ノミ・マダニ予防fleas and ticks

ノミ

ノミは哺乳類や鳥類に寄生する体長2mmほどの小さな虫です。
羽はなく、後ろ足を使って高くジャンプすることができます。
動物に多く寄生がみられるのは、ネコノミというノミです。
ネコノミという名前ですが、犬にも寄生します。
ノミは13度以上の気温で活発に活動し始め、湿度の高い場所や暖かいところを好みます。
外では草むらや土のあるところに生息していて、散歩などで犬や猫の体に寄生することが多いです。

ノミ

ノミは一度外から持ち帰ると、湿度や温度の高い室内では繁殖してあっという間に増えてしまいます。
犬や猫を完全に室内飼育している場合でも、人間が持ち帰ってしまったり、庭などに野良猫が持ち込んだりすることで寄生されてしまうこともあるのです。
ノミは吸血することで長引く痒みを引き起こすだけでなく、寄生虫や細菌を媒介し様々な病気の原因となってしまいます。

ノミが引き起こす病害

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は犬や猫に寄生したノミによる皮膚病です。
ノミが吸血する際に送り込む唾液によって引き起こされるアレルギー反応の一つです。
ノミアレルギー性皮膚炎は

  • 強い痒み
  • 皮膚の赤み
  • ブツブツができる

などの症状がみられます。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎が慢性化すると

  • 脱毛
  • 細菌感染による炎症
  • かき壊しによる出血

といった皮膚のトラブルにもつながります。
ノミアレルギー性皮膚炎の治療は、犬や猫についているノミの駆除が基本となります。
皮膚の状態によっては抗生剤やステロイドなどを使用した治療が必要です。
ノミアレルギー性皮膚炎は長引くと症状がひどくなるため、早めの治療が効果的です。
ノミを見つけた場合や、犬や猫が強く痒がっている場合は早めに当院へご相談ください。

瓜実条虫症

瓜実条虫症とは瓜実条虫という寄生虫に感染しておこる病気です。
瓜実条虫という寄生虫はノミの体の中で成長するのが特徴です。
瓜実条虫症は瓜実条虫を体内に持つノミを犬や猫が口にすることで感染します。
瓜実条虫症はほとんどが無症状です。
中には

  • 下痢
  • 嘔吐
  • お尻を床に擦り付ける

などの症状が見られることがあります。

瓜実条虫症

特にお尻を気にしたり床に擦り付けたりしている場合は、便や肛門から寄生虫の一部が出ていることがあるのでよく観察してみましょう。
大量の瓜実条虫に寄生された場合は、けいれんや出血性腸炎といった重い症状が出ることもあります。
瓜実条虫症の治療は瓜実条虫の駆虫と合わせて、ノミの駆除が重要になります。
下痢や嘔吐などの症状が出ている場合は点滴が必要になることもあります。
瓜実条虫症は犬や猫同士でうつってしまう病気です。
治療が遅れると感染が広がる可能性も高くなるため、早めの治療が必要です。
便に寄生虫を見つけた場合やお尻を気にしているときは当院へご来院ください。

貧血

犬や猫も人間同様貧血を引き起こすことがあります。
貧血は血液中の赤血球数やヘモグロビンの量が少ない状態を言います。
貧血の原因は栄養不足や骨髄の異常、中毒など様々です。
犬や猫の貧血の原因の一つに、ノミによる大量の吸血があります。
ノミは繁殖のスピードが速いため、1匹の寄生を放置するとすぐに数が増えてしまいます。
大量のノミに長期間吸血されると、体の小さい犬や猫は貧血を起こしてしまうのです。
貧血の症状は

  • 脱力
  • 倦怠感
  • フラつく
  • 元気食欲の低下
  • 口の中が白くなる

などがあります。
貧血は重度になると命に関わる病気です。
ノミの吸血による貧血の治療法は、ノミの駆除を行うことが重要です。
犬や猫の体だけではなく、家の中などの掃除も含めて完全な駆除が必要ですね。
貧血が重度の場合は輸血が必要です。
貧血は時間が経つほど症状が重くなり、治療に時間がかかります。
早期発見早期治療のために普段から犬や猫の体にノミがいないかよくチェックしておきましょう。

ダニ

犬や猫に寄生して様々な病気を引き起こすダニは主にマダニと呼ばれる種類です。
マダニは春~秋にかけて活発に活動し、草むらや茂みに潜んでいます。
マダニは山の中にいるイメージがあるかもしれませんが、最近は都市部の公園にもマダニが生息しています。
犬は普段の散歩でマダニと接触する危険があるため特に注意が必要です。
犬だけではなく、人が持ち帰って家の中でマダニが繁殖してしまう可能性もあります。

ダニ

外に出る機会がない犬や猫もマダニの感染の危険は十分にあると言えます。
マダニは犬や猫の頭や耳など特に皮膚の薄い部分に寄生します。
口を刺してしっかりと固定し吸血が終わるまで離れなくなります。
無理に皮膚からマダニを引きはがそうとすると、皮膚が傷ついたり口の部分だけ残ってしまったりするので注意が必要ですね。
マダニ以外にも犬や猫に寄生するダニとしてはミミヒゼンダニなどがいます。

ダニが引き起こす病害

犬バベシア症

犬バベシア症はバベシアという原虫による血液の病気です。
バベシアはマダニによって媒介されます。
バベシアに感染した犬は

  • 貧血
  • 発熱
  • 食欲不振
  • 黄疸

などの症状があらわれ、最悪の場合死んでしまうこともあります。

犬バベシア症は赤血球が破壊されてしまう非常に怖い病気です。 犬バベシア症の治療はバベシアを抑える抗生剤を使用します。 ですがバベシアは完全に駆除するのが難しい原虫です。 症状がよくなっても体力が落ちると再発することがあります。 犬がマダニに咬まれないようにマダニの予防をすることが重要ですね。

猫ヘモプラズマ症

猫ヘモプラズマ症はヘモプラズマという細菌が感染して起こる病気です。
ヘモプラズマはマダニによって感染すると考えられており、猫の赤血球に寄生します。
猫ヘモプラズマ症は

  • 貧血
  • 発熱
  • 血尿
  • 食欲不振

などの症状がみられます。
猫ヘモプラズマ症の治療には抗生剤を使用します。
貧血がひどい場合は輸血の実施が必要です。
猫ヘモプラズマ症は治療によって症状は改善しますが、ヘモプラズマを完全に駆除することはできません。
再発しやすく、長期にわたる治療が必要なこともあります。
猫がマダニに咬まれないようにマダニの予防をすることが重要です。

重症性血小板減少症(SFTS)

重症性血小板減少症(SFTS)はマダニによって媒介されるSFTSウイルスに感染することで起こる病気です。
SFTSウイルスに感染した犬や猫から人に感染することもあります。
SFTSになると

  • 元気食欲の低下
  • 発熱
  • 黄疸
  • 貧血
  • 嘔吐

などの症状がみられます。

SFTSは死亡率の高い怖い病気です。
以前は犬猫では発症しないと言われていましたが、近年犬や猫でも発症することがわかっています。
SFTSの治療方法は現在症状に対しての対症療法しかありません。
早期に治療を開始することが大事です。
SFTSはマダニによって媒介される病気なので、マダニの予防をして咬まれないようにすることが重要です。

ノミ・ダニの予防策

駆虫薬

駆虫薬
駆虫薬

ノミやダニは駆虫薬で駆除するだけでなく、予防することが可能です。
駆虫薬はノミやダニの成虫を駆除し、卵の孵化を予防します。
駆虫薬には体に垂らす液体タイプと口から飲むタイプの薬があります。
液体タイプは犬や猫の背中に垂らすことで皮膚表面に薬の成分が広がっていくのが特徴です。
口から飲むタイプはおやつのように食べやすくなっているものが多いため犬や猫が嫌がりにくいのが特徴です。
どちらの駆虫薬も24時間以内に効果が出始め、1か月持続します。
どの駆虫薬を使用するかは犬や猫の性格や投薬のしやすさなども含めてよく獣医師と相談してください。
ノミやダニが活発に活動するのは3~12月頃と言われていましたが、近年は年中見られることも多いです。
一年中予防する方が望ましいこともあるので、どのように予防するといいかはぜひ当院へご相談ください。

グルーミング

ノミやダニは家に持ち込んでしまうと、家の中でどんどん増えてしまいます。
犬は散歩のあとはしっかり体や足をふいて虫がついていないかチェックしましょう。
猫は外に出さずに室内で飼育するのが望ましいです。
ノミやダニは日ごろから犬や猫のブラッシングをこまめにしたり、シャンプーをしたりすることで体についていても落とすことができます。
犬や猫の体をグルーミングすることは皮膚の状態やノミやダニのチェックにもつながります。
毎日のスキンシップがとても重要です。
グルーミングだけでは完全にノミやダニを予防することはできないので、駆虫薬などいくつかの予防策を合わせてやるのがおすすめですね。

グルーミング

部屋の掃除

ノミやダニは犬や猫の体から駆除しても室内で増え続けていることもあります。
外から持ち帰ったノミやダニが室内で繁殖してしまうとせっかくの駆虫薬も無駄になってしまいます。
家の床や、布団やソファなどノミやダニが隠れていそうな場所をこまめに掃除しましょう。
ノミやダニは60度以上の熱で駆除することができます。
ペットが使っているクッションやベッドを熱湯で洗濯したりスチーマーなどを使ったりするのも予防としておすすめです。
家の中の掃除でノミやダニを駆除しても外で犬や猫の体についてしまっては意味がありません。
ノミやダニの予防は駆虫薬と合わせて行うのがもっとも効果的です。
ぜひ当院でノミやダニの予防についてご相談ください。

ご予約はこちらから