狂犬病の予防接種について
市町村からお知らせが届いたら病院の予約をしているって方も多いのではないでしょうか?
なぜ狂犬病の予防接種が義務なのか?をご存じの方は、もしかしたら少ないかもしれません。
今回は狂犬病の予防接種が必要なワケについてお伝えします。
いきなり結論
端的に言うと
「万が一狂犬病に感染した動物に噛まれた場合、人も犬もほぼ100%亡くなる極めて危険な病気だから」です。
日本は世界でも稀な狂犬病清浄国の一つ(日本、英国、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ、グアム、フィジー諸島など)であり、これは非常に誇らしいことだと感じます。
なぜ“清浄国”なのに狂犬病予防接種が必要なの?
それは『日本が常に狂犬病ウイルス侵入の脅威に晒されている』からです。
日本は島国の利点を活かして空港や港での検疫を行い、水際対策を徹底しています。
ですが、感染した動物が船などで密輸され、そこからウイルスが広がる可能性などは依然として十分にあります。
実際の事例として、2013年に台湾で犬の狂犬病ウイルス感染が報告されました。
台湾は日本と同じく50年以上狂犬病の発生が無かった島国であり、決して他人事ではありません。
日本は過去 60 年近く清浄国であるが故に危機意識が低くなりがちですが、清浄国であり続けるためには一人ひとりの関心と納得が必要です。
狂犬病ってどんな病気?
狂犬病ウイルスは犬以外にも猫、コウモリ、キツネなどすべての哺乳類に感染し、これらの動物に噛まれることで人にも感染します。
発症するまでの期間は1~3ヶ月と言われており、発症すると発熱や食欲不振から始まり、異常行動、幻覚、麻痺、痙攣などの神経症状を引き起こし、最終的に昏睡にいたり、呼吸障害によって死亡します。
残念ながら治療法はありません。
一方でワクチン接種は狂犬病発症予防に有効性が高いことが知られており、犬への狂犬病予防注射を徹底することで犬での発症を予防し、人への被害を防ぐことができるのです。
法的観点から見る狂犬病
狂犬病の予防接種は『狂犬病予防法』で定められている法的義務です。
違反した場合は罰金もあり、2019年における国内での検挙数は174件に上ります。
以下厚生労働省のホームページから引用です。
- 「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)に基づき、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日内に市町村に犬の登録をし、鑑札の交付を受けるとともに、狂犬病の予防注射を犬に受けさせ、注射済票の交付を受けなければなりません。また、交付された鑑札と注射済票は、必ず犬に付けなければなりません。
- 登録されていない犬、狂犬病の予防注射を受けていない犬、鑑札や注射済票を装着していない犬は、捕獲・抑留の対象となります。また、飼い犬を登録していない所有者や飼い犬に予防注射を受けさせていない所有者、飼い犬に鑑札や注射済票を装着していない所有者は20万円以下の罰金の対象となります。
つまり
- 犬を飼ったら市区町村に登録
- 毎年の狂犬病予防接種
- 犬に鑑札と済票をつける
これらに違反したら20万以下の罰金が科せられます。
※ ただし、過去に摂取したことでアレルギー反応や体調の悪化が見られたことがあるワンちゃんや、重度の疾患に罹患している場合など理由があれば、狂犬病予防接種の猶予証明書を発行して、免除することができます。
ご不安な方は獣医師にその旨をご相談下さい。
まとめ
狂犬病について理解は深まりましたでしょうか?
発症したらほぼ100%助からない恐ろしい病気ですが、予防摂取によってそのリスクを限りなくゼロに抑えることができます。
最後になりますが、一度目を瞑って『もしも日本に狂犬病ウイルスが侵入してきたら?』と想像してみてください。
新型コロナウイルスの蔓延によって世界が一変したように、動物と暮らす私たちの生活に多くの影響をもたらすことでしょう。
- きっと街ですれ違う動物に対する視線は、今と全く同じではないはずです。
- 60年近く国内での発症がないため、現役の獣医師や動物看護師も含めて、実際に狂犬病を体験をした人材が極めて少ない点も懸念されます。
- 今以上に咬傷事故がリスクとなり、場合によっては狂犬病ウイルスの陰性証明がないと動物病院で診察を受けられないという未来が来るかも知れません。
4月から6月が狂犬病予防接種強化期間です。
このような世界にさせないため、人と愛犬の命を守るためにも、忘れずに予防接種をしていきましょう。
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