
「愛猫の耳が赤くなっている」
「耳にできものができているみたい」
このように感じて、心配されている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫の耳には、扁平上皮癌や肥満細胞腫といった腫瘍ができることがあります。
今回は、猫の耳にできやすい腫瘍の種類や検査、治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の耳の健康を守るためにお役立てください。
獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
猫の皮膚にできるしこりやできものは、見た目だけでは良性か悪性かの判断が非常に困難です。そのため、獣医師による丁寧な視診や触診、しこりの場所の確認に加え、「細胞診」という負担の少ない検査を適切に行うことが、客観的な評価と早期治療への第一歩となります。
サーカス動物病院グループでは、皮膚科診療や総合診療の一環として、日常的な皮膚のしこりに対しても高い水準で正確な診断とケアを実践しています。
「しこりが急に大きくなってきた」「できものが増えてきた」「良性か悪性かはっきりさせたい」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひ当動物病院グループへご相談ください。
愛猫の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 猫の耳にできる腫瘍とは ▼ 猫の耳にできやすい腫瘍の種類 ▼ 猫の耳の腫瘍の検査 ▼ 猫の耳の腫瘍の治療法 ▼ まとめ |
猫の耳にできる腫瘍とは
猫の耳の皮膚には、腫瘍が発生することがあります。
とくに耳の先端は毛や色素が薄く紫外線の影響を受けやすいため、腫瘍ができやすい部位のひとつです。
見た目の変化に気がつかぬうちに進行してしまうこともあるため、日頃から耳の状態を確認しておくことが大切です。
早期に発見できれば治療の選択肢も広がり、耳への負担も少なく済みます。
猫の耳にできやすい腫瘍の種類
猫の耳にできやすい腫瘍として、以下の2つが代表的です。
- 扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
- 肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)
それぞれについて解説します。
扁平上皮癌
扁平上皮癌は、皮膚の表面をおおう扁平上皮という細胞が腫瘍化する病気です。
猫の皮膚にできる腫瘍のなかでもとくに発生が多く、9〜14歳齢での発生が目立ちます。
扁平上皮癌のできやすい部位は以下です。
- 耳介(耳の外側の部分)
- まぶた
- 鼻
また、扁平上皮癌は紫外線が発症のリスクになることがわかっています。
とくに白い毛の猫は、毛のメラニン色素がうすく、毛が紫外線を吸収しにくいため、皮膚が紫外線の影響を受けやすいです。
このため、白い毛の猫は他の毛色の猫と比べてこの腫瘍ができるリスクが高いと報告されています。
扁平上皮癌の見た目と症状
扁平上皮癌は、しこりを形成するだけでなく、ジュクジュクした潰瘍を伴った皮膚病変として見つかることも多いです。
腫瘍の進行はゆるやかなことが多い一方で、周囲への浸潤性は強く、放置すると耳の深い組織にまで達してしまうため注意が必要です。
腫瘍によってできた傷口から細菌が二次感染することもあります。
扁平上皮癌の予後
猫の扁平上皮癌は、比較的早期の段階では遠隔転移はまれですが、局所の組織への浸潤性・破壊性が非常に強い悪性腫瘍です。
放置すると耳の軟骨や周囲の組織にまで広がり、発見が遅れるほど大きな範囲の切除が必要になります。
さらに進行してリンパ節や他の臓器へ転移が成立してしまうと、手術による根治が難しくなることもあるため、しこりに気づいた時点でできるだけ早く外科手術を検討することが重要です。
扁平上皮癌は、早期に発見し、腫瘍を取りきることができれば予後は良好なことが多いです。
しかし、扁平上皮癌は浸潤性が強いため、耳にできた場合は耳介を大きく切除する必要があり、耳の見た目は変わってしまいます。
また、耳以外の皮膚にも多発するケースがあるため、早期の対応が欠かせません。
見た目が似た日光皮膚症に注意
扁平上皮癌によく似た見た目の皮膚病に、日光皮膚症があります。
白い毛や色素の薄い猫の耳は紫外線の影響を受けやすく、日光皮膚症とよばれる、扁平上皮癌とは異なる炎症を起こすことがあります。
この病気は紫外線による炎症で、耳の縁が赤くなったり、かさぶたができたりすることが特徴です。
日光皮膚症は扁平上皮癌の前段階となる皮膚の変化のひとつと考えられており、放置すると扁平上皮癌に進行することがあるため注意が必要です。
日光皮膚症になった場合は、猫を屋外に出さないようにすることが、進行を抑えるうえで重要です。

肥満細胞腫
肥満細胞腫は、皮膚や粘膜に存在する肥満細胞が腫瘍化する病気です。
この腫瘍は、猫の皮膚にできる腫瘍のなかでは扁平上皮癌に次いで多く見られます。
猫の肥満細胞腫は4歳齢以降で発生することが多く、まれに若齢でも発生することがあります。
おもに以下の部位での発生が多いです。
- 頭部
- 頸部(首)
- 耳介(耳の外側の部分)
肥満細胞腫の見た目と症状
肥満細胞腫は、毛の生えていないやや硬めのしこりとして触れることが多く、大きさは数ミリメートルから2センチメートル程度とさまざまです。
この腫瘍は、かゆみや赤みをともなうこともあり、猫が気にして頻繁にかいてしまうこともあります。
肥満細胞腫の予後
猫の肥満細胞腫は犬より悪性度が低く、腫瘍の切除によって治るケースが多いです。
一方で、転移や腫瘍に関連して死亡するケースもあることから、早期診断・治療が望まれます。
そのほか、猫の肥満細胞腫は脾臓に原発し、皮膚に転移しているケースもあります。
その場合は脾臓を摘出することで予後が改善する可能性があるため、皮膚にできたしこりであっても全身の精査が重要となります。
猫の耳の腫瘍の検査
猫の耳の腫瘍が疑われる場合、以下のような検査が行われます。
- 細胞診
- 病理検査
それぞれについて解説します。
細胞診
細胞診は、しこりに針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察する検査です。
麻酔をかけずに行えることが多く、猫への負担も少なくて済みます。
とくに肥満細胞腫では、非常に特徴的な細胞が見られるため、細胞診である程度診断をつけることができます。
ただし、ほとんどの腫瘍は細胞診だけでは確定診断には至らないため、とくに悪性腫瘍が疑われる場合は病理検査を行うことが望ましいです。
病理検査
病理検査は、しこりの組織を採取して詳しく調べる、確定診断に欠かせない検査です。
とくに扁平上皮癌が疑わしい場合は、経過観察をせずに早めに切除し、切除した組織を病理検査に出すことが望ましいとされています。
腫瘍が大きくなってから切除するよりも、早期に治療を行ったほうが猫の負担を抑えられます。

猫の耳の腫瘍の治療法
猫の耳の腫瘍の治療は、外科的に切除することが基本です。
扁平上皮癌は周囲への浸潤性が強いため、正常な皮膚も含めて、余裕をもって広めに切除することが必要です。
腫瘍の完全な切除が難しい場合や取りきれなかった場合には、放射線療法などが選択されることもあります。
また猫の場合の肥満細胞腫は、切除する範囲が小さくても再発しにくいのが特徴です。
そのため、しこりが小さいうちに早めに切除するほど、耳への負担や欠損を少なく抑えられます。
愛猫の耳にしこりが見つかった場合は、様子を見ずに早めに動物病院に相談しましょう。
まとめ
猫の耳には、扁平上皮癌や肥満細胞腫といった腫瘍ができることがあります。
とくに白い毛の猫の耳は紫外線の影響を受けやすく、日光皮膚症から扁平上皮癌に進行することもあるため注意が必要です。
愛猫の耳に気になるできものや赤みが見られたときは様子を見ずに動物病院に相談しましょう。
サーカス動物病院グループでは皮膚科診療や総合診療の一環として、耳にできるしこりの検査や治療についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛猫の耳のできものが気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
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