フィラリアとは
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フィラリアという寄生虫について、犬を飼っているご家族なら一度は聞いたことがありますよね。フィラリアは、犬糸状虫とも呼ばれ、漢字の通り糸のような細長い寄生虫です。
この寄生虫の大きな特徴は、犬の血管内に寄生するということです。寄生虫というと下痢などを引き起こす消化管の寄生虫を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。フィラリアはそのような寄生虫とは違い、血管の中を泳ぎ、心臓や肺で繁殖します。そのため、フィラリアに感染すると命に関わります。
フィラリアには蚊が媒介するという、もうひとつ大きな特徴があります。日本で暮らしていると蚊が、あなたの愛犬に病気を運んでくるかもしれないということは、とても身近に感じますよね。実際、予防をしていなければ、フィラリア症は珍しい病気ではありません。
フィラリア症はとても身近な感染症であると同時に、犬の命に関わることもある非常に恐ろしい病気ですね
フィラリアに感染すると
フィラリアに感染している蚊に犬が刺されると、フィラリアの幼虫が犬の血管内に入ります。
犬の血管内でフィラリアが成虫になると、増殖しながら、心臓や肺に向かっていきます。
フィラリアに感染した犬では、
- 咳が出る
- 疲れやすくなる
- 腹水が溜まる
- 失神する
- 元気食欲がなくなる
などの症状がでます。どれもはっきりした症状ではなく、重症化してから発覚することもあります。
これらは主に右心不全や肺血栓の症状です。心臓や肺は、様々な臓器のなかでも特に命に関わる臓器なので、とても恐ろしいですね。
フィラリアの感染予防
チュアブルタイプの予防薬
チュアブルタイプというのは、お肉の風味をつけてあるジャーキーのような予防薬です。
フィラリアの予防薬は定期的に与えなければいけないので、愛犬にも美味しく薬を飲んでもらいたいですよね。
チュアブルタイプの予防薬ならお肉のような食感と風味なので、おやつ感覚で薬を飲むことができます。ノミ・ダニや消化管の寄生虫予防も同時にできるタイプの予防薬もあります。
錠剤タイプの予防薬
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錠剤タイプは、薬を上手に飲める犬に適しています。
チュアブルタイプはお肉を使っているものがほとんどなので、アレルギーのある犬は皮膚症状や消化器症状といった副作用が出る可能性があります。錠剤タイプの予防薬は、余計なものが入っていないため、そのような心配をする必要がありません。
錠剤タイプは、匂いや味がほとんどありません。そのため、普段から錠剤を飲めている犬には独特な風味のついているチュアブルタイプより錠剤タイプの方が、飲みやすいかもしれません。
スポットタイプの予防薬
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スポットタイプの予防薬は、皮膚に垂らす液体の予防薬です。
毛を掻き分けて皮膚に直接液体を垂らすと、皮膚から薬が吸収されて効果を発揮します。予防薬がどうしても飲めない犬には、とても良い薬ですね。
デメリットは、独特な匂いがあるため、犬が気にして舐めてしまうことがあります。そのため、頭の後ろに垂らす必要があり、慣れるまではそれが少し難しいかもしれません。
スポットタイプも、ノミダニなどそのほかの寄生虫予防も同時にできるものがあります。
注射タイプの予防薬
注射タイプは、1年間有効な予防薬で、病院で接種します。
毎月予防薬を投与するのが難しい場合に選択されることが多いです。
注射タイプの予防薬はフィラリアのみに有効なので、ノミダニや消化管内寄生虫の予防も行いたい場合は別で予防薬を投与する必要があります。
リスクとしては、アナフィラキシーショックというアレルギー反応が出ることがあります。これは命に関わることがあるため、一度アレルギーを起こしたことのある犬には接種をお勧めしません。
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フィラリアに感染しないために
フィラリアは、とても身近で恐ろしい寄生虫ですが、発症を予防することが可能な病気です。
何歳の犬でどこに暮らしていてもフィラリアに感染するリスクはゼロにはできません。
そのため、生涯予防をしっかりしていくことが非常に重要です。
予防薬には、どんな犬でもどれかは実施できるようにいろいろなタイプがあります。生涯続く予防だからこそ、犬にもご家族にもストレスがないよう、それぞれに合った予防法を選択したいですよね。
当院では、しっかりご家族と相談して、持続可能な予防をご提案しています。
フィラリアの予防についてお悩みの方はぜひ、当院へご相談ください。