犬の「べんち」って何?|犬の皮膚にできる胼胝について解説
「べんち」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?
実は動物の皮膚にできるいわゆる「タコ」のことを医学用語では「胼胝(べんち)」と言います。たくさん勉強をしてペンだこができたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬にもある条件が揃うとべんちができることがあります。
今回は犬のべんちについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚の健康を保つのに役立ててください。
📍 目次 ▼ 「べんち」とは |
「べんち」とは
犬のべんちとは、皮膚の一部分に持続的に圧力や摩擦がかかることにより皮膚が分厚く硬くなった状態のことを指します。
人間の「たこ」と基本的には同じですね。
べんち自体は病気の名前ではなく、皮膚の状態を指す言葉です。
これ自体は治療しなければいけないわけではありません。
しかし放っておくと、感染症を起こして皮膚の状態が悪くなることもあるため注意が必要です。
べんちの原因
べんちは、どうしてできてしまうのでしょうか。
犬のべんちは、環境に原因がある場合と、犬の体格や姿勢に原因がある場合があります。
環境に原因がある場合
犬の皮膚に摩擦や圧力のかかりやすい環境には、
- 硬い床や地面
- 金属製のケージ
- すのこ
などがあります。
これらの共通点は、体重のかかる点が狭い一部分に集中してしまうという点ですね。
このような場所に犬がいる時間が長いと、体重のかかる部位にべんちができやすいです。
犬の体格や姿勢に原因がある場合
犬の体格が大きいほど一点にかかる体重が大きくなり、関節や皮膚には負担になります。
そのためべんちは、中型犬以上の犬種で見られることが多いです。
犬が高齢な場合や神経疾患がある場合などで同じ姿勢を取っている時間が長いと、べんちはできやすくなります。
例えば、伏せの時間が長い犬では肘や足根部に、グレート・デーンやジャーマン・シェパードなどの胸の深い犬では胸に、べんちができやすいです。
ベんちの症状
皮膚の同じ箇所に長時間摩擦や圧力が加わると、多くの場合最初に起こるのは、円形や楕円形の脱毛です。
そこから、皮膚が分厚く硬くなっていきます。色素沈着を起こして黒くなったり、カサカサになってフケが出ることもあります。
痒みや痛みなどの症状が出ることはほとんどなく、犬自身は気にしていないことが多いです。
細菌感染などを併発すると、痒みや痛みが出ることもあります。
べんちになっている部位に感染症を併発すると、治癒しづらいことが多いです。
ベんちの診断
べんちの診断は、症状の出ている部位や生活環境など、獣医師による視診や問診により行われます。
べんちに似た皮膚症状の出る他の病気を皮膚検査により除外する場合もあります。
べんちの治療・予防方法
べんちの治療や予防は「皮膚を持続的な圧力・摩擦から逃すこと」を基準に考えます。
生活環境を改善する
べんちができてしまった犬がおうちにいる方は、愛犬の過ごしている環境を改めて見直してみましょう。
硬い床や金属のケージで過ごしている場合、ビーズクッションやウォーターベッドなど柔らかいものを敷いてあげましょう。
高齢の犬や神経疾患のある犬ではどうしても同じ姿勢で長時間過ごしてしまいます。
そのようなべんちのできるリスクの高い犬では特に、気がついたときに体の向きを変えてあげるだけでも、べんちが改善するかもしれません。
体重を減らす
体重が重いほど、皮膚にかかる圧力は強くなります。
そのため、犬が肥満傾向ならダイエットも効果的でしょう。
体格が大きく痩せている犬でもべんちになることはあるので、必ずしもダイエットをすれば良いわけではありません。
しかし、肥満の犬では適正な体格・体重に近づくことでべんちができた皮膚が改善するかもしれません。
皮膚を保護する
すでにべんちになってしまった部位があるなら、その部分の皮膚を保護することも良いでしょう。
バンテージや犬用の服を着せることで皮膚への物理的な刺激を減らすことができます。
ワセリンやクリームなどを皮膚に塗ることも、皮膚の摩擦を減らすのに役立ちます。
皮膚のコンデションを強化する
スキンケアをしっかりしてあげることもべんちの治療・予防を行う上で非常に重要なことのひとつです。
皮膚がカサカサしていたり分厚くなってしまった犬には、保湿や皮膚を柔らかくする効果のあるシャンプーを使用すると良いでしょう。
皮膚のコンディションが良くなると、べんちができてしまった皮膚が柔らかくなるだけでなく、感染症を起こしにくくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は犬のべんちについて解説しました。
べんちができている犬の飼い主様の中には、仕方のないものと諦めている方も多いです。
犬自身は気にしていないことが多く、べんちができていることに気が付かなかったという方もいらっしゃいます。
この機会に、犬の皮膚の状態だけでなく、生活環境や体型を見直してみましょう。
愛犬に似た症状がある場合やべんちのできやすい体格である場合など、心配な方はぜひ当院へご相談ください。
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