犬の下痢(軟便)
下痢(軟便)は、獣医師も飼い主様も非常によく出会う、日常的な症状の1つです。
数日間で自然回復することも多い症状ではありますが、頻繁に出会うからこそ、下痢を見つけた時の観察・対応のポイントをお伝えしていきます。
犬が下痢をしたときの対応
まずは便の性状をよく観察する必要があります。
下の表に観察ポイントを示したので、チェックしてみてください。
発症して間もない場合、元気食欲が問題なく、少し便が柔らかい(形はあるが、持ち上げると床に残る)程度であれば、
数日間、自然回復を期待して様子を見ることもあるかもしれませんが、その場合でも注意深い観察は続け、ご不安があれば躊躇なくご相談ください。
様子を見られそうかどうかの判断も含めて、治療方針のご提案を行なっております。
また、嘔吐や食欲不振など、下痢以外の症状を伴う場合や、水のような下痢や既に⻑く続いている下痢の場合は、なるべく早めに受診することをお勧めします。
▼ 下痢の観察ポイント表
排便の様子 |
頻度(1日の排便回数)は増えているか |
便の性状 |
1回あたりの排便量は変化があるか |
便以外の様子 |
体重減少はないか ・嘔吐や食欲不振はないか
活動性、元気に変化はないか 誤食の痕跡の有無 排尿の様子は変わりないか |
犬の下痢の主な原因は?
下痢の原因は非常に数が多く、200以上あるとも言われています。
全てを紹介しきることはできませんので、ここでは代表的なもの、重要なものに的を絞って紹介します。
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食事の影響
普段食べ慣れていないフードやオヤツを食べたり、古くなったフードを食べてしまったことが原因で下痢が起きることがあります。
⻑く続く下痢の場合は、食物アレルギーや乳糖不耐症といった原因も考えられます。 -
異物や毒物の誤食
色々なものに興味津々の子犬や、過去に誤食をしたことがある場合に特に注意が必要です。
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急性/慢性膵炎
急性膵炎の場合、激しい下痢や嘔吐、腹痛などが主な症状です。
緊急性が高く、重症化すると命に関わる病気でもあるため、迅速な診断と治療が必要な病気です。
慢性膵炎の場合には、定期的に繰り返す下痢や嘔吐が主な症状ですが、急性膵炎ほど激しい症状はみられないことも多くあります。 -
腸管の病気
消化管の構造そのものに異常があったり、機能に異常があることで下痢が起きることがあります。
「炎症性腸疾患(IBD)」や「消化管腫瘍」などが代表的です。
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アレルギー反応
重症の場合には緊急治療が必要です。
重症例の多くはワクチン接種や投薬など、きっかけとなるイベントから30分以内に発症します。
※ ここで紹介した下痢の原因は、ほんの一部です。
実際には複数の検査を重ねながら、原因を特定・治療していくことになります。
下痢の時に行うことが多い検査
・問診 / 身体検査 ・糞便検査 ・血液検査
・レントゲン検査 ・エコー検査 ・内視鏡検査(内視鏡検査は他院への紹介となります)
必ず行うのが、問診と身体検査です。
下痢の原因は非常に幅広いため、問診と身体検査で大まかに原因を推測していき、検査や治療の方針を立てていきます。
上述の観察ポイント表の情報があると問診をスムーズに進められますので、是非ご活用ください。
軽症と判断した場合には、検査に踏み込まずに整腸剤などの対症療法だけで経過をみることもあります。
積極的に検査が必要な場合、当院では以下のような検査を行なっていきます。
多くの場合で行うのが糞便検査です。
寄生虫の感染や、異常な細菌の増殖などがないかどうかを評価します。
次に、状況に合わせて実施を検討するのが、血液検査やレントゲン検査・エコー検査です。
現在の症状と考えられる原因を踏まえ、飼い主様とご相談をしながら行う検査を決めていきます。
最後に、各種検査を行なっても診断が難しい場合、内視鏡検査が必要となることがあります。
2023年3月現在、当院は消化管内視鏡を備えていませんが、設備を持つ病院へご紹介を差し上げますのでご安心ください。
まとめ
今回は、日ごろ出会う可能性が高い「下痢(軟便)」について、対応のポイントをご紹介しました。
もし気になる様子や、ご不安なことがあれば、お気軽にご相談にいらしてください。
神奈川県藤沢市湘南台の動物病院
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