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犬の耳毛抜きについて|外耳炎での耳毛抜きには要注意?皮膚科の獣医師が解説

2025.01.14

犬の耳毛抜きについて|外耳炎での耳毛抜きには要注意?皮膚科の獣医師が解説

耳をかいている柴犬

「耳毛が多いと外耳炎になりやすいって本当?」
「外耳炎にならないために耳毛は抜いた方がいいの?」
こんな疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。

実は、犬の外耳炎で耳毛を抜くことはあまりおすすめできません。
耳毛を抜くよりも外耳炎の本当の原因を突き止めることが重要です。

今回は犬の外耳炎と耳毛抜きについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、日頃の愛犬の耳のケアにお役立てください。

 📍 目次

 ▼ 犬の外耳炎とは
 ▼ 犬の外耳炎での耳毛抜き
 ▼ まとめ

 

犬の外耳炎とは

犬が外耳炎になると

  • 耳を掻く
  • 頭を振る
  • 耳の中が腫れる
  • 耳の中が赤くなる

などの症状がみられます。
外耳炎は強い痒みを伴うため犬にとっては大変不快なものです。
外耳炎は適切な診断と治療を行わないと再発を繰り返してしまいます。
外耳炎にはどのような原因があり、どのように診断をするのかを詳しく解説していきます。

犬の外耳炎の原因と診断

外耳炎の診断には「PSPP分類」という考え方があります。
「PSPP」とは外耳炎の原因を4つに分類した時の頭文字です。
日本語に置き換えると

  • P:主因
  • S:副因
  • P:増悪因
  • P:素因

となります。
それぞれについて解説します。

 

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P:主因

主因とは単独で外耳炎を起こす原因となるものを指します。
つまりPSPP分類の中で主因だけが直接外耳炎を起こす原因となるものです。
外耳炎の治療では主因を把握することが最も重要となります。
外耳炎の主因には

  • アレルギー
  • 脂漏症
  • 異物
  • ミミダニなどの寄生虫
  • ホルモン異常
  • 免疫疾患などその他の疾患

などがあります。
特にアレルギーが原因の外耳炎は発生率が最も高いです。
主因は慢性疾患が多く、完治させることが難しい疾患ばかりです。
外耳炎を治療するためには主因を確実に突き止め、適切に管理をすることが賢明ですね。

S:副因

副因とは外耳炎に続発しておこるもので、簡単に取り除くことができるものを指します。
マラセチアの増殖、不適切な洗浄などが副因に含まれます。

P:増悪因

増悪因子とは外耳炎に続発しておこり、外耳炎を悪化させるものを指します。
耳垢や分泌物などが増悪因子に含まれます。

P:素因

素因とは外耳炎の発症リスクを上げるものを指します。
高温多湿や耳の通り道の狭さなどが素因に含まれます。

 

犬の外耳炎での耳毛抜き

耳をかいているチワワ

外耳炎を根本的に治すためには主因にアプローチすることが大切です。
同じ理由で耳毛抜きは外耳炎の解決策としてあまり有効とは言えません。
ここからは耳毛抜きにフォーカスを当てて解説していきます。

犬の耳毛抜きの勘違い

「外耳炎になるのは耳毛が多いからだ!」
というのは勘違いです。
外耳炎の原因は必ず耳毛以外にあります。
耳毛を抜いたからといって外耳炎が治るわけではありません。
耳毛を抜く以前に外耳炎の主因を突き止めてその管理を行うことが重要です。

犬の耳毛抜きのデメリット

耳毛を抜くことは外耳炎の根本的な治療にならないどころか、犬の耳にとって悪影響になることもあります。
耳毛を抜くことのデメリットには

  • 耳の通り道にダメージを与える
  • 耳の中に異物が入りやすくなる

などが挙げられます。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。

耳の通り道にダメージを与える

耳毛を抜いたことで耳の中の皮膚が炎症をおこす可能性があります。
人の鼻毛に置き換えて考えてみてください。
無理に鼻毛を抜いたら痛いですよね?
痛いだけでなく、痒くなったり血が出たりすることもあると思います。
これは鼻の中の粘膜がダメージを受けているということです。
犬の耳毛抜きでも同じことがおこります。
耳の通り道がダメージを受けると耳垢が過剰に産生されたり、耳の通り道が炎症を起こして狭くなったりして外耳炎が悪化する可能性もあります。

耳の中に異物が入りやすくなる

耳毛には外からの異物やアレルゲンの侵入を防ぐ役割があります。
過度に耳毛を抜くと耳の中に異物が入る可能性があります。
この現象も人の鼻毛に例えるとわかりやすいかもしれません。
鼻毛を抜きすぎると花粉やほこりがたくさん侵入してきてくしゃみが出やすくなると思います。
犬の耳毛抜きでも同じような現象がおこるということです。
異物が入りやすくなると外耳炎も悪化しやすくなります。

犬の耳毛はどうする?

耳掃除をされているシーズー

耳毛抜きは外耳炎の根本的な解決にはなりませんが
「絶対に耳毛を抜いてはいけない。」
というわけでもありません。

  • 外耳炎になって汚れが耳毛にこびりついている
  • 耳毛によって耳垢が外に出ることが妨げられている

このような場合には処置が必要です。
すぐに耳毛を抜くのではなく、よりダメージの少ない耳毛カットから検討します。

 

まとめ

いかがでしたか?
犬の外耳炎と耳毛抜きへの理解を深めていただけたでしょうか。

  • 耳毛は基本的には抜かない
  • 外耳炎の有無で処置を決める
  • 安易に抜かずにまずはカットから

以上のようなポイントをおさえて日頃の愛犬のケアをしていただければ幸いです。
当院は皮膚科、耳科診療に力を入れており、外耳炎の治療にも豊富な経験があります。
犬の耳の痒みでお悩みの際はぜひ当院にご相談ください。

 

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