犬の網膜剥離|犬の目が見えていない?犬の網膜剥離の症状や治療について獣医師が解説!

#コラム #病気や予防の情報 #眼科
投稿日:2026.07.21 更新日:2026.07.21
うつ伏せにしているトイプードル

「うちの子が壁にぶつかるようになった」
「愛犬と目が合わなくなった。」
このような様子に愛犬の目が見えているかどうか、心配される飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

じつは、目の奥にある網膜がはがれてしまう網膜剥離(もうまくはくり)という病気が、こうしたサインの裏に隠れていることがあります。
今回は犬の網膜剥離の症状や治療について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目の見え方が気になったときにお役立てください。

獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
眼科領域では、専用の検査機器が普及してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかった異常も客観的に評価できるようになりました。
その結果、症状が軽いうちに変化に気づきやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで視力の維持や症状の改善を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。
一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。
「目が見えにくそうにしている」「物によくぶつかる」「目やにが多い」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。

 📍 目次
▼ 犬の網膜剥離とは?
▼ 犬の網膜剥離の症状
▼ 犬の網膜剥離の原因
▼ 犬の網膜剥離の検査・診断
▼ 犬の網膜剥離の治療
▼ まとめ

犬の網膜剥離とは?

犬の網膜剥離とは、目の奥にある網膜が本来接している組織からはがれてしまう病気です。
網膜は光を受け取って脳へ信号を送る大切な組織で、ここがはがれると光をうまく感じ取れなくなります。
このため、網膜剥離が起こると見え方に影響が出て、ときには急に視力が失われることもあります。

網膜剥離は片方の目だけに起こることもあれば、両方の目に同時に起こることもあるため、注意が必要な病気のひとつです。
とくに網膜剥離が片目だけに発生した場合は、片目の視力はそのままであるため、愛犬の様子の変化に気が付かないことがあります。
はがれてしまった網膜は時間がたつほど元に戻りにくくなるため、できるだけ早く気づいてあげることが大切です。

首を傾げているシーズー

犬の網膜剥離の症状

犬の網膜剥離の症状は、目の見え方の変化として現れることがほとんどです。
ただし犬は嗅覚や記憶を頼りに慣れた場所を歩けるため、飼い主様が気づきにくい場合もあります。
日常で気づきやすいサインとして、以下の3つが挙げられます。

  • 物にぶつかる
  • 目の前のものに反応しなくなる
  • 瞳孔が開いたままになる

それぞれについて解説します。

物にぶつかる

物にぶつかるようになるのは、犬の網膜剥離で見られやすいサインのひとつです。
目が見えにくくなると、愛犬が家具や壁にぶつかったり、歩き方がぎこちなくなったりすることがあります。
とくに模様替えのあとや、初めての場所で戸惑う様子が増えたときは、見えづらくなっているサインの可能性があります。

目の前のものに反応しなくなる

目の前のものに反応しなくなることも、犬の網膜剥離で飼い主様が気づきやすい変化です。
おもちゃを目で追わなくなったり、近づいてくる手に反応しなくなったりすることがあります。
両方の目に網膜剥離が起こると、こうした変化が急に現れることもあるため、いつもと違うと感じたら早めに獣医師へ相談しましょう。

瞳孔が開いたままになる

瞳孔が開いたままになるのも、犬の網膜剥離で見られる変化のひとつです。
通常は光が当たると瞳孔が小さくなりますが、網膜の働きが落ちると光に反応しにくくなり、瞳孔が大きく開いたままになることがあります。
左右の瞳孔の大きさが違うときや、明るい場所でも瞳孔が開いているときは、目の中で異常が起きている可能性があります。

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犬の網膜剥離の原因

犬の網膜剥離の原因は、網膜のはがれ方や背景にある病気によっていくつかに分けられます。
代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

  • 裂孔性(れっこうせい)
  • 滲出性(しんしゅつせい)
  • 牽引性(けんいんせい)

それぞれについて解説します。

裂孔性

裂孔性の網膜剥離は、網膜そのものに裂け目ができることで起こり、犬でもっとも多く見られるタイプです。 
網膜にあいた裂け目から液体が入り込み、網膜が下の組織からはがれていきます。 
加齢による網膜の変化や、目のけがなどがきっかけになることがあります。  

滲出性

滲出性の網膜剥離は、網膜の下に水分や血液の成分がたまることで起こるタイプです。 
代表的な原因が高血圧で、血圧が高い状態が続くと、網膜の血管から成分がしみ出して網膜が押し上げられるようにはがれてしまいます。 
また、ぶどう膜炎などの目の中の炎症も、滲出性の網膜剥離の原因のひとつです。  

高血圧の背景には腎臓やホルモンの病気が、炎症の背景には感染症や免疫の異常が隠れていることもあります。 
そのため、血圧検査や血液検査で全身の状態もあわせて調べてもらうことが大切です。  

牽引性

牽引性の網膜剥離は、網膜が内側から引っぱられることで起こるタイプです。 
目の中の構造の変化や、炎症によって増えた線維組織などが網膜を引っぱり、はがれてしまいます。 
ほかのタイプと重なって起こることもあるため、目の中の状態を詳しく確認することが大切です。

犬の網膜剥離の検査・診断

犬の網膜剥離の検査・診断では、目の状態と全身の状態の両方を確認していきます。
網膜剥離そのものの状態を確かめる検査と、背景にある病気を探す検査を組み合わせることが大切です。
代表的な検査として、以下の3つが挙げられます。

  • 眼底検査
  • 目の超音波検査
  • 血圧検査

それぞれについて解説します。

眼底検査

眼底検査は、犬の網膜剥離を診断するための基本となる検査です。
専用の器具を使って目の奥にある網膜を直接観察し、網膜がはがれている範囲や程度を確かめます。
網膜のはがれ方や血管の様子から、原因を推測する手がかりが得られることもあります。

目の超音波検査

目の超音波検査は、目の奥の様子を超音波画像で確かめる検査です。
出血や濁りで網膜の奥が見えにくいときでも、超音波を使うことではがれた網膜の状態をとらえることができます。
目の超音波検査は体に負担が少ない検査のため、目の中の変化を調べるうえで役立ちます。

血圧検査

血圧検査は、犬の網膜剥離の原因を探るために重要な検査です。
網膜剥離の背景には高血圧が隠れていることが多いため、網膜剥離が疑われるときは必ず行われます。
また、犬の高血圧は腎臓やホルモンの異常によって引き起こされることもあるため、血液検査もあわせて行うことが大切です。

犬の網膜剥離の治療

犬の網膜剥離の治療は、原因に合わせて進めていくことが基本です。
背景にある病気を抑えることと、はがれた網膜への対応の両面から考えていきます。

原因への治療

原因への治療は、網膜剥離を引き起こしている病気を抑えるための治療です。
高血圧が背景にある場合は、血圧を下げる薬で血圧をコントロールしていきます。
炎症が原因の場合は炎症を抑える治療をおこなうことで、はがれた網膜が元に戻るのを助けられることもあります。

レーザー・外科的治療

レーザーや外科的な治療は、はがれた網膜を固定したり戻したりするための治療です。
裂孔原性の網膜剥離などでは、レーザーで網膜を周りの組織に固定する方法がとられることがあります。
犬の網膜剥離は、進行した状態では専門的な手術が必要になる場合もあるため、目の状態に応じて治療方針を検討していきます。

ただし、どちらの治療も早期に実施できなければ視力が戻らないこともあるため、早い段階で眼科に精通した獣医師による診察を受けることが大切です。

遠くを見ているボーダーコリー

まとめ

犬の網膜剥離は、網膜がはがれることで視力を失う可能性の高い病気です。
この病気の背景には、さまざまな原因が隠れています。
愛犬が物にぶつかるなど、目が見えていないように感じたときは、できるだけ早めに動物病院を受診し、目の状態を確かめることが大切です。

サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、網膜剥離をはじめとする目の病気についても経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬の見え方が気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。

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この記事を監修した獣医師によるコメント

今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 眼科担当医
今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 藤沢菖蒲沢院/ 横浜ゆめが丘院 勤務
比較眼科学会に所属し、麻布大学附属動物病院の眼科専科研修医として学びを深めながら、日々の診療に向き合っています。