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犬の胆泥症に要注意!|定期的な健康診断で症状のわかりにくい胆嚢疾患を早期発見

2025.04.14

白黒のシェルティ

「健康診断を勧められるけど、大切さがよくわからない」
「何か症状が出てから治療ではいけないの?」
「健康診断で胆泥症と診断されたけど、治療は必要?」
健康診断の目的は、病気の早期発見だけでなく、現在の健康状態を把握して今後起こりうる病気を予防することです。
病気の多くはかなり進行しないと症状が出ないため、気づいた時には重篤になっていることも少なくありません。
7歳以上のシニア犬の多くが患っている胆泥症も、そのひとつ。
胆泥症は胆嚢粘液嚢腫などの閉塞性疾患に移行するリスクや、胆嚢炎や肝炎を併発することもあるため、犬では注意が必要な病気です。

今回は定期的な健康診断の重要性について、犬の胆泥症を例にお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康診断や胆泥症について考える参考になさってください。

 📍 目次

 ▼ 犬の胆泥症の基礎知識
 ▼ 定期的な健康診断の重要性
 ▼ 健康診断で胆泥症が見つかったら?
 ▼ まとめ

 

犬の胆泥症の基礎知識

胆嚢は肝臓で作られた消化酵素(胆汁)を一時的に溜めて濃縮する袋状の臓器です。
ご飯を食べると胆嚢が収縮し、胆管を通って流れ出た胆汁が脂肪の消化を助けます。
胆泥症とは、本来であれば黄色くサラサラした液体の胆汁が泥状になり、胆嚢に溜まってしまう状態です。
犬では7歳以上のシニア犬で発生が多く、胆嚢炎や肝炎などを併発していることもしばしばあります。
食生活や体質、膵炎や糖尿病、甲状腺機能低下症などの病気が原因になることもありますが、はっきりとはわかっていません。
以下の脂質代謝異常や高脂血症を起こしやすい犬種がハイリスクと言われていますが、これ以外の犬種でもたびたび見られています。

  • ミニチュア・シュナウザー
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • シェットランド・シープドッグ
  • シー・ズー など

犬の胆泥症の症状

胆泥症は初期症状がほとんどなく、健康診断で偶然発見されることが多いです。
ただ、症状はなくても肝臓に負担をかけていることがあり、その場合は血液検査の結果に現れます。
胆泥が胆管に出て胆汁の通過を滞らせると、以下の症状が見られるようになります。

  • 黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)
  • 尿が黄色くなる
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 白いうんちをする(脂肪便)
  • お腹の痛み・腫れ
  • 元気や食欲がなくなる

こうした症状は、胆嚢炎や胆石、肝炎などを伴った場合にも見られます。

胆泥症を放置するとどうなるの?

胆泥症の胆嚢は健康な胆嚢と比べて動きが悪く、胆嚢粘液嚢腫を含む閉塞性疾患になりやすい状態です。
閉塞性疾患では胆汁の排泄が滞り、重篤になると胆嚢内に溜まりすぎた胆汁により胆嚢が破裂します。
胆嚢が破裂すると、腹腔内に胆汁が漏れ出て、周囲の臓器や組織を消化し、腹膜炎を起こします。
胆汁性の腹膜炎は命にかかわる重篤な状態です。
治療には緊急手術が必要ですが、手術をしたとしても必ず助かるわけではなく、そのまま亡くなってしまうことも少なくありません。
胆泥症は命を失う恐れのある胆嚢の閉塞性疾患につながるかもしれない注意が必要な状態です。
症状や血液検査上の異常がなかったとしても、胆泥症が見つかったら定期検査で経過を追う必要があるでしょう。

 

定期的な健康診断の重要性

診察を受けるミニチュアダックスフンド

犬の胆泥症の早期発見には定期的な健康診断が不可欠です。
胆泥症に限らず肝臓や胆嚢の病気は初期症状がないものが多く、飼い主様が気づいた時には治療が難しいほど重篤になってしまっていることがよくあります。
中高齢の犬ではかなりの割合が胆泥症になっています。
年に1回、7歳を超えたら年に2回は腹部超音波検査を含めた健康診断を受けるようにしましょう。

 

健康診断で確認するポイント

胆嚢の状態や肝臓への影響の有無を確認するには、腹部超音波検査と血液検査を行います。
超音波検査で肝臓を観察すると黒くて丸い穴が見えますが、これが胆嚢です。
通常であれば胆嚢の内部は真っ黒ですが、胆泥症の犬では胆嚢の中に白い泥のようなものが見えるでしょう。
胆泥が確認された場合は、胆泥に可動性があるかも確認します。
血液検査では、ALP、GGT、GPT(ALT)、GOT(AST)、コレステロール、ビリルビン、中性脂肪の値を確認します。
胆泥症の原因としてホルモンの病気が疑われる場合は、追加でホルモン検査をすることもあります。

 

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健康診断で胆泥症が見つかったら?

健康診断で胆泥症が見つかったとしても、胆泥に可動性があり血液検査で異常がなければ、治療をせずに食事や運動など生活習慣を見直し、経過を見ることがほとんどです。

血液検査の結果に異常がある場合、血液検査で異常がなくても胆泥に可動性がない場合は、治療が必要になります。

胆泥症単独では胆嚢破裂を起こすことは少ないですが、進行をすると閉塞性疾患に移行して胆嚢破裂を起こす恐れもあります。
早い段階で治療をはじめることで、犬にとっても飼い主様にとっても、より負担の少ない方法で治療を進めることができるでしょう。

以下に、胆泥症の食事管理と治療法について、詳しく説明します。

食事管理

胆泥症に対する食事療法は確立されていませんが、胆汁は脂肪の消化を助ける消化酵素なので、胆泥症の犬に対しては脂肪分の低い食事をおすすめします。
特定の食材を与えると胆泥症が治るという情報があるようですが、過剰に与えすぎて逆に悪化させてしまうこともあるので、食事内容についてはくれぐれも獣医師にご相談ください。
肥満も胆泥症のリスク要因と考えられますので、太り気味であればダイエットをしましょう。

内科療法

胆泥症の内科治療では、利胆剤と呼ばれる胆汁の排泄を良くする薬や、胆管からの胆汁の流れを良くする薬、消化管運動を良くする薬などの内服をしていただきます。

治療の効果を見るために、投薬中は定期的な検査が必要です。

胆嚢炎や肝炎、ホルモンの病気などがある場合は、その治療も行います。

 

まとめ

犬の胆泥症は無症状のまま進行するため、普段の様子のみで飼い主様が異変に気づくのは難しいでしょう。
健康診断で見つかったとしても、無症状のため治療やその後の定期検査を迷われる方がいるかもしれません。
しかし、胆泥症の犬は胆嚢の動きが弱っていることが多く、最終的に胆嚢破裂を起こす閉塞性疾患になる可能性があると考えられます。
早期に発見して早期に治療をはじめることで、大きな負担をかけずに長く健康でいられるでしょう。

当院では、定期的な健康診断により、胆嚢の病気を含めた病気の早期発見・早期治療に力を入れています。
健康診断についてご不明なことなどございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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