愛犬の皮膚が赤くなったり、かゆみが続いたりすると心配になりますよね。
「うちの子は飲み薬でアトピーを治療してるけど、副作用が心配」
このように悩まれる飼い主様は多いのではないでしょうか。
犬アトピー性皮膚炎は内服薬(飲み薬)で治療することが多いですが、外用療法(塗り薬)を使って改善することもあります。
今回は実際に外用療法を行い、症状が改善したフレンチブルドッグさんの症例をご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のかゆみにお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
| 📍 目次 ▼ 症例紹介 ▼ 実際の症例 ▼ 犬アトピー性皮膚炎とは ▼ 犬アトピー性皮膚炎の症状 ▼ 犬アトピー性皮膚炎の外用療法 ▼ まとめ |
症例紹介
| 動物種 | 犬 |
| 犬種 | フレンチブルドッグ |
| 主な皮膚症状 | 発赤(赤み)、脱毛、苔癬化(ごわごわ) |
| 来院理由 | これまでの治療で症状がコントロールできなくなったため セカンドオピニオンとして来院 |
| 診断 | 犬アトピー性皮膚炎+膿皮症(のうひしょう) |
| 治療方針 | 外用療法 |
| 治療期間 | 1か月 |
| 治療結果 | 赤みとかゆみが落ち着き、皮膚の状態が改善 |
実際の症例
今回ご紹介する症例は、かかりつけで犬アトピー性皮膚炎と診断され、セカンドオピニオンで来院されたフレンチブルドッグさんです。
これまでステロイドの内服薬で治療を続けていましたが、皮膚症状のコントロールが難しくなってきたとのことでした。
来院理由
今回の症例がサーカス動物病院に来院された理由は、これまで同様の治療では皮膚症状がコントロールできなくなったためでした。
初診時の状態
初診時、この症例は以下の部位が真っ赤に腫れており、皮膚がごわごわと分厚くなっていました。
- 顔面
- 指の間
- 尾

検査・診断結果
改めて皮膚科検査を実施した結果、皮膚表面にブドウ球菌が増殖していることがわかりました。
皮膚表面にブドウ球菌が増殖する皮膚病を膿皮症といいます。
このためこの症例は、犬アトピー性皮膚炎に加えて、膿皮症を併発していると診断しました。
治療方針
治療は飼い主様との話し合いの結果、外用療法を中心に行うことになりました。
長期間ステロイドの内服薬を使用している場合は、副作用がなるべく少ない治療法を検討する必要があります。
飼い主様には、外用薬を患部に毎日続けて塗るようお願いしました。
治療後の経過
治療開始から1か月後に再診に来ていただいて経過を確認しました。
その結果、以下の写真のように赤みやかゆみが徐々に落ち着き、皮膚の状態が改善していることがわかりました。

治療後の写真では、皮膚の赤みが落ち着いていることが確認できます。
毛がしっかり生えそろうまではもう少し時間が必要ですが、皮膚の状態が改善していることがわかりました。
今回のように、犬アトピー性皮膚炎は状態の変化によって治療の見直しが必要になることがあります。
ここからは、犬アトピー性皮膚炎の特徴と外用療法について解説します。
犬アトピー性皮膚炎とは
犬アトピー性皮膚炎は、犬の皮膚に慢性的な炎症やかゆみを引き起こす皮膚の病気です。
犬アトピー性皮膚炎では皮膚バリア機能が低下するため、環境中の物質に反応してアレルギー反応を起こします。
アレルゲンとなる代表的な物質には以下のものがあります。
- 花粉
- ハウスダスト(ダニの死骸など)
- 雑草
- カビ
とくに以下の犬種は犬アトピー性皮膚炎を発症しやすいことが知られています。
- フレンチブルドッグ
- 柴犬
- シーズー
犬アトピー性皮膚炎の症状
犬アトピー性皮膚炎では、慢性的な皮膚の炎症やかゆみによって以下の症状が見られます。
- 皮膚が赤くなる
- 体をなめる・かく
- 毛が薄くなる
- 皮膚がべたつく
皮膚のかゆみは夜も眠れないほど強い場合もあり、犬の生活の質を大きく落とすことが多いです。
犬アトピー性皮膚炎でかゆみが出やすい部位
犬アトピー性皮膚炎では以下の部位に強くかゆみが出やすいです。
- 顔面
- 耳
- 脇・股
- 指・肉球の間
- 尾
これらの部位が左右対称に赤くなって脱毛しているときは、犬アトピー性皮膚炎の可能性があります。
上記すべての部位ではなく、顔や耳など特定の部位にのみ強いかゆみを示す犬もいます。
犬アトピー性皮膚炎と常在菌の増殖
犬アトピー性皮膚炎では、皮膚の常在菌(じょうざいきん)が増殖してさらにかゆみが悪化することもあります。
常在菌は健康な犬の皮膚にも存在していますが、増えすぎるとかゆみや炎症を起こします。
増殖して問題になる皮膚の常在菌は以下の2つです。
- ブドウ球菌
細菌の一種で、毛穴に増殖して膿皮症を引き起こす - マラセチア
酵母菌の一種で皮脂を好む性質があり、増殖してマラセチア性皮膚炎を引き起こす
これらの常在菌が増殖しているときは、外用療法などで抑える必要があります。
犬アトピー性皮膚炎の外用療法
外用療法は、薬を皮膚に直接塗ることで治療する方法です。
皮膚に直接作用するため効果が高く、全身への副作用を抑えられるメリットがあります。
ただし外用療法は毎日の手間がかかるため、患部が広いと適切に治療を続けることがむずかしい場合があります。
愛犬の状態に合わせて、無理のない方法を獣医師と相談して決めることが大切です。
外用剤の種類
犬アトピー性皮膚炎でよく用いられる外用剤には以下の種類があります。
- ステロイド外用剤
- 消毒薬
- 抗真菌剤
それぞれについて見ていきましょう。
ステロイド外用剤
ステロイド外用剤は犬アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症を抑える外用剤です。
皮膚に部分的に塗るため全身への副作用は起きにくいですが、長期間塗り続けるとステロイド皮膚症を起こしてしまうことがあります。
獣医師の指示に従って使用することが大切です。
消毒薬
消毒薬は、犬アトピー性皮膚炎に関連して二次的に起こる膿皮症に対して使用する外用剤です。
とくにクロルヘキシジンという殺菌作用をもつ薬剤が使用されることが多いです。
抗真菌剤
抗真菌剤は、犬アトピー性皮膚炎に続いてマラセチア性皮膚炎を起こしたときに使用する外用剤です。
クリーム剤やシャンプー剤などの形があり、患部の位置や広さによって適切な外用剤が処方されます。
まとめ
犬アトピー性皮膚炎は長期的な管理が必要な病気であり、体への負担が少ない治療法を考えることが大切です。
外用療法は全身への影響が少なく、長期管理の選択肢のひとつとして有用です。
また犬アトピー性皮膚炎は同じ治療を続けていても、今回の症例のように膿皮症になってうまくいかなくなることも珍しくありません。
ブドウ球菌の二次感染を上手にコントロールすることが重要で、皮膚の症状が変化した場合は検査を行って皮膚の状態を確認することをおすすめします。
サーカス動物病院グループでは皮膚科診療に力を入れており、その子の状態に合わせた治療プランを丁寧にご提案しています。
「うちの子のかゆみがなかなか良くならない」という飼い主様も、まずはお気軽にご相談ください。
獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください
皮膚科領域には、国際的な治療ガイドラインが存在するものもあり、治療の選択肢も年々広がっています。
以前はコントロールが難しかった症例でも、最新の知見に基づいた適切なスキンケアや薬の組み合わせによって、かゆみを大幅に抑え、愛犬が穏やかに過ごせる状態を取り戻すことができる可能性が十分にあります。
多くの動物病院は「総合科」としてあらゆる診療科を網羅しており、何でも相談できるという素晴らしいメリットがあります。
一方で、獣医療の高度化に伴い、すべての科において最新の専門性を維持し続けることが難しいという側面も持ち合わせています。
サーカス動物病院グループには、アジア獣医皮膚科専門医が2名在籍し、専門性の高い皮膚科診療を行っています。「長年治療しているのに改善しない」「何が原因かはっきりさせたい」「スキンケアの方法を見直したい」とお悩みの飼い主様は、決して一人で抱え込まず、ぜひ当動物病院グループにご相談ください。
愛犬の皮膚の状態に合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。
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