
「愛犬が心臓病と診断されたけど、生まれつきの病気と言われて戸惑っている」
「動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)ってどんな病気なんだろう」
このように感じて、不安に思っている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
動脈管開存症は、心臓の血管の異常によって起こる先天性の心臓病です。
今回は、犬の動脈管開存症の症状や検査、治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の心臓病と向き合うためにお役立てください。
獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
循環器領域では、心臓超音波検査や血圧計などの検査機器が普及してきたことで、これまでレントゲン検査や聴診だけでは判断が難しかった異常も客観的に評価できるようになりました。その結果、症状が軽いうちに適切な診断と治療を行うことで、心臓への負担を軽減し、生活の質を維持しながら過ごせる期間を延ばせるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは循環器診療にも力を入れ、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。「咳が増えた」「疲れやすそうにしている」「呼吸が速い」「心雑音を指摘された」「なかなか症状が改善しない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 犬の動脈管開存症とは ▼ 犬の動脈管開存症の症状 ▼ 犬の動脈管開存症の検査 ▼ 犬の動脈管開存症の治療法 ▼ まとめ |
犬の動脈管開存症とは
犬の動脈管開存症は、動脈管という胎児のときだけに必要な血管が、生まれたあとも閉じずに残ってしまうことで起こる先天性の心臓病です。
本来、動脈管は生まれてまもなく自然に閉じますが、閉じないまま残ると、動脈管を通って、本来よりも多くの血液が肺に流れ込みます。
肺に流れ込んだ血液は、次に心臓の中の左心房に流れ込むため、左心房には通常よりも負担がかかってしまいます。
犬の動脈管開存症は、このようにして心臓に負担がかかり、やがて心不全に発展する事がある病気です。
また、犬の動脈管開存症は、先天性の心臓病のなかでも比較的多く見られる病気です。
とくに日本国内では、以下の犬種で発症しやすいことが知られています。
- ビション・フリーゼ
- チワワ
- トイ・プードル
- ポメラニアン
- マルチーズ
ただし、これら以外の犬種でも動脈管開存症は発生する可能性はあるため、子犬のうちに聴診などで心臓の状態を確認してもらうと安心です。
犬の動脈管開存症の症状
動脈管開存症の犬のおよそ70%では、とくに症状が見られません。
このため、この病気は健康診断やワクチン接種の際に心雑音を指摘されて見つかることが多いです。
一方で、犬の動脈管開存症を治療せずに放置すると、心臓や肺の血管に負担がかかり続け、心不全や肺高血圧といった合併症を起こすことがあります。これらは、どちらが先に起こるというものではなく、それぞれ別の経路で進行する合併症です。
心不全を起こすケース
犬の動脈管開存症は、治療せずに進行すると、1年以内に心不全を起こすことが多いと報告されています。
心不全に発展した動脈管開存症では、以下のような症状が見られることが多いです。
- 咳
- 呼吸困難
動脈管開存症では、血液の流れに異常があるため、心臓に負担がかかります。
心臓は負荷がかかるとサイズが大きくなり、ポンプの働きが弱ることで、咳や呼吸困難の症状が出るといわれています。
肺高血圧を起こすケース
動脈管開存症が進行すると、肺の血管に強い負担がかかって、肺高血圧という状態になることがあります。
肺高血圧の状態になると、動脈管を流れる血液の向きが逆転し、酸素を含まない血液が全身に流れ込みます。
これにより、以下のような症状が見られることが多いです。
- 呼吸が苦しくなる
- 下半身の粘膜の色が暗くなる
- 後ろ足に力が入りにくくなる
このような症状が愛犬に見られた場合は、なるべく早く動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。
また、肺高血圧の状態になると、後述する手術を行っても治らないことがあるため、犬の動脈管開存症は早期発見することが大切です。
動脈管開存症は、症状がないまま進行することもあるため、若いうちに聴診を含めた健康診断を受けておくことが大切です。
心雑音が見つかった場合は、早めに詳しい検査を受けましょう。
犬の動脈管開存症の検査
犬の動脈管開存症が疑われる場合、以下のような検査が行われます。
- 聴診
- レントゲン検査
- 心臓超音波検査(エコー検査)
それぞれについて解説します。
聴診
聴診は、犬の動脈管開存症を疑うきっかけになる基本的な検査です。
聴診によって、心臓から特徴的な雑音が聞こえることが多く、この雑音がきっかけでこの病気が発見されるケースがほとんどです。
ただし、動脈管の中の血液の流れが変化している場合は、この雑音が聞こえなくなることもあります。
レントゲン検査
レントゲン検査は、心臓や血管の状態を確認する検査です。
犬の動脈管開存症によって、心臓が大きくなっていないか、肺の血管が濃く写っていないかを確認します。
病気が進行して心臓や肺の血管に負担がかかると、心臓は大きくなり、肺の血管が太くなることが多いです。
心臓超音波検査(エコー検査)
心臓超音波検査は、犬の動脈管開存症を確定するために欠かせない検査です。
心臓の中を流れる血液の様子をリアルタイムで観察でき、動脈管を通る血流を確認できます。
あわせて、心臓の働きに異常が出ているかどうかも調べられます。
犬の動脈管開存症の治療法
犬の動脈管開存症では、開いたままの動脈管を閉じる治療を行います。
この病気はできるだけ早い段階で治療を行えば、予後は良いとされています。
- カテーテル治療
- 開胸手術
それぞれについて解説します。
カテーテル治療
カテーテル治療は、血管の中から動脈管まで器具を進めて、動脈管を閉鎖する治療法です。
犬の体への負担が少なく、多くの場合は入院期間も短く済みます。
ただし、この治療には専用の設備と技術が必要なため、対応できる動物病院は限られます。
カテーテル治療を検討される場合は、まずはかかりつけの獣医師に相談してみましょう。
開胸手術
開胸手術は、胸を開いて動脈管を糸で縛って閉じる治療です。
動脈管の形や太さによっては、カテーテル治療が難しい場合に選択されることがあります。
開胸手術では、確実に動脈管を閉じることができるメリットがある一方で、大量出血のリスクがあることがデメリットです。
進行すると手術が行えなくなる?
動脈管開存症が進行すると、カテーテル治療や開胸手術のどちらも行えなくなることがあります。
肺高血圧を起こして、動脈管の中の血液の流れが変化すると、動脈管が血液循環の逃げ道として働くようになり、閉じることでかえって体に負担をかけてしまうためです。
手術を行うことができない場合は、血管を広げる薬で動脈管開存症の症状をコントロールしていくことになります。
しかし、動脈管開存症を内科治療で管理した場合の予後は悪いため、できる限り早期に動脈管を閉じる治療を行うことが望ましいです。

まとめ
犬の動脈管開存症は、生まれつき動脈管が閉じずに残ることで起こる先天性の心臓病です。
ほとんどは無症状で心雑音から見つかりますが、早期の治療によって経過が良好となることの多い病気です。
症状がない場合でも、定期的に健康診断を受け、聴診などで心臓の状態を確認してもらうことが大切です。
また、愛犬に気になる症状が見られたときは遠慮なく動物病院に相談しましょう。
サーカス動物病院グループでは循環器診療にも力を入れており、犬の動脈管開存症についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の心臓の状態が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
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この記事を監修した獣医師によるコメント

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