「子犬の頃から顔をかゆがっている」
「病院で薬をもらっているけど、かゆみが治らない」
このような愛犬の痒みに関する悩みをお持ちの飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
これらの症状は、もしかすると犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのサインかもしれません。
今回の記事では、犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーについて、実際の症例を紹介しながら解説します。
愛犬の慢性的なかゆみの症状にお悩みの飼い主様はぜひお読みいただき、参考にしていただければ幸いです。
獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください
皮膚科領域には、国際的な治療ガイドラインが存在するものもあり、治療の選択肢も年々広がっています。
以前はコントロールが難しかった症例でも、最新の知見に基づいた適切なスキンケアや薬の組み合わせによって、かゆみを大幅に抑え、愛犬が穏やかに過ごせる状態を取り戻せる可能性が十分にあります。
多くの動物病院は「総合科」としてあらゆる診療科を網羅しており、何でも相談できるという素晴らしいメリットがあります。
一方で、獣医療の高度化に伴い、すべての科において最新の専門性を維持し続けることが難しいという側面も持ち合わせています。
当院には、皮膚科診療を特に得意としている獣医師が在籍しております。
「長年治療しているのに改善しない」「何が原因かはっきりさせたい」「スキンケアの方法を見直したい」とお悩みの飼い主様は、決して一人で抱え込まず、ぜひ当院にご相談ください。
愛犬の皮膚の状態に合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 犬アトピー性皮膚炎とは ▼ 犬アトピー性皮膚炎の症状 ▼ 食物アレルギーとは ▼ 食物アレルギーの症状 ▼ アレルギーを疑う際の診断方法 ▼ アレルギーの治療 ▼ 実際の症例 ▼ まとめ |
犬アトピー性皮膚炎とは
犬アトピー性皮膚炎は長く続く強いかゆみが特徴の皮膚疾患です。
環境中のアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)に対する免疫の過剰反応によって引き起こされます。
この病気は遺伝的な体質や皮膚バリア機能(皮膚が外部の刺激から体を守る力)の低下が関わっていると考えられています。
発症しやすい犬種として、
- 柴犬
- シーズー
- フレンチブルドック
などが挙げられますが、すべての犬種で発症する可能性のある病気です。
犬アトピー性皮膚炎の症状
主な症状は強いかゆみです。
アレルゲンに対する反応として体内でかゆみを引き起こす物質が作られ、強いかゆみが引き起こされます。
また、この他に
- 脱毛
- 皮膚の赤み
- 皮膚の黒ずみ
- 苔癬化(たいせんか:掻き続けることで皮膚が硬く肥厚した状態)
なども見られることがあります。
症状の出やすい部位もあり、特に
- 眼や口の周り
- 耳
- 手足の先
- 肘の内側
- 股
- 尻尾の付け根や肛門周囲
のような部位で左右対称に現れやすいとされています。
食物アレルギーとは
食物アレルギーは特定の食べ物に含まれるたんぱく質が原因で引き起こされる病気です。
本来は体に害のない食べ物の成分に対して、免疫が過剰に反応することで発症します。
代表的なアレルゲンには、
- 牛肉
- 鶏肉
- 小麦
- 大豆
- 卵
などが挙げられます。
「ずっと食べていたのに急に症状がでてしまった」ということもある病気ですので、長年同じフードを与えていても注意が必要です。
食物アレルギーの症状
食物アレルギーの症状は犬アトピー性皮膚炎と似ています。
これらの病気は併発していることも多く、二つを判別するのが難しいこともあります。
共通する主な症状は、
- 強いかゆみ
- 皮膚の赤み
- 左右対称の病変
などです。
このように、食物アレルギーの症状は犬アトピー性皮膚炎と似ているため外見からは判断が難しいことが多いです。
一方で、この二つの病気にも異なる点や、食物アレルギーの診断のための試験方法もあります。
犬アトピー性皮膚炎との症状の違い
まず、食物アレルギーでは皮膚の症状の他に下痢や嘔吐などの消化器症状が見られることがあります。
また、犬アトピー性皮膚炎は、花粉などが関与する場合に季節性がありますが、食物アレルギーは毎日食べる物が原因のため季節を問わず症状が続きます。
さらに発症年齢についても、犬アトピー性皮膚炎は生後6ヶ月から3歳頃が多いのに対し、食物アレルギーは幼齢から高齢まで幅広い年齢で発症する例があります。
アレルギーを疑う際の診断方法
アレルギーの診断は除外診断(他の病気を一つずつ除いていく方法)が基本になります。
かゆみを伴う皮膚疾患はアレルギー以外にも多くあり、見た目や一つの検査だけで確定することができないためです。
特に犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは併発することもあるため、どちらがどの程度症状に関係しているかを丁寧に確認していくことが大切です。
犬アトピー性皮膚炎の診断
犬アトピー性皮膚炎の診断では、臨床症状や補助的なアレルギー検査などが行われます。
以下の項目に多く当てはまる場合は犬アトピー性皮膚炎の可能性が高いです。
- 初発年齢が3歳未満
- かゆみ止めが効くかゆみ
- 手足の先や耳の内側の症状
- 室内飼育
- 初発症状がかゆみのみ
このような症状があり、ノミなどの寄生虫疾患や細菌感染による皮膚疾患などが除外されると犬アトピー性皮膚炎の可能性が高まります。
食物アレルギーの診断
食物アレルギーの診断では除去食試験が行われます。
除去食試験では、専用の療法食だけを1〜2ヶ月間与え、症状の改善が見られるかを観察します。
この試験で大切なのは、療法食以外のものを一切与えないことです。
おやつや果物など「少しくらい大丈夫かな」と思うものでも試験の精度に影響してしまいます。
アレルギーの治療
犬アトピー性皮膚炎は体質が関係するため、残念ながら完治が難しい病気です。
治療の目標は、かゆみを抑えて愛犬が快適に過ごせる状態を保つことになります。
主な治療方法としては、
- かゆみ止めなどの薬を使った内科療法
- スキンケアによる皮膚バリア機能の強化
- 環境管理
- 食事療法
などが挙げられます。
食物アレルギーの治療は原因となる食材を含まない療法食を継続することが治療の基本です。
犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが併発している場合の治療は、療法食と薬などによる治療を組み合わせて行われます。
実際の症例
今回ご紹介する症例は、8歳の柴犬です。
「顔のかゆみが子犬の頃から続いている」とのことで来院されました。
生後7ヶ月ごろから皮膚に症状があり、その他にも以下のような症状がありました。
- 目の周りや顎の赤み
- 脱毛
- 足先を舐める行動
今回の症例は細菌感染などの皮膚疾患がなく、犬種や症状の出方から犬アトピー性皮膚炎が疑われる状態です。
食物アレルギーが併発している可能性も考えられたため、続けて除去食試験を行いました。
症状の経過と治療
今回の症例では、除去食試験によって症状の改善がありましたが、完全に症状が消えることはありませんでした。
そのほかの病気もなかったことから、今回の症例は犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの併発と診断されました。
このような場合は療法食の他にかゆみ止めの薬などの内科療法も行う必要があります。
実際に療法食と薬による治療を5ヶ月行った後の再診では、写真のように顔の赤みや脱毛に改善が見られました。

左が治療前、右が再診時の様子です。毛が生え揃い、スッキリした良い表情になりましたね。
まとめ
今回紹介したアレルギーの病気はどちらも長く続くかゆみが特徴で、犬にとっても飼い主様にとっても大きな負担になる病気です。
また、二つの病気が併発しているケースもあり、片方だけに目を向けていると改善が不十分なこともあります。
長期間続く愛犬の症状を見て「もう治らないのかな?」と感じている飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回の症例のように食事管理と内科療法を組み合わせることで良好な状態を長く保てる可能性もあります。サーカス動物病院グループでは皮膚科診療に力を入れており、その子の状態に合わせた治療プランを丁寧にご提案しています。
「うちの子のかゆみ、どこに相談すればいいかわからない」という飼い主様も、まずはお気軽にご相談ください。
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