誰かが歯科をやらなくては
私の大学時代は内科学研究室に所属しており、大学病院の診察補助などを通じて臨床系の知識を深めてきました。卒業後は、診察件数の豊富な「かんじ動物病院」に就職。その後、歯科の専門性を高めていくために「OCEAN’S PET CARE CENTER」へ移りました 。
歯科に興味をもったのは、動物病院業界において歯科学が発展途上の分野だったからです。歯科は獣医の中では珍しく学会が立ち上がっておらず、大学でも歯科の教育が充実していません。そのため、歯科を専門に掲げる動物病院は少ないのが現状です。
しかし、考えてみて下さい。人では『歯科大学』があり、歯医者になるために6年制の大学に通うわけです。全ての動物の全ての科を診察する獣医師が、片手間で習得出来るほど歯科学は浅くはないのです。
『犬猫の8割は歯周病である』
と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
「口の匂いや汚れは気になるけれど、本人は元気だし。8割は歯周病だし。」と放ってしまう方が多いのも現実です。しかし、「赤信号、皆で渡れば怖くない」ではいけないと思っています。
なぜなら歯周病は怖い病気だからです。歯周病は、心臓や内臓に炎症を生じさせたり、顎の骨が溶けて折れたり、膿が溜まって口に強い痛みを生じさせたり、ジワジワと着実に悪さをします。動物たちがご飯を食べられなくなるのを見るのはとても辛い事です。
このような歯の悩みを抱える飼い主さんや動物たちの救いになりたいという思いから、歯科を学び、サーカス動物病院の強みにする事にしました。
歯科診療の特徴としては、歯科レントゲンを始めとする歯科専用機器を揃えているほか、飼い主様がガラス越しで見学出来る歯科専用処置室が挙げられます。
「麻酔をかけるのが心配なので、処置に同席できないか」という飼い主様のご要望にお応えするのが目的となります。また、歯科処置中に歯を抜くかどうかの判断を行うことが多いため、飼い主様に見学をして頂くことで相談しながら治療を決められるというメリットもあります。
おうちでの歯磨きケアが愛犬・愛猫の健康と長生きにつながります
獣医皮膚科専門医が在籍している他、獣医麻酔専門医の先生と連携をしています。
サーカス動物病院は、一般診療や歯科診療に加えて、皮膚科専門医が在籍しているところが大きな強みです。歯や皮膚というのは、飼い主様が異常に気付きやすい部位でもあります。実際に、歯や皮膚のトラブルに強い病院を探して、こちらに来院される飼い主様も多いです。歯科と皮膚科の最新情報をキャッチアップし、治療の技術を研鑽していくため、現在も定期的な学会参加を行なっています。
これまで私が担当した麻酔下での歯科処置は100例以上ですが、その中で麻酔の事故は一例もありません。それでも、麻酔を不安に思う飼い主様がいらっしゃると考え、定期的に獣医麻酔科専門医の先生をお呼びし、麻酔リスクの高い動物たちを担当して頂いています。
歯科の治療は、動物たちが高齢になってから行なう場合が多いため、獣医麻酔科専門医の先生とタッグを組む事で麻酔の処置に踏み切れなかった方の後押しになればと思っています。
ワンちゃんネコちゃんにストレスのかからない治療を。
動物はストレスを感じると、病気を隠してしまうこともあります。自分の異常を外部に悟られないようにするのが野生の知恵です。診療の精度を高める意味でも、私たちはストレスのかからない診察を心掛けています。例えば、当院では、いきなり診察台に乗せることはありません。知らない場所に緊張して恐怖を感じる子が多いので、飼い主様に抱っこしてもらうか、まず自由に歩き回って環境に慣れてもらってから診察を行ないます。
『サーカス、来た人を笑顔に』
これが私たちの合言葉です。飼い主の皆さま、動物たち、スタッフが笑顔でいられるような動物病院を目指しています。
そのために、動物病院としての強みを持つことと同様、弱みを無くす事が大切だと考えております。私たちと関わる全ての飼い主の皆さまと動物たちにとって、より良い提案を出来るよう、日々努めております。
費用が掛かって治療が難しい場合などもありますので、私たちのやり方や考えを押し付けるのではなく、ご提示した選択肢の中から飼い主様に選んでいただくというのが私たちの考え方です。
そして、当院での診断や治療が難しいと判断される場合には、その旨を正直に申し上げ、時には他の信頼出来る動物病院を紹介する事も大切だと考えております。
飼い主の皆さま、動物たちに誠実に寄り添い、来て良かったと感じて頂くと共に安心して通えるような、そんな『サーカス』を皆様と作っていきたいと思っております。
- 2013年
- かんじ動物病院勤務
- 2017年
- OCEAN’S PET CARE CENTER
犬の歯医者さん勤務 - 2019年
- サーカス動物病院 院長就任