「愛猫の皮膚が急にただれてきた」
「うちの子が激しく顔を掻いて、ひどい状態になってしまった」
このような経験をされた飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫の皮膚がただれる病気のひとつに過敏性皮膚炎(かびんせいひふえん)があります。
今回はサーカス動物病院グループの皮膚科に来院された猫の過敏性皮膚炎の症例をご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の皮膚トラブルの早期発見にお役立てください。
| 📍 目次 ▼ 症例紹介 ▼ 実際の症例 ▼ 猫の過敏性皮膚炎とは ▼ 猫の過敏性皮膚炎の症状 ▼ 猫の過敏性皮膚炎の治療 ▼ まとめ ▼ 獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください |
症例紹介
| 来院理由 | 1週間前から急に顔の皮膚がただれてきたため |
| 主な皮膚症状 | 広範囲のただれ、かゆみ、かさぶた、脱毛 |
| 診断 | 過敏性皮膚炎 |
| 治療方針 | 免疫抑制剤による治療 |
| 治療期間 | 約2か月 |
| 治療結果 | 皮膚症状が改善し、被毛も回復した |
実際の症例
今回ご紹介する症例は、顔の皮膚が急にただれてしまったというミックスの猫です。
来院理由
今回の症例が来院された理由は、1週間前から顔を掻くようになり、あっという間にただれてしまったためでした。
わずか1週間で皮膚の状態が急激に悪化したことに、飼い主様もとても心配されていました。
初診時の状態
初診時、この症例の顔面の皮膚には以下の病変が見られました。
- 広範囲のただれ
- 強いかゆみ
- かさぶた
- 脱毛
これらの症状によって、この症例の生活の質は大きく低下していました。
皮膚を掻きむしってしまって炎症が悪化し、見た目にもとても辛そうです。

検査・診断結果
まずこの皮膚の症状が、細菌や真菌による感染症でないかを検査しました。
皮膚科検査の結果、感染症は否定され、過敏性皮膚炎と診断しました。
治療方針
治療方針として、過剰な免疫反応をおさえる免疫抑制剤を使った治療を始めました。
免疫抑制剤は感染症がある場合、皮膚の状態を悪化させてしまうことがあるため、丁寧な検査・診断を行うことが必要です。
治療後の経過
治療後の経過は良好で、約2か月後には皮膚が改善し、もとの可愛らしい顔に戻りました。
激しいかゆみから解放され、「愛猫が快適に生活できるようになった」と飼い主様も喜んでいらっしゃいました。

今回のように過敏性皮膚炎は適切な診断と治療を行うことで、大きな改善が期待できる病気です。
ここからは、過敏性皮膚炎の特徴と治療について解説します。
猫の過敏性皮膚炎とは
猫の過敏性皮膚炎は、アレルギー反応によって皮膚に炎症が起きる病気の総称です。
以下のような物質に対して免疫が過剰に反応することで、強いかゆみや皮膚のただれが生じます。
- ノミなどの寄生虫
- 環境中の物質(花粉、ハウスダスト、カビなど)
- 食物中のタンパク質
猫では比較的よく見られる皮膚トラブルのひとつで、かゆみを放置すると症状が悪化することもあります。
また猫が皮膚を掻きむしるうちに、二次的に細菌が増えて化膿することも珍しくありません。
猫の過敏性皮膚炎の症状
猫の過敏性皮膚炎は皮膚に以下のような症状が見られることが多いです。
- かゆみ
- 赤み
- 脱毛
- ただれ
- 粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん:ぶつぶつとした発疹)
とくに顔や首まわりは猫が掻きやすい部位のため、症状が急に悪化しやすいです。
過敏性皮膚炎でかゆみが強いと休息が取れなくなることもあり、愛猫の生活の質に影響することもあります。
愛猫が体を掻いているのが気になったときは、早めに動物病院を受診することが望ましいです。
猫の過敏性皮膚炎の治療
猫の過敏性皮膚炎の治療は免疫抑制剤を用いることが多いです。
免疫抑制剤による治療は、過剰になった免疫反応をおさえることで炎症とかゆみを和らげる治療です。
今回の症例でも免疫抑制剤が効いて、約2か月で症状が改善しました。
猫の過敏性皮膚炎の薬への反応には個体差があるため、経過を見ながら治療を調整していくことが重要です。
免疫抑制剤の種類
猫で用いられる免疫抑制剤には以下のような種類があります。
- ステロイド
- シクロスポリン
どちらの薬を使用するかは、獣医師と相談しながら決めていくことが大切です。
ステロイド
ステロイドは猫でよく用いられる免疫抑制剤のひとつです。
猫の過敏性皮膚炎に対しても高い効果があり、費用も安いことが特徴です。
しかしステロイドを長期間飲み続けると、糖尿病や感染症にかかりやすくなるなどの副作用が起こるリスクがあります。
このため副作用が起きていないかを血液検査などで確認しながら使用する必要があります。
シクロスポリン
シクロスポリンは猫に用いられる免疫抑制剤のひとつです。
この薬は猫の過敏性皮膚炎に対しても非常に高い効果があり、ステロイドに比べて長期使用時の副作用リスクが低いことが特徴です。
このため、長期的に皮膚のかゆみをコントロールする必要がある場合にも使いやすい薬です。
シクロスポリンは良い薬ですが、以下のデメリットがあります。
- ステロイドに比べると費用が高い
- 嗜好性(しこうせい)が低い
このため、シクロスポリンはすべての猫で使いやすい薬というわけではありません。
まとめ
猫の過敏性皮膚炎は、適切な診断と治療により症状の改善が期待できる病気です。
急に皮膚がただれてきたり、激しくかゆがっていたりするときは、早めに動物病院の皮膚科に相談しましょう。
サーカス動物病院グループでは、皮膚科の専門的な診療に力を入れており、丁寧な検査をもとに一頭一頭の状態に合わせた治療を行っています。
愛猫の皮膚の状態が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください
皮膚科領域には、国際的な治療ガイドラインが存在するものもあり、治療の選択肢も年々広がっています。
以前はコントロールが難しかった症例でも、最新の知見に基づいた適切なスキンケアや薬の組み合わせによって、かゆみを大幅に抑え、愛猫が穏やかに過ごせる状態を取り戻すことができる可能性が十分にあります。
多くの動物病院は「総合科」としてあらゆる診療科を網羅しており、何でも相談できるという素晴らしいメリットがあります。
一方で、獣医療の高度化に伴い、すべての科において最新の専門性を維持し続けることが難しいという側面も持ち合わせています。
サーカス動物病院グループには、アジア獣医皮膚科専門医が2名在籍し、専門性の高い皮膚科診療を行っています。「長年治療しているのに改善しない」「何が原因かはっきりさせたい」「スキンケアの方法を見直したい」とお悩みの飼い主様は、決して一人で抱え込まず、ぜひ当動物病院グループにご相談ください。
愛猫の皮膚の状態に合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。
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