アレルギー科allergology

皆さんの愛犬・愛猫でこんなトラブルありませんか?

犬と猫のアレルギー疾患は皮膚に症状が出ることが多いです。
動物のアレルギー性皮膚炎は、多くの場合で若齢で発症します。多くの場合で、ゆっくり悪化したり、再発を繰り返したりと、慢性的な経過をたどります。
こうした特徴から、「うちの子の体質かなぁ」となかなか病気であることに気づきにくいです。
アレルギー性皮膚炎では、皮膚にかゆみが出ます。人間でも、かゆみを放っておくのはストレスが溜まりますよね。犬や猫も同じです。
かゆみがひどいと、ストレスで具合が悪くなったり、その部分を舐め壊してしまったりすることもあります。ひどいかゆみを放置すると、皮膚の状態もどんどん悪くなり、気がついた頃には全身の毛が抜けたり、皮膚が茶色く分厚く変化したりと、治療を開始しても治るのに時間がかかるような状態になります。
犬や猫のアレルギー性皮膚炎に早く気がついてあげ、適切に対処することは非常に重要です。

アレルギー科の検査・診断について

皮内反応試験

皮内反応試験という検査では、動物の皮膚の下にアレルゲンとして考えられる物質を少量注射します。投与した物質がアレルゲンだった場合、注射後15分ほどで皮膚が赤く腫れてきます。このように、実際の皮膚の反応を見て原因となっているかを診断する検査法が、皮内反応試験です。
人間でも行うことのある検査ですが、動物の検査との違いもあります。 皮内反応試験は、皮膚の炎症をしっかりと検知するため、動物の場合は体幹部を毛刈りします。 同時に複数の物質を注射するため、比較的広範囲に毛刈りが必要です。 皮内反応試験は、通常数種類の物質を同時に検査するため何度も注射をします。そのため、動物への負担を考慮し、鎮静をかけて行うこともあります。 検査の手法自体は難しくありませんが、特別な試薬が必要になるので検査が実施できる病院には限りがあります。

皮内反応試験

アレルゲン特異的IgE検査

アレルゲン特異的IgE検査は、アトピー性皮膚炎が疑われる場合に最も一般的に行われる検査です。Ⅰ型アレルギーに分類されるアトピー性皮膚炎では、アレルゲンに暴露されると、血液中のIgEという抗体が増えます。
複数のアレルゲンとなりえる物質と動物のIgEを反応させて、免疫反応を起こしたIgEの量を測定します。IgEは、反応する抗原により特異的なので、反応したIgEが増えていると、検査上その動物のアレルゲンの診断が可能です。
例えば、ダニには含まれるDerf−2という抗原となるタンパク質があります。これを測定する検査をDerf−2特異的IgE検査といい、アトピー性皮膚炎の診断に役立てることができます。この検査に必要なのは血液検査のみで、検査会社で検査を実施するので、動物への負担はほとんどありません。

リンパ球反応試験

動物のアレルギー性皮膚炎では、IgEが関与しないアレルギーもあります。食物アレルギーでは、アレルゲンに対し白血球のうちリンパ球という細胞が反応し、炎症を引き起こします。そのため、食物アレルギーの診断に適しているのがこのリンパ球反応検査です。検査方法は、血液検査で採取した犬の血液からリンパ球を分離し、アレルゲンとして代表的な18種類の物質と反応させます。免疫反応を示しているリンパ球の数を測定することで、アレルゲンとなっている物質を診断することが可能です。
これも検査に必要なのは、採血だけなので動物への負担はほとんどありません。
似た原理を使ったアレルギー強度検査では、リンパ球の中でも、皮膚に炎症を起こすリンパ球を検出する検査です。これにより、犬の体質やアレルギーの強さを判断することができます。この検査は、免疫抑制剤の使用など治療の内容を決めるのに役に立ちます。

除去食試験・食物負荷試験

除去食試験は、食物アレルギーが疑われる場合に行う検査で、食事からアレルゲンを特定する物です。症状や経過から食物アレルギーが疑われた場合は、まずこれまで与えていたおやつやフードを一切やめます。
犬が生まれて初めて口にする物であれば、食物アレルギーを発症する可能性が低いです。そのためしっかりこれまでの食事歴を伺い、アレルゲンである可能性のある食物を一切含まないフードを与えます。食事を変更して皮膚の状態が改善すれば、食物アレルギーの疑いが強く、これまで与えていた食物の中にアレルゲンがある可能性が非常に高いということです。除去食試験は食事変更後1ヶ月半〜2ヶ月かけて診断を下します。
除去食試験で皮膚症状が治ったら、アレルゲンを特定するために、食物負荷試験を行います。
食物負荷試験は、除去食試験のあと、これまで与えていたフードを与えて、皮膚症状が再発するかどうかという検査です。
具体的には、除去食試験で使用したフードにこれまで与えていたおやつやフードを1〜2週間かけて、ごく少量加えます。症状が再発しなければ、加える量を少しずつ増やしていき、皮膚症状が再発した場合に、食物アレルギーの確定診断となります。

除去食試験・食物負荷試験

藤沢市にあるサーカス動物病院の特徴

動物に優しい診察空間

当院では、動物が安心して診察を受けられるよう、快適な診察空間を提供しています。動物がリラックスできるように配慮した空間設計により、診療に伴うストレスを最小限に抑えることが可能です。
動物たちの様子を見ながら不安を最小限に抑えられるように診察や治療を進めていきます。

飼い主様への丁寧な説明と指導

当院では、診断結果や治療方針について、飼い主様にわかりやすく丁寧に説明します。アレルギー疾患の治療には、飼い主様の理解と協力が不可欠です。
それぞれのアレルギー疾患で最適な食事療法や薬の使用法など具体的なアドバイスを提供いたします。
飼い主様との信頼関係を大切にし、愛犬・愛猫の健やかな暮らしを支えます。

代表的なアレルギー科疾患について

犬アトピー性皮膚炎

犬アトピー性皮膚炎とは、犬のアレルギー疾患のうち環境中の物質に対するアレルギーを指します。アレルゲンはダニなどのハウスダストや花粉が多く、これらが皮膚に触れることで、免疫の過剰反応を起こし皮膚にかゆみをひきおこします。
犬アトピー性皮膚炎の症状は、慢性的なかゆみです。炎症を起こして急激にひどいかゆみが出るというよりは、かゆみが出ることにより、犬がなめたりかじったりすることで皮膚に赤みが出ることが多いです。犬アトピー性皮膚炎はいくつかの特徴があり、発症年齢が3歳以下であることが多く、室内飼育の犬で発症しやすいです。発症部位は、皮膚が薄い前足と耳介にかゆみが出ることが多く、皮膚が分厚い部分である腰や背中には痒みが出ないというのも特徴的です。
発症年齢や症状などから犬アトピー性皮膚炎が疑わしい場合は、アレルゲン特異的IgE検査や皮内反応試験で原因を特定します。アレルギー性皮膚炎は、アレルゲンの回避をすることが根本的治療です。しかし、犬アトピー性皮膚炎の場合は完全に回避するのが困難なことが多いです。そのため、痒みを止める薬による内科治療や保湿がメインのスキンケアを行う事も効果的です。

犬アトピー性皮膚炎

食物アレルギー

食物アレルギーは、食べ物に含まれる特定の成分に対するアレルギーを指します。犬や猫の食物アレルギーは肉や魚などの動物性タンパク質がアレルゲンとなることが多いです。食物アレルギーの症状はアトピー性皮膚炎と同じように皮膚のかゆみと赤みです。発症年齢は1歳以下であることが多いですが、高齢の犬でも発症することがあります。
アトピー性皮膚炎との大きな違いは、食物アレルギーの症例ではその約半数が嘔吐や下痢などの消化器症状を併発するという点です。食物アレルギーの診断は、除去食試験やリンパ球反応試験で行います。
食物アレルギーの治療は、原因として疑われるアレルゲンを除去したフードを与えることです。食物アレルギーは非常に強いかゆみが出ることが多いので、ステロイドなどの抗炎症薬を使用することも、皮膚の状態を改善させるのに有効です。
皮膚の状態が良くなったら、それぞれの動物に合うフードを探すことで、かゆみの再発を防ぐことができます。

食物アレルギー

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は、外部寄生虫であるノミの唾液などに対するアレルギーを指します。ノミアレルギー性皮膚炎はペットショップからお迎えしたばかりの子犬や、外に出る猫などで発症することが多いです。
症状は、他のアレルギー性皮膚炎と同じで非常に強い痒みが出ることが多いです。ノミアレルギー性皮膚炎のかゆみは、広範囲に症状が発症し、特にノミの寄生する腰や背中にかゆみが出ることが多いのが特徴的です。ノミアレルギー性皮膚炎は少数寄生でも全身に症状が出ます。ノミ自体を発見しなくても、ノミの糞が体に多数付着していたり、犬がいたところに糞が落ちていたりして発覚することも多いです。
ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、ノミを駆除する薬を使用します。かゆみがひどい場合には抗炎症薬を使用したり、二次感染が起こっている場合には感染の治療を行うこともあります。症状が落ち着いてもまたノミが寄生してしまえば、再発するため、予防は継続することが推奨されています。

ノミアレルギー性皮膚炎

接触性皮膚炎

接触性皮膚炎は、皮膚が刺激物やアレルゲンに直接触れることで発症するアレルギー性皮膚炎の一種です。アレルゲンは洗剤や殺虫剤であることが多く、散歩から帰ったらお腹に皮膚炎ができていると相談されることが多いです。接触性皮膚炎は、被毛が少なく、外部との接触の多い部位であるお腹や外陰部に発症します。
接触性皮膚炎では、赤く水ぶくれになったりと炎症を起こします。ヒリヒリとした痛みが出たり、かゆみを生じることもあります。
治療は、抗炎症薬を使用します。皮膚炎の範囲は小さいことが多いので、塗り薬で治療できます。動物がかゆみや痛みを感じて、皮膚を舐めたりすると、皮膚状態が悪化してしまいます。それを防ぎ、塗り薬をなめ取ってしまわないようにするために、エリザベスカラーや犬用の服を使用して物理的に保護するのも効果的です。
接触性皮膚炎は、原因と考えられる物質に再度接触しない限り再発しません。原因がはっきりしないことが多いため、接触性皮膚炎が疑われた場合は、2〜4週間は安静にしてしっかり治療を行うことが推奨されます。

接触性皮膚炎