
「愛犬の目に赤いぷくっとしたものが出ている」
「まぶたの内側から赤い塊が飛び出してきた」
「痛がっている様子はないけれど、このままで大丈夫?」
そんな症状が見られた場合、「チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)」の可能性があります。
チェリーアイは若い犬や特定の犬種でとくに見られる目の病気です。
見た目のインパクトが大きいため、驚いてしまう飼い主様も多いかもしれません。
チェリーアイは放置すると、乾性角結膜炎(ドライアイ)などの合併症につながることもある病気です。
今回は、犬のチェリーアイについて
- どんな病気なのか
- なぜ起こるのか
- 治療法や予防できること
などを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の目のトラブルへの早めの対処にお役立てください。
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📍 目次 ▼ チェリーアイとは? |
チェリーアイとは?
チェリーアイとは、第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)という組織が、本来の位置から飛び出してしまう病気です。
第三眼瞼(瞬膜)とは、犬の目頭側にある半透明のまぶたのような膜です。
この膜の奥に第三眼瞼腺が存在しています。
第三眼瞼線は、目の潤いを保つために必要な涙を分泌する役割を持つ組織です。
チェリーアイになると、第三眼瞼線が突出し、赤く丸い腫瘤のように見える状態になります。
見た目が「さくらんぼ(チェリー)」に似ていることから、チェリーアイという名称がついています。
チェリーアイが起こる原因
チェリーアイの明確な原因はまだはっきりと解明されていません。
ただし、次のような要因が関与していると考えられています。
- 第三眼瞼腺を支える靭帯のゆるみ
- 遺伝的な素因
- 眼の構造(顔の形)
とくに以下のような犬種では、チェリーアイが発症しやすい傾向にあります。
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ブルドッグ
- フレンチ・ブルドッグ
- シーズー
- ペキニーズ
- チワワ
これらの犬種では、生後半年から2歳ごろの若い時期に片目または両目に症状が出ることが多いです。
また、目をこすったり、外傷を受けたりすることが引き金になる場合もあります。

チェリーアイの症状
チェリーアイの主な症状は以下の通りです。
- 目頭から赤く丸い塊が飛び出している
- 目やにが増える
- 目を気にしてこする
- 涙が多くなる
- 目を細める、まばたきが増える
とくに初期は「痛そうではないから大丈夫かな」と様子を見てしまうこともあるかもしれません。
しかし、時間が経つと乾性角結膜炎や慢性的な炎症を引き起こすおそれがあるため、早めの対応が重要です。
チェリーアイの診断方法
チェリーアイは、動物病院での視診と触診で比較的容易に診断が可能です。
目の腫瘤の位置や形を観察し、必要に応じて染色検査や涙液量の測定なども行います。
チェリーアイの治療法は?
チェリーアイの治療法は主に内科治療と外科治療の2種類になります。
内科治療では、眼科用のピンセットで飛び出た部分を整復し、ステロイドの点眼を使用します。
しかし、一度飛び出た第三眼瞼線はまたすぐに飛び出てしまう可能性が高いため、根本的治療にはなりません。
再発する場合や、時間が経過している場合には、手術による外科治療が必要です。
チェリーアイの外科治療では、飛び出してしまった第三眼瞼腺を元の位置に戻し、縫合して固定する「整復術」が一般的です。
以前は腺を切除してしまう治療も行われていました。
しかし、第三眼瞼腺は涙の分泌に重要な役割を担っているため、現在ではなるべく切除せずに温存する方針が主流です。
手術の種類
チェリーアイの手術には主に以下のような方法が存在します。
どのような方法を選ぶかは、犬の目の状態や腺の大きさによって異なるため、よく獣医師と相談しましょう。
手術は日帰りまたは一泊入院で行われることが多く、術後は目薬やエリザベスカラーを装着して経過をみます。
ポケット法
ポケット法は第三眼瞼の裏側にポケットをつくり、腺を中に収納して縫合する処置です。
アンカー法(外側固定法)
外側固定法では、飛び出した腺を元の位置に戻し、周囲の組織に縫い付けて固定します。

治療後の注意点
チェリーアイは治療後も、約10〜20%で再発する可能性があります。
一度チェリーアイを発症した場合は、治療後も気を付けて観察する必要がありますね。
また、術後の炎症にも注意しましょう。
目をこすらないようにエリザベスカラーの着用が重要です。
また、手術後も目薬の継続が必要な場合もあります。
とくに手術後にドライアイを発症するケースもあるため、定期的に動物病院を受診しながら、必要であれば目薬を処方してもらいましょう。
動物病院で目の経過を見てもらいながら、再発のチェックをしていくことが大切です。
チェリーアイを放置するとどうなる?
チェリーアイを放っておくと、次のようなトラブルにつながることがあります。
- 乾性角結膜炎(ドライアイ):涙の分泌が減り、角膜に傷がつきやすくなる
- 結膜炎の慢性化:炎症を繰り返すことで色素沈着や結膜の肥厚が起こる
- 目やにや涙やけが増える
これらのトラブルは視力の低下や慢性的な不快感につながります。
チェリーアイになったら、見た目だけでなく、目の健康を守るためにも早期治療が大切です。
自宅でできる予防とケア
チェリーアイは完全に防ぐことが難しい病気です。
ただし、以下のような工夫で発症や再発リスクを軽減できることがあります。
- 目をこすらせないようにする
- 散歩中の異物混入に注意する
- 顔まわりの毛を定期的にカットする
- 涙や目やにはこまめに拭く
また、同居犬や兄弟犬にチェリーアイがみられる場合は、体質的に注意して観察することが大切です。
まとめ
犬のチェリーアイは見た目のインパクトこそ大きいものの、適切に治療すれば再発リスクを抑えながら生活できる病気です。
ただし、放置することで乾性角結膜炎や視力低下につながるリスクもあります。愛犬の目に赤い腫れや異変が見られた場合は早めにご相談ください。
当院では、犬種や年齢、目の状態に合わせた手術方法をご提案しております。
術後のケアや再発予防についても丁寧にサポートいたしますので、安心してお任せください。
ご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
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