみは最も顕著な症状です。
特に以下のような場所に症状が出やすいとされています。
- 耳
- 顔
- 足の先
- お腹
これらの部位は皮膚が薄く、外部刺激に敏感であるため、アレルゲンに対する反応が強く出やすいです。
かゆみが続くと、犬は自らの皮膚を掻き壊し、これにより脱毛や色素沈着が生じることがあります。
掻き壊された皮膚は炎症を起こし、赤みや腫れが見られることが多いです。
色素沈着は、慢性的な炎症の結果として現れ、見た目にも影響を与えるため、早期の治療が求められます。
犬アトピー性皮膚炎の診断
犬アトピー性皮膚炎の診断では、まず他の皮膚疾患を除外するための除外診断が重要です。
かゆみの原因は多岐にわたるため、膿皮症やノミアレルギー性皮膚炎などの他の疾患を考慮します。
最終的には、症状の観察を行い犬アトピー性皮膚炎の診断をします。
特に、犬の年齢や犬種、症状の分布は犬アトピー性皮膚炎の診断において重要な要素です。
犬アトピー性皮膚炎には以下のような特徴があることが多いです。
- 年齢
多くの場合、発症は3歳未満であることが多いです。 - 飼育環境
おもに室内飼育の犬が多いです。 - 治療反応
痒み止めの薬を投与すると痒みが軽減します。 - 皮膚病変の部位
前肢や耳介部に皮膚病変が見られるが、耳介辺縁や腰背部には病変がないことが一般的です。 - 慢性的または再発性の感染症
特にマラセチアの増殖がよくみられます。
さらに、血液検査や皮内反応試験なども行われますが、これらはあくまでアレルギーの原因物質を推定するためのものであり、確定診断には至りません。
犬アトピー性皮膚炎の治療法と管理
残念ながら、犬アトピー性皮膚炎は完治が難しいとされています。
犬アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質などの影響もあるため、うまく付き合っていくことが大切です。
犬アトピー性皮膚炎の治療は薬だけではなく、スキンケアなども重要です。
薬物療法
犬アトピー性皮膚炎の治療において、薬物療法は重要な役割を果たします。
特に、ステロイドや免疫抑制剤は、かゆみや炎症を抑えるために広く使用されていますね。
これらの薬剤は、アレルゲンに対する過剰な免疫反応を抑制し、犬の生活の質を向上させることが期待されます。
スキンケア
スキンケアも、犬アトピー性皮膚炎の管理において欠かせない要素です。
特に、保湿剤や低刺激性のシャンプーを使用することで、皮膚のバリア機能を強化し、乾燥を防ぐことができます。
アトピー犬は皮膚の保水成分であるセラミドが不足しているため、適切なスキンケアが必要です。
定期的なシャンプーと保湿を行うことで、皮膚の状態を改善し、かゆみを軽減することが期待されます。
生活環境の改善
犬アトピー性皮膚炎の原因となるアレルゲンを減らすためには、定期的な掃除や空気清浄機の使用が効果的です。
また、犬が過ごす環境を整えることで、アトピー性皮膚炎の発症リスクを低減することができます。
遺伝的要因が関与するため完全な予防は難しいですが、環境を整えることで症状の軽減が期待できます。
腸活で犬アトピー性皮膚炎が改善する?
犬アトピー性皮膚炎は、腸内環境の改善を通じて症状の改善が期待できるとされています。
腸活とは、プロバイオティクス(有用な微生物)やプレバイオティクス(善玉菌の餌となる成分)を摂取することです。具体的には、乳酸菌やオリゴ糖を含むサプリメントが効果的とされていますね。
これらは腸内の善玉菌を育て、免疫系のバランスを整える助けになります。
また、腸内環境を整えることで、皮膚のバリア機能も改善される可能性があります。
アトピー性皮膚炎の犬は皮膚バリアが弱く、外部からのアレルゲンに対して敏感です。
腸内環境が良好であれば、全体的な健康状態が向上し、皮膚の健康も改善されることが期待されます。
ただし、腸活による効果は即効性があるわけではなく、長期的な取り組みが必要です。
まとめ
犬アトピー性皮膚炎は痒みにより犬の生活の質が低下します。
完治することは難しい病気ですが、症状を抑えながらうまく付き合っていくことを目標にしましょう。
薬物療法だけでなく、スキンケアや体質改善などにも取り組むことも愛犬が健康に過ごす上で大切ですね。
当院では皮膚科診療に力を入れています。
犬のかゆみがよくならないなどのお悩みをお持ちの飼い主様はお気軽にご相談ください。
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