犬の口腔内線維肉腫|症状と治療について解説
犬の口の中には腫瘍ができることがあります。
ご家族が犬とスキンシップしている際に「歯茎が大きく腫れている!」と気づく場合や、健康診断のために動物病院にいらっしゃった際に、偶然口の中に腫瘍を見つけることもあります。
犬の口の腫瘍でメラノーマ、扁平上皮癌につづき3番目に多いのが線維肉腫です。
「口の中にできる線維肉腫ってどんな見た目をしているの?」
「大型犬で口腔内線維肉腫の低悪性度と診断されたけど安心していい?」
「口の中にできた線維肉腫の症状や余命は?」
といった疑問や心配事もあるかと思います。
今回は犬の口にできる線維肉腫について詳しくご説明します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の口腔内線維肉腫についての理解を深めましょう。
📍 目次 ▼ 口の中にできる線維肉腫とは |
口の中にできる線維肉腫とは
線維肉腫は体の軟部組織にできる癌の一つです。軟部組織とは骨や臓器を除いた皮膚や筋肉、血管などのことをいいます。
口の中にできる線維肉腫は、口腔内あらゆるところに発生しますが、歯肉に多いのが特徴的です。
腫瘍は平たく、固く、ピンク色の見た目をしています。また腫瘍の表面に炎症を起こしてえぐれている場合もあります。
発症は中高齢期からが多いですが、5歳未満と若くして発症することもあります。またオスの方が発症が多いと言われていますね。
他の臓器や近くのリンパ節への転移する確率は30%以下と腫瘍の中では比較的低いです。一方で腫瘍の周りや近くの骨までにも局所的に大きく広がることが多いです。また手術後で切り取った部分の再発率も高い病気です。
口の中にできる線維肉腫の症状
腫瘍が大きくなったり、腫瘍が転移することにより症状がみられます。
以下は口腔内線維肉腫の主な症状です。
主な症状
口腔内線維肉腫の主な症状には
- よだれ
- 口臭
- 腫瘍からの出血
- 元気がなくなる
- 食べたり飲んだりが難しくなる
- 顔が腫れる
などが挙げられます。
ある程度腫瘍が大きくならないと症状が出てこない場合もあります。
歯磨きやお顔に触れるなど日々のスキンシップの際にできるだけ犬の口の中もチェックしましょう。
口の中にできる線維肉腫の検査
口腔内線維肉腫の診断は獣医師が下記の検査を組み合わせて行います。
主な検査
口腔内線維肉腫の主な検査には
- 身体検査
- 血液検査
- 細胞診
- 病理検査
- 画像検査(レントゲン、CT、MRI)
などが挙げられます。
複数の検査を組み合わせないと、正確な診断や、病気がどのくらい進行しているかが判断できません。
また、大型犬(特にゴールデン・レトリバー)の口腔内線維肉腫は、病理検査で悪性度が低いと診断されても、腫瘍の周りの顎の骨へ広がったり、肺へ転移するなど、悪性度の高いふるまいをする場合もあります。特定の犬種では手術の後の経過も注意した方が良いでしょう。
口の中にできる線維肉腫の治療
口腔内線維肉腫の死亡原因は、肺などへの転移よりも、腫瘍があった部位での再発によるものが多いと言われています。そのため腫瘍やその周囲への治療が一番大切になります。
以下は主な口腔内線維肉腫の治療です。
主な治療
口腔内線維肉腫の主な治療には
- 外科手術
- 放射線治療
- 化学療法
- 温熱療法
などが挙げられます。
口腔内線維肉腫の余命は手術で腫瘍が完全に取り切れたか、転移していないかどうかなどで大きく異なります。
上記のそれぞれの治療法には残りの寿命や腫瘍による不快感を改善できる可能性があります。
しかし、外科手術で顎の骨を含めた大きな切除が必要な場合があったり、放射線療法による皮膚や骨に対するダメージがあったりと、リスクや副作用もあります。
犬の現在の状態から獣医師とご家族が相談して最善な治療を行います。
まとめ
口腔内線維肉腫は、腫瘍が口の中で大きく広がって顔が変形したり、せっかく手術をしても再発したりと、一緒に過ごすご家族にとっても、つらい病気だと感じるかもしれません。
しかし口腔内線維肉腫は早期発見、早期治療で完治が目指せる病気です。
犬の歯磨きや体を触るなどの日々のスキンシップは口の中の腫瘍を見つける上でとても大切です。日々の犬とのコミュニケーションに積極的に取り入れましょう。
犬の口の中にできものを見つけたらすぐに当院にご相談ください。
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