犬にも口蓋裂の子犬が生まれることがあるのを知っていますか?
口蓋裂は人間でも発症することのある疾患です。
先天性の疾患で、ほとんどの場合生まれてすぐに発症します。
そのため、生後すぐに亡くなってしまう子も多いです。
生存できたとしてもペットショップに販売されないことも多いです。
実際に口蓋裂の犬に出会う人も少ないことから、よく知らない方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな犬の口蓋裂について解説します。
愛犬の繁殖を考えている方や口蓋裂の犬をお迎えした方は、ぜひ最後まで読んでいただき犬の疾患についての理解を深めていただけると幸いです。
📍 目次 ▼ 口蓋裂って何? |
口蓋裂って何?
口蓋裂とは、口蓋に隙間が空いている状態を指します。
口蓋は、口腔内の天井の部分で、硬くギザギザの硬口蓋と柔らかい軟口蓋に分けられます。
実際に舌で前歯の裏から喉の奥に向かって上顎をなぞってみてください。
最初はかたい硬口蓋に、その後柔らかい軟口蓋に触れるのがわかるのではないでしょうか。
この部分が口蓋と呼ばれる部位で、口腔と鼻腔を隔てる役割を果たしています。
口蓋裂は、この部分に隙間が空き、口腔と鼻腔が繋がってしまっている状態です。
口蓋裂には上唇から硬口蓋の先端に隙間のある一次口蓋裂と、硬口蓋や軟口蓋に隙間のある二次口蓋裂があります。
犬では一次口蓋裂の単独での発生は多くありません。
二次口蓋裂との併発や二次口蓋裂単独の発生が多いです。
通常、口蓋や口唇は、母犬のお腹にいるときにくっつくはずです。
それがうまくくっつかない発達の異常により発生します。
つまり口蓋裂は先天性の疾患で、原因は
- 遺伝
- 妊娠中の不適切な栄養管理
- 母犬のホルモン異常
- ウイルス感染症
- 妊娠中の子宮損傷
などと言われています。
好発犬種はパグやボストンテリアなどの短頭種で、メスの方がオスより発生率が高いです。
口蓋裂の症状
口蓋裂の主な症状は、
- 哺乳困難になる
- 呼吸器である鼻腔に母乳やミルクが入ってしまう
です。
哺乳が難しいのは、口腔に空いている穴のせいでミルクを吸うのに口腔内にうまく圧力をかけることができないためです。
一生懸命吸っても口腔内に十分量入ってきません。
口蓋裂の子犬は、哺乳が十分にできず成長異常に繋がり、正常な他の子犬に比べ小さいのが特徴です。
また、口腔と鼻腔が交通していることで口から摂取したミルクが鼻腔内に入ってしまうことも大きな問題です。
鼻の穴からミルクが流れ出てきたり、鼻腔内に入り込んだ異物を出すためにくしゃみや鼻水が出ます。
軽症の場合はこのように鼻炎のような症状として現れます。
重症になると、鼻腔に入り込んだ異物をうまく排出できず誤嚥性肺炎を発症し命が危ぶまれることもあります。
口蓋裂の治療とは
口蓋裂の根本的な治療は外科手術です。
口蓋裂の治療の最大の目的は、口腔と鼻腔を分けることです。
二次口蓋裂の手術では、口蓋裂の粘膜をぬいあわせます。
一次口蓋裂の手術は、鼻孔下の口蓋裂の部分の皮膚を縫い合わせます。
そうすることで口蓋裂の隙間を埋め、口腔と鼻腔を分けることが可能です。
一次口蓋裂の手術は機能的な目的以外にも、外貌変化による美容的な改善も見込めます。
口蓋裂の治療はいつできる?
口蓋裂の手術は、口蓋裂が発覚してからすぐに実施できることはほとんどありません。
口蓋裂はほとんどの場合母犬と離乳する前の生後間もない時期に発覚します。
しかし、生後間もない子犬に全身麻酔をかけて口腔内の手術を行うのにはリスクが高いです。
全身麻酔によるリスク
生後間もない子犬では、麻酔薬を代謝する機能の発達が不十分です。
そのため、麻酔薬が体内に残りやすくなったり、強く効き過ぎてしまったりすることで手術を安全に行うことができません。
また子犬の手術では低血糖や低体温を発生しやすいです。
そのためなるべく短時間で手術を終わらせるなどの配慮が必要になります。
口腔内の発達が不十分
若齢な時期に口腔内の手術を行うことは、口腔内の組織の発達が不十分であることによる問題もあります。
子犬の口腔内の組織は柔らかすぎるため、縫合の張力に耐えることが難しいです。
張力に耐えられないと、縫い合わせた部分が離開したり血行が悪くなるリスクがあります。
口腔の成長により組織が薄く引き伸ばされてしまい再手術になることもあります。
これらの理由により、口蓋裂の手術が実施できるのは生後8〜12週以降です。
生後8〜12週まで成長することができれば、子犬の体格や感染症の有無などにより手術を行なっても良いか担当医が判断します。
十分に成長するまでの間は、子犬の栄養管理のために、口腔を経由せずに栄養を接種させる方法などを利用します。
これをチューブフィーディングといい、手術後の栄養管理にも便利です。
手術を行う場合には管理の仕方を知っておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は子犬の病気である口蓋裂について解説しました。
子犬の口蓋裂は発育不良や誤嚥性肺炎により子犬が亡くなってしまうことも珍しくない病気です。
口蓋裂のある子犬をお迎えしたご家族にとっては手術が実施できるようになるまでの期間、細やかな管理が必要でご心配が絶えないことでしょう。
当院では、口蓋裂の子犬の手術を実施することができます。
子犬にとって手術を行うのに適切な時期を見極め、手術までの期間は丁寧でご家族に無理のないケアを一緒に考えていきましょう。
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