
「愛犬の毛がところどころ抜けている」
「体を痒がる様子が続いている」
このように感じて、心配されている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の皮膚が脱毛したり痒がったりする原因のひとつに、ニキビダニ症があります。
今回は、脱毛と痒みで来院されたミニチュア・ピンシャーの症例をもとに、犬のニキビダニ症の原因や治療法についてご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚の変化に気づいたときにお役立てください。
| 📍 目次 ▼ 症例紹介 ▼ 実際の症例 ▼ 犬のニキビダニ症の症状 ▼ 犬のニキビダニ症の原因 ▼ 犬のニキビダニ症の検査・診断 ▼ 犬のニキビダニ症の治療法 ▼ 犬のニキビダニ症の予後と再発予防 ▼ まとめ ▼ 獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください |
症例紹介
| 動物種 | 犬 |
| 品種 | ミニチュア・ピンシャー |
| 主な皮膚症状 | 脱毛、痒み |
| 来院理由 | 脱毛と痒みのため来院 |
| 診断 | ニキビダニ症 |
| 治療方針 | 駆虫薬の投与 |
| 治療期間 | 4か月 |
| 治療結果 | 痒みが軽減し、被毛が再生した |
実際の症例
今回ご紹介する症例は、体の毛が抜けて痒がる様子が見られた1歳のミニチュア・ピンシャーです。

来院理由
この症例は、1か月ほど前から体を痒がる様子と、被毛が抜ける様子が見られたため来院しました。
飼い主様は当初、様子を見ていれば落ち着くだろうと考えていらっしゃいましたが、症状が続くため受診を決められたとのことです。
初診時の状態
初診時、この症例には以下の症状が見られました。
- 部分的な脱毛
- 皮膚の赤み
- フケの増加
これらの症状は、右脇腹の一部に限定して見られました。
検査・診断結果
この症例に対して、皮膚掻爬物鏡検(ひふそうはぶつきょうけん)という検査を行いました。
この検査では、鋭匙(えいひ)という器具を使って皮膚をこすって採取した検体を顕微鏡で確認します。
検査の結果、毛穴に住み着くニキビダニ(毛包虫)が多数確認されました。
また、脱毛の範囲が部分的であることから、局所性ニキビダニ症と診断しました。
治療方針
この症例には、月に1回投与するタイプの駆虫薬を用いた治療を行いました。
治療後の経過
治療開始から1か月後には痒みが軽減し、4か月後には脱毛部位に被毛の再生が確認されました。

今回のように、犬のニキビダニ症は正しい診断と適切な治療によって症状の改善が期待できます。
ここからは、犬のニキビダニ症の特徴と治療法について解説します。
犬のニキビダニ症とは
犬のニキビダニ症は、毛穴の中にもともと住み着いているニキビダニという寄生虫が何らかの理由で増えすぎることで起こる皮膚の病気です。
ニキビダニは生まれて間もない時期に母犬から受け継がれ、健康な犬の皮膚にも存在しているダニです。
通常は数が少なく害を及ぼしませんが、何らかの原因で免疫力が落ちるとニキビダニが増殖し、脱毛や炎症を引き起こします。
犬のニキビダニ症の原因
犬のニキビダニ症の主な原因は、免疫力の低下です。
とくに以下のような要因で免疫力が低下することが多いです。
- ステロイドの慢性的な使用
- 内分泌疾患
- 子犬
ステロイドには免疫抑制作用があるため、慢性的に使用していると、ニキビダニが増えやすくなります。
内分泌疾患はホルモンの分泌が乱れる病気であり、免疫力が低下して、ニキビダニ症をはじめとするさまざまな感染症を引き起こすことが多いです。
また、免疫力が十分に整っていない子犬の時期に、ニキビダニが増えやすい傾向があります。
犬のニキビダニ症の症状
犬のニキビダニ症の症状として、以下の2つのタイプが知られています。
- 局所性ニキビダニ症
- 汎発性ニキビダニ症
それぞれについて解説します。
局所性ニキビダニ症
局所性ニキビダニ症は、犬のニキビダニ症のなかでも比較的軽度なタイプです。
頭や足など体の一部に、境界がはっきりした脱毛が数か所見られることが多く、若い犬に多く見られます。
汎発性ニキビダニ症
汎発性ニキビダニ症は、局所性よりも症状が広範囲に及ぶタイプです。
この病気は体幹を含めた広い範囲にフケや赤みが見られ、膿を持った発疹ができることもあります。
足の先に症状が出た場合は、腫れや痛みを伴うこともあります。
犬のニキビダニ症の検査・診断
犬のニキビダニ症の診断には、皮膚掻爬物鏡検や、毛を抜き取って調べる検査を行います。
また、皮膚の検査では、細菌やカビなどのニキビダニ以外の感染症が隠れていないかも合わせて確認します。
高齢で発症した場合は、背景にホルモンの病気などが隠れていないか調べるために血液検査などを行うことも大切です。

犬のニキビダニ症の治療法
犬のニキビダニ症の治療は、ニキビダニを駆除する薬を用いることが基本です。
駆虫薬には内服薬や注射薬など複数の種類があり、犬種や体質に応じて選択します。
また駆虫に加えて、毛穴のクレンジング作用のある薬用シャンプーや入浴による治療を組み合わせることもあります。
背景に内分泌疾患などの別の病気が隠れている場合は、その病気の治療もあわせて行うことが大切です。
治療期間の目安は3か月程度ですが、検査でニキビダニがいなくなったことを確認し、症状の改善が見られてからさらに1か月ほど治療を続けることが望ましいです。
犬のニキビダニ症の予後と再発予防
犬のニキビダニ症は、適切な治療を行うことで多くの場合、経過は良好です。
若い犬の場合は、1歳頃までに治ることがほとんどです。
高齢の犬では、背景にある病気の管理を続けることで、症状が落ち着いた状態を維持できます。
ただし、治療を終えたあとに再発することもあるため、定期的な検査で皮膚の状態を確認することが大切です。
まとめ
犬のニキビダニ症は、免疫力が低下したときに発症しやすい病気です。
早めに気づいて駆虫を行うことで、症状の改善が期待できます。
愛犬の毛が抜けたり、皮膚を痒がったりする様子が見られたときは遠慮なく動物病院に相談しましょう。
サーカス動物病院グループでは皮膚科診療にも力を入れており、犬のニキビダニ症についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の皮膚の状態が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
獣医師からのメッセージ:一人で悩まずにご相談ください
動物の皮膚科領域では、主要疾患の国際的な治療ガイドラインの作成が進み、治療の選択肢も年々広がっています。以前はコントロールが難しかった症例でも、最新の知見に基づいた適切な薬剤やスキンケア、食事や生活指導などの組み合わせによって、皮膚や被毛の状態を大幅に改善させ、愛犬とご家族が穏やかに過ごせる状態を取り戻すことができる可能性が十分にあります。
多くの動物病院は「総合科」としてあらゆる診療科を網羅しており、何でも相談できるという素晴らしいメリットがあります。一方で、獣医療の高度化に伴い、すべての科において最新の専門性を維持し続けることが難しいという側面も持ち合わせています。
サーカス動物病院グループには、アジア獣医皮膚科専門医が2名在籍し、専門性の高い皮膚科診療を行っています。「長年治療しているのに改善しない」「何が原因かはっきりさせたい」「スキンケアの方法を見直したい」とお悩みの飼い主様は、決して一人で抱え込まず、ぜひ当動物病院グループにご相談ください。
愛犬の皮膚の状態に合わせた最適なサポートを、一緒に考えていきましょう。
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