猫の虹彩メラノーマ|猫の瞳の色が変わる?虹彩メラノーマの検査や治療について獣医師が解説

#コラム #病気や予防の情報 #眼科
投稿日:2026.08.25 更新日:2026.08.25
猫の茶色い目

「愛猫の目に黒い点が出てきた」
「目の色が左右で違う気がする」
このように感じて、気になっている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

じつは、猫の目の色の変化の裏に、虹彩メラノーマという腫瘍が隠れていることがあります。
今回は猫の虹彩メラノーマの症状と、検査や治療について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の目の変化に気づいたときにお役立てください。

獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
眼科領域では、専用の検査機器が普及してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかった異常も客観的に評価できるようになりました。
その結果、症状が軽いうちに変化に気づきやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで視力の維持や症状の改善を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。
一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。
「目の色が変わってきた」「目が黒い」「見えにくそうにしている」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛猫の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。

 📍 目次
▼ 猫の虹彩メラノーマとは?
▼ 猫の虹彩メラノーマの主な症状
▼ 猫の虹彩メラノーマの検査
▼ 猫の虹彩メラノーマの治療
▼ まとめ

猫の虹彩メラノーマとは?

猫の虹彩メラノーマは、目の中の虹彩(こうさい)にできる腫瘍です。
虹彩は、瞳の周りにある色のついた部分で、目に入る光の量を調整する役割を担っています。
この虹彩でメラニン色素をつくる細胞が異常に増えることで、虹彩メラノーマが起こります。

猫の虹彩メラノーマは、虹彩や目のレンズを調節する部分にできる腫瘍のなかで、もっとも多く見られる腫瘍です。
この腫瘍は中〜高齢の猫に多く、平均すると9歳ごろに見つかることが多いです。

猫の虹彩メラノーマは進行すると、緑内障を起こして目の痛みや失明を起こすことがあります。
また、この腫瘍は全身に転移する場合もあり、進行すると命にかかわる場合もあります。

最初は良性の虹彩メラノーシスとして発生

猫の虹彩メラノーマは、最初は虹彩メラノーシスとよばれる良性の変化から始まることが多いです。
虹彩メラノーシスは虹彩の色素が少しずつ増える状態で、その多くは良性のまま経過します。
しかし一部は、時間をかけてメラノーマへ進行することがあります。
また、良性の虹彩メラノーシスと悪性のメラノーマは見た目だけでは区別が難しく、両者を診断するためには病理検査が必要です。

上を見上げるシルバーのキジトラ猫

猫の虹彩メラノーマの主な症状

猫の虹彩メラノーマは、目の見た目の変化として現れることがほとんどです。
愛猫の日常で気づきやすいサインとして、以下の4つが挙げられます。

  • 虹彩の色の変化
  • 虹彩の盛り上がり
  • 瞳孔の変形
  • 目の充血や痛み

これらの症状が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

虹彩の色の変化

猫の虹彩メラノーマでは、虹彩に茶色や黒色の斑点が現れ、時間をかけて広がったり濃くなったりします。
目の色が変わってきた、左右で色が違うといった変化に気づいて来院される飼い主様が多いです。
愛猫の目に黒い点が出てきたと気づいたら、早めに動物病院で診てもらいましょう。

虹彩の盛り上がり

虹彩の色が変わった部分は、表面が厚みを増して少し盛り上がって見えることがあります。
この変化は色の変化に比べて気づきにくいため、獣医師に専用のレンズを用いて観察してもらいましょう。

瞳孔の変形

虹彩メラノーマが進行すると、瞳孔の形がゆがんだり、左右の目で形や大きさが違って見えたりすることがあります。
光を当てたときの瞳孔の反応が鈍くなることもあるため、瞳孔の大きさの左右差にも注意しましょう。

目の充血や痛み

虹彩メラノーマが隅角(ぐうかく)という目の中の水の流れ道にまで広がると、眼圧が上がって緑内障を起こすことがあります。
緑内障が起こると目の充血や痛みが現れ、愛猫が目をショボショボさせることもあります。

猫の虹彩メラノーマの検査

猫の虹彩メラノーマは、見た目だけでは良性と悪性を診断するのが難しく、さまざまな検査によって治療方針を慎重に判断することが大切です。
虹彩メラノーマの疑いがあると判断された場合は、以下のような検査が行われます。

  • 眼科検査
  • 画像検査
  • 病理検査

眼科検査

眼科検査は、黒くなった虹彩の状態や周囲の組織を詳しく観察する検査です。
眼球を詳細に観察するスリットランプという機器を使い、以下のような変化がないかを確認します。

  • 虹彩の色素の広がり
  • 虹彩の色素の盛り上がり
  • 隅角など虹彩の周りの組織への浸潤

これらは黒くなった猫の虹彩に、虹彩メラノーマの疑いがあるかどうかを判断するうえで重要なポイントです。
また緑内障を併発している可能性がある場合は、眼圧計や隅角鏡という機器を用いた検査が行われます。

画像検査

猫の虹彩メラノーマは肝臓や肺などに転移することがあるため、レントゲン検査や腹部超音波検査などの画像検査で全身の状態を調べます。
虹彩メラノーマが、目だけではなく全身に転移すると予後が悪いため、必ず確認してもらうことが大切です。

病理検査

病理検査は猫の虹彩メラノーマの確定診断を得るための検査です。
ただし虹彩の組織の一部だけを摘出することは、技術的な難しさや合併症を起こすリスクがあるため推奨されていません。
このため、猫の虹彩メラノーマを確定診断するためには、眼球全体を摘出したうえで病理検査をしてもらうことが必要です。

こちらをみているグレーの猫

猫の虹彩メラノーマの治療

猫の虹彩メラノーマの根本的な治療は眼球摘出術のみとされています。
眼球摘出術は、猫の虹彩メラノーマの疑いがある眼球全体を取り除く手術です。

眼球摘出をするまでは虹彩メラノーマの確定診断はできませんが、以下のような状況では、とくに眼球摘出術を実施することが検討されます。

  • 隅角や虹彩の周りの組織に黒い色素が広がっている
  • 緑内障を併発している
  • すでに視力を失っている
  • 目に強い痛みがある

病気とはいえ、愛猫の眼球を摘出することには抵抗を感じますよね。
じつは片方の目を摘出しても、もう片方の目が見えていれば、猫は日常生活に大きな不自由なく過ごせることがほとんどです。
すでに失明している場合や、痛みが強い場合は、眼球を温存するよりも摘出したほうが、猫の生活の質を向上させる可能性が高いです。

まとめ

猫の虹彩メラノーマは、虹彩の色の変化としてゆっくり発生することが多い腫瘍です。
進行すると緑内障を起こしたり、全身に転移して命にかかわることがあります。
愛猫の目に黒い点が出てきたり、虹彩の色が変わってきたりしたときは、早めに動物病院に相談して検査を受けましょう。

サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、目の腫瘍の検査や治療についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛猫の目の変化が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した獣医師によるコメント

今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 眼科担当医
今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 藤沢菖蒲沢院/ 横浜ゆめが丘院 勤務
比較眼科学会に所属し、麻布大学附属動物病院の眼科専科研修医として学びを深めながら、日々の診療に向き合っています。