犬の皮膚トラブルと薬剤耐性菌の関係|薬剤耐性菌のリスクと対策
「犬の皮膚にかさぶたができてかゆそうにしている」
「犬が膿皮症を繰り返しているけど、何が原因なの?」
「膿皮症で抗生剤をもらって内服しているけど、よくならない」
このように犬の皮膚トラブルの治療にお悩みの方は多いのではないでしょうか。
特に、細菌感染が原因である膿皮症は犬でよく見られ、近年では薬剤耐性菌が問題になっています。
今回の記事では、犬の皮膚トラブルと薬剤耐性菌について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、薬剤耐性菌を理解し、犬の皮膚の健康を守りましょう。
📍 目次 ▼ 薬剤耐性菌とは |
薬剤耐性菌とは
薬剤耐性菌とは、抗生剤などの本来は細菌の増殖を抑えるはずの薬剤に対して耐性を持つ細菌のことを指します。
薬剤耐性菌が発生するおもな原因は、抗生剤の不適切な使用です。
必要以上に長期間の投与や、必要性が低いケースでの使用などによって、細菌が薬剤に適応・進化し、耐性を獲得してしまいます。
薬剤耐性菌は抗生剤が効かないことが多く、感染症の治療が困難になることがあります。
犬の膿皮症と薬剤耐性菌
犬の皮膚トラブルの中でも、膿皮症は特に多く見られる疾患の一つです。
膿皮症は皮膚の細菌感染によって引き起こされ、
- 赤み
- かゆみ
- フケ
- 円形のかさぶた
- 膿疱(白い膿を含んだニキビのようなもの)
- 表皮小環(膿疱が破裂した跡)
などの症状が見られます。
膿皮症はブドウ球菌がおもな原因菌として知られていますが、最近では、抗生剤が効かない薬剤耐性を持ったブドウ球菌が問題になっています。
膿皮症の原因となる細菌のうち、約30〜40%は抗生剤に耐性を持つブドウ球菌が関与しているとも言われていますね。
このような多剤耐性菌は、従来の抗菌薬が効かないため、治療が長引いたり、再発を引き起こす要因となります。
薬剤耐性菌による膿皮症の治療
犬の膿皮症の治療は抗生剤が使用されることが多いですが、薬剤耐性菌が原因の場合はさまざまなアプローチが必要です。
薬剤耐性菌による膿皮症の治療では、
- 薬剤感受性試験に基づいて抗生剤を選択する
- 薬用シャンプーなどを使用する
- サプリメントを活用する
などの方法が有用とされています。
これらの対策について詳しく解説していきましょう。
薬剤感受性試験に基づいた抗生剤の選択
膿皮症が再発したり、治療に反応しない場合には細菌培養と薬剤感受性試験を行うことが推奨されます。
薬剤感受性試験では膿皮症の原因となる細菌に対し、どの抗菌薬が効果的かを特定することが可能です。
適切な抗生剤を使用することで膿皮症の改善が期待できる上に、さらなる薬剤耐性菌の出現を予防できます。
薬用シャンプーの使用
薬用シャンプーは洗浄力が強く、皮膚の細菌の数を減少させる効果があります。
特に抗菌・殺菌作用のあるクロルヘキシジンを含むシャンプーがおすすめです。
クロルヘキシジンはブドウ球菌に対して高い効果が証明されており、薬剤耐性菌にも有効なため、膿皮症の治療に使われます。
シャンプーの使用頻度は週に2〜3回が推奨されています。
サプリメントを活用する
最近では、犬の皮膚トラブルの治療にサプリメントが注目されてきています。
プロバイオティクスやプレバイオティクスなどの腸内環境を整えるサプリメントは免疫機能を調節し、皮膚のバリアを強化する働きがあります。
また、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのオメガ3脂肪酸は皮膚の血流を改善し、炎症を抑える効果が期待できますね。
オメガ3脂肪酸は抗酸化作用のあるビタミンEと一緒に摂取することで相乗効果を発揮し、より効果的に皮膚を保護します。
サプリメントだけでは膿皮症の治療は難しいですが、他の治療と併用することで皮膚の健康を促進し、膿皮症が改善する可能性があります。
まとめ
薬剤耐性菌は、犬の皮膚トラブルの治療においても、深刻な問題となりつつあります。
膿皮症の治りが悪い場合は早めに薬剤感受性試験を行い、最適な抗生剤を使いましょう。
不必要な抗生剤の使用を防ぐことで、薬剤耐性菌の出現リスクを減らすことができますね。
当院では皮膚科の診察に力を入れています。
愛犬の皮膚トラブルにお悩みの方は気軽にご相談ください。
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