猫を飼っている皆さんは、自宅で皮膚をかゆがる様子を見たことがありますか?
猫は毛づくろいをすることが多いので、かゆがっているのが分かりにくいことが多いです。
そのため、気がついたら大きな皮膚炎ができていたというケースは珍しくありません。
今回は、猫のかゆみを起こす原因となる皮膚病とその予防法について解説します。
猫のかゆみの原因について、詳しく知っておきましょう。
📍 目次 ▼ 猫の皮膚がかゆいとき、どんな症状が出る? |
猫の皮膚がかゆいとき、どんな症状が出る?
猫は、皮膚がかゆい時どのような行動に現れるのでしょうか。
猫は皮膚がかゆいと、
- しつこく同じ場所をなめる
- かゆい部分を擦り付ける
- 頭を振る
- 手足で引っ掻く
などの行動をします。
日常でよく見る仕草や毛づくろいと区別がつきづらいですよね。
猫の場合は、舌がザラザラしています。
そのため、同じ場所をなめ続けると、ヤスリで皮膚を削ったように皮膚が潰瘍を起こし、じゅくじゅくしてしまうことがよくあります。
このようなケースでは、皮膚の状態が悪くなることで細菌感染等を併発し、かゆみがさらに増すことがあるので注意が必要です。
猫にかゆみをもたらす病気とは
猫にかゆみをもたらす皮膚病にはどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれについて解説していきます。
アレルギー性皮膚炎
アレルギーが原因の皮膚炎は、猫のかゆみの原因として意外と多いです。
アレルギーとは、ある物質に対する過剰な免疫反応で、生まれ持った体質が原因です。
猫の場合は、アレルギー性皮膚炎についてあまり研究が進んでおらず、診断や治療が難しいことが多いです。
アレルギー反応を起こしてしまう物質は猫によって異なりますが、以下のような病気がアレルギー性皮膚炎に含まれます。
- 猫アトピー性皮膚炎(非ノミ非食物アレルギー性皮膚炎)
- 食物アレルギー
- ノミアレルギー性皮膚炎
- 蚊過敏症
これらの診断は、かゆみが出始めた時期や皮膚炎の部位などから推測して行います。
寄生虫感染
寄生虫の感染症も激しいかゆみが出ます。
外に出る機会のある猫や、ペットショップからお迎えしたばかりの猫にかゆみの症状がある場合、寄生虫の感染を疑います。
寄生虫感染が原因の皮膚炎は、比較的かゆみが強いのが特徴です。
猫の皮膚の寄生虫性皮膚炎には、以下のようなものがあります。
- 疥癬
- 耳ダニ症
- ニキビダニ症
これらは、かゆみのある部分の皮膚を少量採取し、顕微鏡で寄生虫が観察されたら診断となります。
治療は、寄生虫の駆虫薬を使用します。
ウイルス感染
猫特有の皮膚の病気として、ウイルス感染症による皮膚炎があります。
具体的には、免疫に関与する猫白血病ウイルスや、呼吸器に関与する猫ヘルペスウイルスに感染すると、皮膚にも症状が出ることがあります。
ウイルス感染による皮膚炎は、顔にがさがさしたフケが出たり、ひどくなると潰瘍を作ることがあるのが特徴です。
自己免疫疾患
猫にも、自己免疫疾患による皮膚の病気が存在します。
猫で代表的なのは、落葉状天疱瘡と呼ばれる皮膚の細胞同士を接着する分子に対する抗体ができてしまう病気です。
猫では、顔や耳に痂皮や膿疱ができます。
落葉状天疱瘡の場合は、免疫抑制剤を使用し改善を図りますが、生涯付き合っていかなければいけないケースが多いです。
皮膚腫瘍
猫のかゆみの原因が腫瘍というケースもあります。
炎症に関係する細胞が腫瘍化する肥満細胞腫やワクチンなどの注射をした部位に発生する注射部位肉腫などは、かゆみが出ることがあります。
皮膚腫瘍自体がかゆみを起こすので、その部位を猫が舐めたり引っ掻いたりして、腫瘍細胞が広く飛んでしまうことがあるのがおそろしいですよね。
これらの腫瘍は悪性度も高いことが多いので、見つけたら早めに病院を受診しましょう。
皮膚病以外が原因の皮膚のかゆみ
猫のかゆみ行動で、とても重要なのが皮膚病以外が原因の皮膚炎です。
皮膚をかゆがっているのに皮膚の病気ではない可能性があるというのは、あまりピンとこないですよね。
実は、猫は痛みのある場所があると、気にしてなめてしまいます。
そうすると、猫の舌はザラザラしているのでそれにより皮膚が削れ、皮膚炎の原因となります。
関節炎で痛い関節部位を、膀胱炎でお腹の膀胱がある位置を、というように痛みのある場所をしつこくなめるので、その部位に痛みがないかしっかり観察することが重要です。
そうすると、猫の舌はザラザラしているのでそれにより皮膚が削れ、皮膚炎の原因となります。
他にも、心の病気で体の同じ部位をなめつづけることもあります。
これが、心因性の皮膚炎です。
猫はなめることで、母猫からの毛づくろいを思い出し幸福感のあるホルモンを出すと言われています。
精神的なストレスや心の病気が原因の場合は、治療もとても複雑になるので、しっかり猫と向き合う必要があります。
かゆみが悪化する前にできること
愛猫が皮膚をなめ壊している姿を見るのは、ご家族にとって、とても辛いですよね。
かゆみがひどくなる前に、できる対策はあるのでしょうか。
ノミ・ダニ予防
ノミやダニなどの寄生虫には、予防薬があります。
これらの予防薬はおやつタイプのものと、皮膚に直接滴下する液体タイプのものがあります。
これらの薬を投与すると、1度皮膚に寄生虫がついても、猫の皮膚で繁殖したり長く生きることはできません。
そのため、ノミやダニによる皮膚炎を発症することがなくなります。
食事管理
食事管理は、猫のアレルギー性皮膚炎の時に必要になります。
猫は食物アレルギーを発症することも多く、その食物を避けることが直接的な治療です。
そのため、普段からどんな食事を食べているか、これまでどのような食事を与えてきたかなど、猫の食事について、ご家族がきちんと把握しておくことは治療に非常に重要です。
サプリメントやキャットフードで、皮膚に良いビタミンやポリフェノールなどの成分を摂取することもできるので、獣医師と相談し使用するのも良いかもしれません。
スキンケア
皮膚に悩みのある猫には、スキンケアも重要です。
シャンプーが苦手な猫は多いので、猫にスキンケアというとあまりイメージが湧かない方も多いでしょう。
例えば、毛玉ができやすい猫種の猫に定期的にブラッシングを行うこともスキンケアです。
毛玉ができると、皮膚が引っ張られるため、皮膚の状態が悪化します。
ノミのフンを除去したり、猫の皮膚をしっかり観察することができるというのもブラッシングが重要な理由のひとつです。
他にも、保湿剤を使用したり猫にストレスのない範囲でスキンケアを行いましょう。
愛猫をしっかり観察する
最も重要な皮膚病の予防法は、愛猫をしっかり観察することです。
猫の皮膚のかゆみの症状は、毛づくろいと判別がつきにくく重症化するまで気が付かないことが多いです。
猫の体をしっかり観察するだけでなく、
- 体を舐めている時間が長くなっていないか
- 同じ部位ばかり舐めているのではないか
- 環境変化の後、急に毛づくろいが増えていないか
- 排尿回数や歩き方などその他の異常はないか
このように猫の変化をしっかり観察し異変に気がついてあげることで、皮膚病の早期発見につながります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
猫のかゆみについて、今回は原因とその予防法を詳しく解説いたしました。
重症化してから発覚することの多い猫の皮膚炎は、治療も簡単ではないことが多いです。
自宅で猫が皮膚をかゆがっている様子があれば、しっかり体を観察し、皮膚炎を早めに見つけてあげましょう。
愛猫の皮膚に気になることがあれば、ぜひ当院までご相談ください。
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