犬のエプリスとは|犬の口の中の病気エプリスの症状と治療について解説
犬の口の中にはできものができることがあります。
ご家族が犬とスキンシップしている際に「口の中に盛り上がりがある!」と気づく場合や、
健康診断のために動物病院にいらっしゃった際に、偶然口の中にできものを見つけることもあります。
犬の口にできるできものの中には、エプリスという病気があります。
「口の中にできるエプリスって悪いもの?」
「口の中にできるエプリスの症状は?」
「口の中にできたエプリスって痛みはある?」
といった疑問や心配事もあるかと思います。
そこで今回は犬の口にできるエプリスについて詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬のエプリスについての理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ 口の中にできるエプリスとは |
口の中にできるエプリスとは
エプリスとは犬の口の中にできる、数種類の良性の病気の総称です。
特に口の中の歯肉や上顎の硬い部分である口蓋、口の中の粘膜に発生します。
エプリスの種類には
- 限局性歯肉過形成
- 周辺性歯原性線維腫
- 棘細胞性エナメル上皮腫
が挙げられます。
限局性歯肉過形成は腫瘍ではありません。口の中の炎症や歯周病、特定の薬によって歯肉が盛り上がってしまう病気です。
一方で周辺性歯原性線維腫と棘細胞性エナメル上皮腫は口の中にできる良性の腫瘍です。
周辺性歯原性線維腫は表面は滑らかで、歯肉過形成とよく似た見た目をしています。
腫瘍は、歯と歯肉の間の膜である歯根膜から発生します。
腫瘍の広がりは比較的ゆっくりで、腫瘍を切除したあとの再発も少ないですね。
棘細胞性エナメル上皮種は、カリフラワー状で赤色の見た目をしている良性の腫瘍です。
ゴールデン・レトリバーやシェットランド・シープドッグなどに多いとされています。
良性といっても、腫瘍が顎の骨まで含んで、大きく広がることが多い腫瘍です。エプリスの中では比較的進行も早いです。また小さく切除すると再発する可能性が高い厄介な病気ですね。
そのためご家族も普段から口の中をよく観察したほうがよいでしょう。
周辺性歯原性線維腫と棘細胞性エナメル上皮腫は腫瘍ですが良性のため、リンパ節や臓器への転移は心配ありません。
またエプリスと他の腫瘍は見た目がよく似ています。見た目の特徴からエプリスと思い込んで安心してはいけません。腫瘍の種類をはっきりさせ、早めに治療を開始するために、必ず動物病院に来院し診察を受けましょう。
口のなかにできるエプリスの症状
エプリスは、腫瘍が大きくなることにより症状がみられます。
主な症状
エプリスの主な症状には
- よだれ
- 口臭
- 腫瘍からの出血
- 腫瘍の化膿
- 元気がなくなる
- 口を開ける際に痛みがでる
- 食べたり飲んだりが難しくなる
- 顔が腫れる
などが挙げられます。
ある程度腫瘍が大きくならないと症状が出てこない場合があります。
歯磨きやお顔に触れるなど、日々のスキンシップの際にできるだけ犬の口の中の異常をチェックしましょう。
口の中にできるエプリスの検査
エプリスの診断は、獣医師が下記の検査を組み合わせて行います。
主な検査
エプリスの主な検査には
- 身体検査
- 血液検査
- 細胞診
- 病理検査
- 画像検査(レントゲン、CT、MRI)
などが挙げられます。
複数の検査を組み合わせないと、正確な診断や、病気がどのくらい進行しているか、他の病気を除外できるかが判断できません。
口の中にできるエプリスの治療
エプリスの中でも棘細胞性エナメル上皮腫は、進行が早く骨を含んで大きく広がります。そのため早期発見早期治療が大切になります。
以下はそれぞれの主なエプリスの治療です。
主な治療
限局性歯肉過形成の治療には
- 外科治療
- 歯科治療
- 原因薬剤の使用中止
などが挙げられます。
歯肉が盛り上がった部位の切除とその原因への対処になります。例えば歯周病が原因となっている場合には、歯石の除去などを合わせて行います。
周辺性歯原性線維腫の治療には
- 外科治療
- 歯科治療
などが挙げられます。
周辺性歯原性線維腫は、歯と歯肉の間の膜である歯根膜から発生した腫瘍です。そのため、腫瘍が発生した歯根膜を削ったり、その部分に生えている歯の抜歯を合わせて行います。
棘細胞性エナメル上皮腫には
- 外科治療
- 歯科治療
- 放射線治療
などが挙げられます。
腫瘍の広がりを確認して、必要があれば顎も含めて大きく切除を行います。腫瘍が取りきれなさそうな場合は放射線治療という選択肢もあります。
犬の現在の状態から獣医師とご家族が相談して最善な治療を行います。
エプリスは完治するの?
エプリスを発症している犬のご家族の中には、手術に踏み込むべきか悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。
エプリスの中で最も再発率が高い棘細胞性エナメル上皮腫は、完治を目指した外科手術での再発率は0〜11%とされています。つまりは完全に切除ができれば完治が目指せる腫瘍です。
一方で腫瘍を放っておくと80〜100%の確率で顎の骨へ広がってしまうという報告があります。腫瘍が顎の骨へ広がると骨が溶けて、顎の骨が脆くなったり、歯がグラグラしたりします。
脆くなった顎や大きくなった腫瘍により、食事や生活に影響が出て、犬の生活の質(QOL)が低下してしまうかもしれません。その場合食事の介助など、共に暮らすご家族にとっても大きな負担となるでしょう。
エプリスは早めに腫瘍を発見し、治療することで完治が目指せる病気です。手術ができる体の状態であれば積極的な外科手術をおすすめします。
まとめ
エプリスは良性のできものです。しかし、エプリスの中には、骨にまで腫瘍が広がり、顎の骨も切除しなければならなくなる腫瘍もあります。エプリスは、犬のQOLを下げ、苦痛を伴う病気です。
しかしエプリスは、早期発見・治療で、切除の範囲を小さく止めることができたり、完治が目指せます。
犬の歯磨きや体を触るなどの日々のスキンシップは口の中の異常を見つける上でとても大切です。日々の犬とのコミュニケーションに積極的に取り入れましょう。
犬の口の中に異常を見つけたらすぐに当院にご相談ください。
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