
「最近、うちの犬の目やにが多い気がする」
「涙がずっと流れていて、目の下の毛が茶色くなってる」
「目のまわりが赤くなって、涙でいつも濡れている」
このような状態が見られる場合、「流涙症(りゅうるいしょう)」の可能性があります。
涙が多くて目やにが増えるのは、比較的軽いトラブルのようにも見えますよね。
しかし、放っておくと皮膚炎を起こしたり、目の病気につながることもあります。
今回は、犬の流涙症について、原因や治療法、そして自宅でできるケアについて詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目の健康管理にお役立てください。
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📍 目次 ▼ 犬の流涙症とは? |
犬の流涙症とは?
犬の流涙症とは、涙の量が多くなる、涙が常にあふれ出ている状態です。
涙は本来、目を潤し、ゴミや細菌を洗い流す重要な役割を果たしています。
しかし、必要以上に分泌されたり、涙がうまく排出されなかったりすると、涙があふれ出てしまいます。
流涙症の主な症状
流涙症の犬に見られる症状には、以下のようなものがあります。
- 涙が常に出ている
- 目の下の毛が濡れている
- 目の下が変色している(茶色くなる)
- 目やにが多い
- 目の周囲が赤くなる・炎症を起こす
- 目を気にしてこする
もしかすると、白い毛の犬の目の下が茶色に変色しているのを見たことがあるかもしれません。
涙そのものは無色透明ですが、涙に含まれる成分が毛に反応して茶色く変色することがあります。
これがいわゆる「涙やけ」です。
涙やけも流涙症の代表的な症状の一つですね。

流涙症の原因は?
流涙症は、大きく以下の2つの原因に分けられます。
涙の分泌が多すぎる
涙が過剰に分泌されることは、流涙症の原因の一つです。
目に異物が入っていたり、アレルギー反応や炎症があったりすると、目を守るために涙が過剰に分泌されることがあります。
涙の分泌が多くなる主な原因は以下の通りです。
- 結膜炎
- 角膜炎
- アレルギー(花粉、ハウスダストなど)
- 異物(まつげ、ゴミ、毛など)
- 眼瞼内反症(まぶたが内側に巻き込む)
- 逆さまつげ(睫毛乱生)
まれに、目に寄生する寄生虫が原因で涙が増えることもあります。
涙がうまく排出されない
涙の量は通常でも、うまく涙が排出されないと流涙症になってしまいます。
本来涙は、目頭にある涙点から鼻涙管という管を通って、鼻の奥へと流れていきます。
この排出ルートに異常があると涙が目からあふれるため、流涙症を引き起こすということですね。
涙の排出ルートに異常が出る主な原因としては、
- 鼻涙管の閉塞(先天的あるいは後天的)
- 涙点の欠損や変形
- 顔の構造(短頭種に多い)
- 高齢による涙点周囲の筋力低下
などがあります。
異物や腫瘍などで鼻涙管が閉塞していることもあるため、早めに動物病院で原因を見つけてもらうことが大切ですね。
流涙症が多い犬種
流涙症はどんな犬でもなりえる病気です。
その中でも、以下のような犬種では、顔の構造や体質的に流涙症が起こりやすいとされています。
- トイ・プードル
- マルチーズ
- シーズー
- チワワ
- ペキニーズ
- パグ
- フレンチ・ブルドッグ
とくに短頭種や毛が目に入りやすい犬種、涙の通り道が狭い犬種は注意が必要です。

流涙症の診断と検査
動物病院では、流涙症の原因を特定するために以下のような検査を行います。
- 目の視診(眼瞼やまつげの異常を確認)
- フルオレセイン染色検査(角膜の傷の有無)
- 涙の量を測る試験(シルマーテスト)
- 鼻涙管の通過テスト
- CT検査
また、必要に応じて眼科用の拡大鏡やスリットランプを用いて、細かい部分まで丁寧に確認します。
流涙症の治療法
流涙症の治療は、原因に応じて変わります。
それぞれ解説していきましょう。
涙の分泌が多すぎる場合
涙の分泌が多すぎる場合には、
- 原因となっている炎症やアレルギーの治療(点眼薬、内服薬)
- 逆さまつげの除去・処置
- 眼瞼内反症の外科手術
などが治療法としてあげられます。
アレルギーなどが原因の場合は、ほかの皮膚のトラブルなども起こる可能性があるため、目だけではなく全身の治療が必要になることもあります。
涙がうまく排出されない場合
涙がうまく排出されない場合の治療法は、排出されないルートの異常を解消することです。
- 鼻涙管洗浄(通過性があるか確認)
- 涙点の開通手術
- 先天的異常がある場合は外科的対応
といった、治療を行っていきます。
自宅でできるケア方法
流涙症の治療と併用して自宅で行えるケアには以下のような方法があります。
- 濡らしたコットンやティッシュで目のまわりを拭く(1日2回程度)
- 涙やけ専用のクリーナーを使用する
- 顔まわりの毛を短く整える(涙が付きにくくなる)
- アレルゲンを避ける(こまめな掃除、空気清浄機など)
とくに涙やけに対しては、涙が毛に付着しないようにこまめな拭き取りケアが有効です。
ただし、赤みやかゆみ、目やにの増加が見られる場合は、自己判断せず早めに動物病院を受診しましょう。
流涙症を放置するとどうなる?
流涙症を放置すると、目の下が常に濡れている状態になってしまいます。
目の下が湿っていることで、感染を起こしたり皮膚炎を起こしたりする可能性があります。皮膚の感染や炎症は、痛みやかゆみを引き起こす原因の一つです。
犬が気にしてかくことで角膜のトラブルにつながることもあるため、軽視せずに動物病院を受診しましょう。
とくに、「涙やけが気になるくらいで病院に行ってもいいのかな?」と思われる飼い主様は少なくありません。
涙やけや流涙症の原因に、大きな病気が隠れていることもあるため、早めの診察が重要です。
もちろん病気が原因でない場合も、涙やけの改善方法含めてご相談いただけますので、お気軽にご来院ください。
まとめ
犬の流涙症は、涙が多かったり排出経路に異常があったりするせいで、涙があふれてしまう状態です。
とくに流涙症による涙やけは見た目にわかる異常なので、気になる飼い主様もいらっしゃると思います。
犬の流涙症は、軽度なものから治療が必要な疾患まで原因がさまざまです。
目の様子がおかしいと感じたり、涙やけが気になったりした場合には、早めに獣医師にご相談ください。
当院では、眼科に力を入れ、専用の検査機器を用いた診断と丁寧なケアを行っています。
涙やけや目の赤みなど、小さな変化もお気軽にご相談ください。
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