
「愛犬の白目が赤くなっている」
「まぶしそうに目を細めている」
このように感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつはこれらの症状は、目の中で炎症が起きるぶどう膜炎のサインかもしれません。
今回は犬のぶどう膜炎のサインと、検査や治療について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目を守るためにお役立てください。
獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
眼科領域では、専用の検査機器が普及してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかった異常も客観的に評価できるようになりました。その結果、症状が軽いうちに変化に気づきやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで視力の維持や症状の改善を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。「目やにが増えた」「目が赤い」「見えにくそうにしている」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 犬のぶどう膜炎とは? ▼ 犬のぶどう膜炎のサイン ▼ 犬のぶどう膜炎の原因 ▼ 犬のぶどう膜炎の検査 ▼ 犬のぶどう膜炎の治療 ▼ まとめ |
犬のぶどう膜炎とは?
犬のぶどう膜炎は、目の中にあるぶどう膜という組織に炎症が起きる病気です。
この病気は、片方の目だけに起こることも、両方の目に起こることもあります。
ぶどう膜炎は、目そのものの異常だけでなく、全身の病気が目にあらわれたものである場合も少なくありません。
また、ぶどう膜は以下の3つの目の構造をまとめた呼び方です。
- 虹彩(こうさい)
瞳のまわりの色のついた部分 - 毛様体(もうようたい)
レンズのピントを合わせ、目の中の水をつくる部分 - 脈絡膜(みゃくらくまく)
目の奥で網膜に栄養を送る部分
ぶどう膜は、目の中でも血管が多い組織であり、血液にのって運ばれた細菌やウイルス、腫瘍の細胞などの影響を受けやすいといわれています。
犬のぶどう膜炎のサイン
犬のぶどう膜炎のサインは、以下のような目の変化としてあらわれます。
- 白目が充血する
- まぶしそうに目を細める
- 瞳の色が濃くなる
- 目の中が濁る
これらの症状が愛犬に見られた場合は、ぶどう膜炎になっている可能性があるため、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
それぞれについて解説します。
白目が充血する
白目の充血は、犬のぶどう膜炎でよくみられるサインです。
ぶどう膜に炎症が起きると白目の血管が太くなり、赤く見えるようになります。
まぶしそうに目を細める
まぶしそうに目を細めるのも、犬のぶどう膜炎のサインのひとつです。
目に痛みが出るため光をまぶしく感じ、涙が増えたり目の周りをこすったりすることもあります。
瞳の色が濃くなる
瞳の色が濃くなることも、犬のぶどう膜炎のサインです。
ぶどう膜炎の炎症によって虹彩が厚くなるため、瞳の色が濃く見えます。
また、虹彩が水晶体に癒着することで、瞳の色だけでなく形も変化する場合があります。
目の中が濁る
目の中が濁って見えるのも、犬のぶどう膜炎のサインのひとつです。
角膜と虹彩のあいだにある前房(ぜんぼう)に、タンパク質や血がしみ出して濁ることがあります。
ただし、ごく軽い濁りは見た目ではわからないため、獣医師に検査してもらうことが大切です。

犬のぶどう膜炎の原因
犬のぶどう膜炎の原因はさまざまで、目そのものだけに問題があるとは限りません。
ぶどう膜炎のおもな原因として、以下の6つが挙げられます。
- 特発性・免疫介在性
- 外傷
- 腫瘍
- 全身の感染症
- 代謝性
- 反射性
目や全身の検査を行っても原因がわからない場合もめずらしくありませんが、今回はこれらの代表的なぶどう膜炎の原因について解説します。
特発性・免疫介在性
特発性・免疫介在性は、犬のぶどう膜炎のもっとも一般的な原因です。
とくに、白内障によって濁った水晶体からしみ出したタンパク質に免疫が反応してぶどう膜炎を起こすことが多いです。
このため、愛犬が白内障を発症している場合は、目の充血などの異常を起こしていないかよく観察しましょう。
外傷
外傷も犬のぶどう膜炎ではよくみられる原因のひとつです。
草や枝で目を突いてしまったり、ほかの動物とけんかしたりすることで起こります。
腫瘍
ぶどう膜に発生した腫瘍や、ほかの臓器から転移してできた腫瘍によってもぶどう膜炎は起こることがあります。
腫瘍がぶどう膜の組織を破壊したり、出血を起こしたりすることが原因です。
全身の感染症
全身の感染症は、犬のぶどう膜炎の原因のひとつです。
細菌や真菌などが血液にのって目に届き、ぶどう膜に炎症を起こします。
代謝性
代謝性のぶどう膜炎は、おもに脂質の代謝の異常が原因です。
血中の中性脂肪の高い状態が続くと、ぶどう膜に炎症が起こることがあります。
とくにミニチュア・シュナウザーでは高脂血症の犬が多いため、代謝性のぶどう膜炎が起きやすいです。
反射性
反射性のぶどう膜炎は、角膜の傷や炎症がきっかけで起きるぶどう膜炎です。
とくに、深い角膜潰瘍や強い角膜炎など、角膜への刺激が強い場合にみられることが多いです。
角膜には多くの知覚神経が分布しており、角膜への強い刺激によって神経の反射が起きます。
これにより、目の内部のぶどう膜の血管が広がって、炎症が生じると考えられています。
犬のぶどう膜炎の検査
犬のぶどう膜炎で行うのは、目の状態を調べる検査と、体に原因がないかを調べる検査です。
おもに以下の4つを組み合わせます。
- スリットランプ検査
- 眼圧検査
- 眼部超音波検査
- 全身の検査
それぞれについて解説します。
スリットランプ検査
スリットランプ検査は、犬のぶどう膜炎の診断でまず行う検査です。
細い光を当てて目を見るスリットランプという機器で、前房の濁りや虹彩の癒着を確認します。
これにより、肉眼ではわかりにくい目の異常を詳細に観察することができます。
眼圧検査
眼圧検査は、目の中の圧力を測る検査です。
ぶどう膜炎では眼房水という液体の産生が低下して、眼圧が低下することが多いです。
また、虹彩の癒着によって眼房水の出口がふさがると、眼圧が上がることもあります。
眼圧が上がると、緑内障に発展することがあるため、定期的に眼圧を確認することは重要です。
眼部超音波検査
眼部超音波検査は、目の中の構造を超音波によって確認する検査です。
ぶどう膜炎では、前房の濁りによって目の中を直接観察できない場合もあり、そのような場合に超音波検査が行われることがあります。
また、水晶体の異常や目の中の腫瘍がないかを見るうえでも、超音波検査は有用です。
全身の検査
全身の検査は、ぶどう膜炎の原因が体の中にないかを調べる検査です。
全身をくまなく検査するために、血液検査に加えてレントゲン検査や超音波検査を行うこともあります。
とくに両方の目に炎症が起きているときは、目以外の異常が原因である可能性もあるため、全身の検査は重要です。
犬のぶどう膜炎の治療
犬のぶどう膜炎の治療は、おもに以下の3つの治療を組み合わせて行います。
- 原因に対する治療
- 抗炎症治療
- 散瞳薬
それぞれについて解説します。
原因に対する治療
ぶどう膜炎の原因がはっきりしている場合は、その原因に合わせた治療を行うことが重要です。
細菌による感染症であれば抗菌薬、真菌であれば抗真菌薬が投与されます。
腫瘍が原因である場合は、根本的な治療のために手術が必要な場合もあります。
抗炎症治療
抗炎症治療は、ぶどう膜炎の炎症を抑えることで、目の痛みや充血を改善させる治療です。ステロイドまたは、NSAIDsと呼ばれる非ステロイド性の抗炎症成分が用いられることが多いです。
抗炎症治療は、点眼薬が一般的に用いられる一方で、犬によっては内服薬や注射が使用されることもあります。
ただし、角膜に傷がある場合は、ステロイドの点眼を用いると悪化することがあります。
このため、過去にステロイドの点眼を処方されたことがある場合でも、必ず獣医師と相談の上で使用しましょう。
散瞳薬
散瞳薬は、瞳孔を広げる作用のある点眼であり、ぶどう膜炎の治療に用いられます。
ぶどう膜炎では、虹彩とほかの組織の癒着によって、瞳の変形が見られることがあります。
また、それによって眼房水の流れが遮断されて、緑内障を二次的に発症することもめずらしくありません。
このため、散瞳薬によって虹彩の癒着が起こらないようにすることは重要です。
ただし、すでに緑内障を併発している場合は、散瞳薬によって眼圧がさらに上昇するおそれがあるため使用できません。
このため散瞳薬の使用の可否は、獣医師が眼圧を確認したうえで判断されます。

まとめ
犬のぶどう膜炎は、目の中のぶどう膜に炎症が起きる病気です。
目そのもののトラブルだけでなく、全身の病気が原因である場合もあります。
愛犬の白目が赤くなったり、まぶしそうに目を細めたりしたときは、様子を見ずに動物病院に相談しましょう。
サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、犬の目の炎症の検査や治療についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の目が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
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