皮膚科dermatology

動物病院に来院する理由の第1位をご存知ですか?

実は、『皮膚病』が最も多いのです。

皮膚病には大きく分けて2つあります。

  • 治る皮膚病
  • 治らない皮膚病

意外に思われるかもしれませんが、「治らない皮膚病」の方が多いです。
「治らないだなんて、何のための動物病院だ!」と言われてしまいそうですが、人のアトピー性皮膚炎や食物アレルギー、花粉による皮膚炎などは治らない皮膚病の代表格ですよね。
「痒みを和らげたい」
「赤みを引かせたい」
「薬の量を減らしたい」
という理由で、多くの方が皮膚科に通われていますが、これは猫でも同じです。治る皮膚病を治すことはもちろんですが、治らない皮膚病との付き合い方が重要です。最も良い付き合い方を飼主の皆さまと見つけていきたいと思っております。

皮膚科の診断・検査

1.問診・視診

皮膚科診療で最も重要な検査の一つが問診と視診です。
皮膚病は猫種、発症年齢、発症の背景、皮疹の見かけなどからその皮膚病を推測することが可能です。
当院ではアジア獣医皮膚科専門医が所属し、初診60分、再診30分という一般の動物病院ではありえない長さの診察時間を設け、診断に必要な情報を丁寧に聴取させていただきます。
正確な診断をつけるために、些細なことでも事前に愛犬愛猫の症状の情報をご準備いただくことをおすすめします。

問診・視診

2.顕微鏡検査

この検査では皮膚からどのような病原体が出ているかを見るための検査です。
顕微鏡検査には

  • 皮疹に押し当てたスライドガラスを観察するスタンプ検査
  • 毛を抜いて観察する抜毛検査
  • 皮膚の一部を削って観察する掻爬検査

などがあります。
それぞれの皮疹に対して最適な検査をご提案し、診断に近づけていきます。

顕微鏡検査

3.培養検査

顕微鏡検査で病原体が確認できても、その結果が不十分なことや、その病原体に何の薬が効くのかを調べる必要が出ることもあります。
昨今では多剤耐性菌という、あらゆる薬に対して耐性を持っている細菌が社会問題となっています。
培養検査を行うことで、正確にどんな細菌が出ているのか、抗菌薬などを使う場合はどんな薬が効くのかを判断することができ、多剤耐性菌の発生を防ぐこともできます。
また培養検査では皮膚糸状菌のような真菌も培養することができますね。
当院ではあらゆる適切な場面で培養検査をおすすめしております。

培養検査

4.皮膚生検・皮膚病理組織検査

一般的な皮膚検査では診断できない皮膚病も存在します。
その場合は一部皮膚を採取(皮膚生検)し、病理組織検査を行うことで皮膚病を正確に診断することができます。
皮膚生検、皮膚病理組織検査は、専門知識や技術が必要なため、どの動物病院でも行えるというわけではありません。
当院では、アジア獣医皮膚科専門医2名、アジア獣医皮膚科専門医協会レジデント3名が在籍し、適切な皮膚生検、皮膚病理組織検査を行っています。
「動物病院で皮膚生検、皮膚病理組織検査が必要と言われたけど、どうしたらいいかわからない」 などのお悩みがある方はいつでもお問い合わせください。

歯科処置室

当院の特徴

日本を代表する皮膚科・耳科専門施設

当院はアジア獣医皮膚科専門医2名、アジア獣医皮膚科専門医協会レジデント3名が在籍する日本を代表する皮膚科専門施設です。
豊富な経験と知識をもとに高度な皮膚科・耳科診察を提供し、飼い主様からだけではなく、トリマーや動物病院など、動物のプロから頼られる科です。

日本を代表する皮膚科・耳科専門施設
日本を代表する皮膚科・耳科専門施設

飼い主様への丁寧な説明と指導

当院では、初診60分は再診30分という一般の動物病院ではありえないほどの長時間の診察時間を設け、診断結果や治療方針について、飼い主様にわかりやすく丁寧に説明します。
飼い主様との信頼関係を大切にし、愛猫の健やかな暮らしを支えます。

飼い主様への丁寧な説明と指導

動物に優しい診察空間

当院では、動物が安心して診察を受けられるよう、快適な診察空間を提供しています。動物がリラックスできるように配慮した空間設計により、診療に伴うストレスを最小限に抑えることが可能です。
動物たちの様子を見ながら不安を最小限に抑えられるように診察や治療を進めていきます。

代表的な猫の皮膚の疾患例

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症はカビの感染症の一つです。
皮膚糸状菌症は犬だけではなく人間にも感染することがある恐ろしい皮膚病ですね。
皮膚糸状菌の感染力は非常に強く、皮膚糸状菌が感染した毛が環境中に残った場合、1年間感染力を保つこともあります。
そのため皮膚糸状菌症の治療では、動物の治療だけではなく、感染拡大を防ぐための対策を行わなくてはなりませんね。
猫への治療だけではなく、感染拡大対策まで含めて当院にご相談いただけますと幸いです。

皮膚糸状菌症の症例

好酸球性肉芽腫群

好酸球性肉芽腫群とは、好酸球が過剰に反応し肉芽腫を形成する疾患の総称です。
病変部位に好酸球が多数存在することが特徴です。
好酸球性肉芽腫群は以下のように病気の特徴によって分類されます。

  • 無痛性潰瘍
  • 好酸球性プラーク
  • 好酸球性肉芽腫
好酸球性肉芽腫群の症例

原因には様々なものが考えられますが、アレルギーが大きな原因の一つであると考えられています。
好酸球性肉芽腫群は、猫の皮膚病の中でもかゆみが強く出ることのある病気です。
愛猫がかゆがっているなど、症状に心当たりがあれば早めに当院までご相談ください。

過剰グルーミング

猫は過剰グルーミングによって皮膚炎を起こすことがあります。
猫はストレスを感じると自分を安心させるために、しつこくグルーミングをするようになります。
しつこくグルーミングをすることで皮膚が傷つくと、その部位からエンドルフィンという快感、鎮痛作用のあるホルモンが分泌されます。
そのため同じ場所を何度も舐め、皮膚に炎症が起こり続けるという悪循環に陥ってしまうのですね。
根本解決をするためには、原因となるストレスを取り除くように生活環境を見直す必要があります。
当院の皮膚科診療ではしっかりとした診察時間を確保し、原因となるストレスの特定し、快方に向かうような診療を行っています。

過剰グルーミングの症例

スタッドテイル(尾腺過形成)

猫の尻尾の付け根には尾腺という脂を分泌する分泌腺が存在しています。
スタッドテイルはこの尾腺から脂が過剰に分泌されることで引き起こされます。
そのまま症状が進行すると、次第に黒ずんでいき、最終的には炎症を引き起こしボコボコに腫れていきます。
このボコボコに腫れている様子が鋲に似ているため、スタッド(鋲)テイルと呼ばれているのですね。
スタッドテイルは去勢をしていない猫に多いと言われています。
当院ではスタッドテイルの予防のために若いうちからの去勢手術をおすすめしています。

スタッドテイルの症例