お家の犬の舌をチェックしたことはありますか?
犬の口腔内は目視で確認することが難しく、特に舌は動きが激しいため、異変が発見されにくい場所です。
犬の舌の潰瘍は口のトラブルだけにとどまらず、全身性の疾患が関わっていることもあります。
舌の潰瘍の原因を正しく判断して治療することが非常に重要ですね。
今回の記事では犬の舌の潰瘍についてご紹介します。
犬を飼っている方は最後までお読みいただき、舌の潰瘍について学んでいきましょう。
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📍 目次 ▼ 犬の舌の潰瘍とは |
犬の舌の潰瘍とは

犬の舌の潰瘍とは舌の粘膜がただれて、表面がえぐれている状態です。
舌の潰瘍は
- 赤く腫れる
- 白く膜を張ったように見える
- 出血をする
といった特徴があります。
舌の潰瘍は痛みを伴うこともあり、食事や飲水を嫌がることにより、食欲低下や脱水の原因にもなるため注意が必要です。
犬の舌の潰瘍の原因
舌の潰瘍の原因はさまざまであり、舌以外の原因が隠れていることも多いです。
以下ではおもな舌の潰瘍の原因について見ていきましょう。
口腔内の疾患
舌が負傷したり、舌自体に病変が形成されると、舌の潰瘍が生じます。
さらに、舌の直接的な異常だけでなく、歯周病や歯の異常も舌の潰瘍の原因になることも多いです。
歯周病や歯の異常
歯周病や歯の異常は比較的よく舌の潰瘍の原因になります。
重度の歯周病により口腔内の環境が悪化すると舌に炎症が波及し、潰瘍ができることがあります。
また、噛み合わせが悪い歯や折れた歯がある犬では慢性的に歯が舌を傷つけることによって潰瘍が生じることもあるため、注意が必要です。
異物による外傷や化学的な刺激
異物や薬物による事故によって舌に潰瘍ができることもあります。
犬に尖ったものや硬いおもちゃを与えると、遊んでいるうちに夢中になって舌の粘膜を傷つけてしまうため、非常に危険です。
また、洗剤や薬品を誤って舐めた場合も化学的な刺激により舌が傷つく原因になります。
舌の腫瘍
舌に腫瘍ができると舌の粘膜に潰瘍が生じることがあります。
犬の舌に生じる腫瘍は良性の腫瘍と悪性の腫瘍にわけられ、発生頻度は悪性の腫瘍が多いです。
舌の腫瘍の中には表面の血流が不足することで壊死し、潰瘍を形成するものも存在します。
全身性疾患
舌の潰瘍は全身性の疾患が背景にある可能性もあります。
特に高齢の犬では、舌の潰瘍が生じた際には口腔内のチェックだけでなく、全身検査を行うのが望ましいです。
末期の腎臓病
末期の腎臓病では腎機能の低下により体内に老廃物が蓄積し、口内炎や舌の炎症が生じることが多いです。
舌の炎症が進行すると潰瘍が生じ、さらに壊死してしまうこともあります。
舌の潰瘍により食欲が低下することで、体調が悪化するため注意が必要です。
ウイルスや細菌の感染症
ウイルスや細菌による感染症も舌の潰瘍の原因です。
舌に病変が生じる疾患の例にはレプトスピラ症やジステンパーウイルス感染症などが挙げられます。
レプトスピラ症とはネズミを媒介する細菌感染症です。
レプトスピラ症は
- 発熱
- 急性腎障害
- 肝不全
に加えて口腔内や舌に出血や潰瘍を生じます。
ジステンパーウイルス感染症は排泄物や飛沫によって感染し、子犬で特に致死率の高い感染症です。
ジステンパーウイルス感染症は
- 発熱
- 呼吸器症状
- 神経症状
に加えて口腔内や舌に炎症や潰瘍を生じます。
舌の潰瘍による症状

舌の潰瘍による症状には以下のようなものが挙げられます。
- 食欲が落ちる
- よだれが多くなる
- 口臭が悪化する
- 舌の動きに異常が生じる
舌の潰瘍が進行すると痛みが生じ、舌が壊死して切れてしまうこともあります。
犬の舌を詳しく確認することはご家庭では難しいこともあるため、気になる症状があれば早めに動物病院を受診しましょう。
舌の潰瘍の治療
犬の舌の潰瘍の治療は潰瘍に対する治療だけでは不十分なこともあります。
舌の潰瘍の処置に加えて、舌の潰瘍の原因に対しても治療を行います。
歯周病や歯の異常
歯周病や歯の異常の治療はデンタルケアや歯科処置です。
口腔内の炎症が軽度の場合は抗生剤や抗炎症薬で様子をみることもありますが、歯周病が進行している場合は歯石をとる処置が必要です。
歯が動揺していたり、歯が舌に当たってしまう場合は追加で抜歯も行います。
異物による外傷や化学的な刺激
舌の外傷が原因の潰瘍の治療は基本的には対症療法です。
異物による外傷が原因の場合は舌を傷つけている異物を取り除き、痛み止めなどで治療を行います。
化学的な刺激による舌の潰瘍も抗生剤や痛み止めなどの対症療法を行い、治癒するのを待ちます。
舌の腫瘍
舌の腫瘍の第一選択の治療は外科手術による切除です。
犬では舌を部分的に切除しても飲水、摂食が可能なことも多いです。
飲水や摂食が難しい場合はカテーテルを設置するなどの対策を行います。
全身性の疾患
全身性の疾患が原因の場合は、基本的には舌の潰瘍の原因となる腎臓病や感染症の治療が必要です。
舌の潰瘍の原因として腎臓病が隠れている場合には、腎臓病に対しての治療をしつつ、舌の潰瘍に対しては痛み止めや抗生剤などの対症療法を行います。
レプトスピラ症やジステンパーウイルス感染症などの感染症ではそれぞれの状態に応じて点滴や抗生剤などで治療を行います。
犬の舌の潰瘍を予防するためにできることは?

舌の潰瘍を予防するには日頃から口腔内のケアを行うことが重要です。
毎日歯磨きをすることで口腔内の環境を清潔に保ちつつ、口腔内の異変に早く気づくことができます。
また、硬すぎるおもちゃは口腔内を傷つけることがあるため避けましょう。
コード類や洗剤などは犬の届かない場所にしまうことで異物による事故を未然に防ぐことができますね。
まとめ
犬の舌の潰瘍は気づきにくいことも多く、発見したときには進行してしまっていることも少なくありません。
舌の潰瘍は単なる口腔内の疾患だけでなく、背景に腎臓病や感染症が隠れていることもあるため、注意が必要です。
また、舌の痛みは直接的に食事に関わり、食欲低下へ与える影響が大きいため、全身の状態悪化につながります。
当院では舌の潰瘍などの口腔内疾患の治療を行っております。
今回の記事を読んで舌の疾患に関して不安に思われた方はぜひ当院までご相談ください。
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