近年、マダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)が西日本を中心に広がり、犬猫や人の感染数が増加しています。
2025年5月には三重県で獣医師が診察した猫からSFTSに感染し、命を落とすという痛ましい事例も報告されました。
SFTSなどのマダニが媒介する感染症は猫だけでなく、人間にも感染することも多いため注意が必要です。
今回の記事ではSFTSの危険性を解説し、猫のノミ・マダニ予防の重要性をお伝えします。
猫の飼い主様は、ぜひ最後までお読みいただき、猫のノミ・マダニ予防の重要性についてより理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ SFTSとは? |
SFTSとは?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はマダニが媒介するウイルス感染症です。
SFTSはSFTSウイルスに感染したマダニが動物を噛むことで感染します。
特に注意すべきは猫と人間の両方がSFTSにかかる可能性がある点です。
SFTSの猫への影響
猫は屋外に出ることで、SFTSウイルスを保有するマダニに噛まれ、感染することが多いです。
猫がSFTSに感染した場合の症状は
- 高熱
- 嘔吐
- 黄疸
- 食欲不振
などが挙げられます。
猫はSFTSに感染すると重症化することが多く、血小板減少による出血傾向や多臓器不全などを示し、亡くなってしまうことも多いです。
猫がSFTSに感染した場合の致死率は約60%と言われています。
残念ながら、SFTSの有効な治療法は確立されておらず、対症療法が中心です。
SFTSの人間への影響
人もマダニに噛まれることがSFTSのおもな感染経路ですが、SFTSに感染した猫などの動物の血液や体液に触れることで感染することもあります。
数例ですが、人同士でのSFTSの感染も報告されているので要注意です。
人がSFTSに感染した場合は6〜14日程度の潜伏期の後に、発熱や全身倦怠感などインフルエンザのような症状を示します。
その他にも、
- 消化器症状
- 神経症状
- 出血症状
などが現れ、命に関わることもあるので注意しましょう。
SFTSの人における致死率は約30%で、特に高齢者は重症化しやすいです。
人のSFTSでは抗ウイルス薬による治療が2024年に承認されています。
人と猫のSFTSの対策
SFTSはワクチンや特効薬がない感染症であるため、予防が非常に重要です。
ここでは、人と猫それぞれのSFTS対策についてご紹介します。
人のSFTS対策
SFTSの予防でもっとも重要なのはマダニ対策の徹底です。
具体的なマダニ対策の方法は
- 草むらなどに入る際は長袖、長ズボンを着用し、肌の露出を最小限にする
- ディート等の成分を含む虫除けスプレーを使用する
- 屋外活動後は全身をチェックし、マダニがついていないか確認する
などが挙げられます。
SFTSは感染した猫などの動物からも人にうつることがあるので注意が必要です。
野良猫などに安易に接触しないようにするなどの対策もSFTS感染のリスクを軽減します。
猫のSFTS対策
猫のSFTS対策では完全室内飼育を徹底することでマダニに接触するリスクを減らすことが可能です。
室内飼育でも、キャットウォークやキャットタワーなどを設置し、室内で十分に運動できるようにすると猫のストレスを軽減できます。
また、定期的にノミ・マダニ予防薬を投与することでマダニの寄生を防ぐことができます。
猫のノミ・マダニ予防薬は背中に垂らすスポットタイプのものが多いです。
完全室内飼育の猫でもノミ・マダニ予防は必要?
「室内飼いの場合でもノミ・マダニ予防をした方がいいの?」
このような疑問をお持ちの猫の飼い主様は多いのではないでしょうか。
実は、完全室内飼育の猫でもノミ・マダニに寄生されるリスクはゼロではありません。
ノミやマダニは飼い主様の衣服や持ち物に付着したり、ベランダなどから家の中に侵入するケースもあります。
実際に当院でも予防薬をつけていない完全室内飼育の猫が1月にノミに感染しています。
家の中が昔より暖かく、冬でもノミが活動できることが原因と考えられますね。
また、最近では市販のノミ・マダニの予防薬が効きにくいノミの発生も確認されているので注意しましょう。
当院でも毎月市販の予防薬をつけていたにも関わらずノミに感染していた完全室内飼いの猫が来院したケースもあります。
その症例は別の予防薬を処方することで、無事に駆虫できました。
完全室内飼育の猫でも定期的なノミ・マダニ予防を徹底し、実際に感染がないかこまめに猫の体をチェックすることが大切です。
飼い猫のSFTS感染を疑ったら
SFTSは迅速かつ適切な対応が猫の命だけでなく、飼い主様の安全を守る鍵となります。
外出歴のある猫に以下のような症状が見られたら、SFTSの可能性があります。
- 突然の高熱
- 食欲の著しい低下
- 嘔吐や下痢
- 歩行困難などの神経症状
- 皮膚の紫斑などの出血傾向
これらの症状に気がついたら、すぐに動物病院に連絡しましょう。
また、猫の取り扱い時は必ず手袋をつけ、排泄物にも直接触らないことが大切です。
自身の体調変化にも注意を払い、発熱や倦怠感などが見られたらすぐに医療機関を受診しましょう。
まとめ
猫のノミ・マダニ予防は猫自身の健康を守るだけでなく、SFTSなどの感染症から飼い主様の命を守ることにつながります。
特に、小さな子供や高齢者は感染症にかかりやすく、重症化するリスクも高いため、より一層の注意が必要です。
三重県で起きた悲しい出来事を教訓にノミ・マダニ予防の重要性を再認識し、愛猫と家族の健康を守りましょう。
当院では猫のノミ・マダニ予防に積極的に取り組んでいます。
猫のノミ・マダニ予防に関する疑問がある方は気軽にお問い合わせください。
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