犬にもドライアイがある?|犬の乾性角結膜炎について獣医師が症状や治療法を解説

#コラム #病気や予防の情報 #眼科
投稿日:2026.06.22 更新日:2026.06.22
雪の中にいるボストンテリア

愛犬の目が充血していたり、目やにが多かったりすると心配になりますよね。
「うちの子の目が、目薬をさしても良くならない」
このような不安を抱えている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

犬の目のトラブルの中でも意外と多い原因のひとつが、ドライアイです。
今回は犬のドライアイの原因や症状、治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目の健康管理にお役立てください。

獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
眼科領域では、専用の検査機器が普及してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかった異常も客観的に評価できるようになりました。
その結果、症状が軽いうちに変化に気づきやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで視力の維持や症状の改善を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。
一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは眼科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。
「目やにが増えた」「目が赤い」「見えにくそうにしている」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。

 📍 目次
▼ 犬のドライアイとは?
▼ 犬のドライアイの症状
▼ 犬のドライアイになりやすい犬種
▼ 犬のドライアイの原因
▼ 犬のドライアイの診断方法
▼ 犬のドライアイの治療法
▼ まとめ

犬のドライアイとは?

犬のドライアイは、正式には乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)といい、涙の分泌が減る病気です。
この病気は、涙を分泌する涙腺と瞬膜腺(しゅんまくせん:まぶたの内側にある涙の分泌腺)の機能が同時に低下することで発症します。

涙の働きのひとつは、角膜や結膜を洗って目を外部の異物や細菌から守ることです。
このため、犬のドライアイにより涙が減って出なくなると、角膜や結膜が炎症をおこして真っ赤になってしまいます。

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犬のドライアイの症状

犬のドライアイでは、主に以下の症状が見られます。

  • ねばねばした目やに
  • 充血
  • 羞明(しゅうめい:目をしばしばする)
  • 角膜の白濁
  • 角膜の色素沈着(角膜に黒いシミができる

症状が軽い場合は、目やにや充血だけのこともありますが、進行すると角膜が白く、または黒く濁ることで視力が低下することがあります。
涙が出ないため、ねばねばとした目やにが目の周りにこびりつくことも特徴的な症状です。

また、ドライアイの症状が長期化すると、治療に反応せず慢性的に目に炎症が残ることもあります。
このため、これらの症状が続くときは早めに動物病院を受診することが望ましいです。

犬のドライアイになりやすい犬種

犬のドライアイは、遺伝が関係していると言われており、以下の犬種で発症しやすいことが知られています。

  • ボストン・テリア
  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • イングリッシュ・ブルドッグ
  • ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
  • ヨークシャー・テリア
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ペキニーズ
  • ミニチュア・シュナウザー

キャバリアやボストンテリアなど、目の大きな犬種が多いことがわかりますね。
これらの犬種と暮らしている場合は、定期的に目の状態を確認しておくことが大切です。

こちらを見ているキャバリア

犬のドライアイの原因

犬のドライアイはさまざまな原因で発生しますが、その中でも以下の3つが原因であることが多いです。

  • 免疫介在性
  • 神経原性
  • 内分泌疾患

それぞれについて見ていきましょう。

免疫介在性(めんえきかいざいせい)

免疫介在性は犬のドライアイの原因として最も多いです。
免疫介在性のドライアイは、自分自身の免疫が誤って涙腺を攻撃して、涙が減ってしまうことで発症します。
自分の免疫が涙腺を攻撃する理由ははっきりわかっていませんが、遺伝が関係していると言われています。

免疫介在性の場合は、早期に治療を始めることができれば、涙の分泌が再開して症状が改善することも多いです。
このため、目が赤い、目やにが増えたなどの症状がある場合ははやめに獣医師に相談しましょう。

神経原性(しんけいげんせい)

神経原性の犬のドライアイは、顔面神経という神経への障害が原因で発症するドライアイです。
顔面神経は涙の分泌に関わる神経であり、この神経が以下のようなきっかけで障害を受けると、涙を分泌させる指令が伝わらなくなります。

  • 外傷・手術
    物理的に顔面神経が傷つく
  • 中耳炎・内耳炎
    顔面神経は中耳・内耳のそばを通るため、炎症により障害を受ける
  • 特発性
    明らかな原因が特定できない

顔面神経が障害を受けると涙の分泌量が減ってしまい、犬の角膜や結膜が炎症を起こしてしまいます。

また神経原性のドライアイの場合は、涙の分泌が減るだけでなく、鼻の表面が乾く症状がみられることも多いです。
このため目の症状だけでなく、鼻が乾いていることに気がついたときは動物病院を受診することが望ましいです。

内分泌疾患

犬のドライアイの原因のひとつに内分泌疾患があります。
以下の3つは犬のドライアイの原因となる代表的な内分泌疾患です。

  • 糖尿病
  • 甲状腺機能低下症
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

いずれの疾患もドライアイへの対症療法だけでなく、基礎疾患のコントロールが眼の状態改善のために重要です。
ドライアイがなかなか改善せず、多飲多尿や体重変化などの全身症状も伴う場合は、内分泌疾患も精査も検討してもらいましょう。

犬のドライアイの診断方法

犬のドライアイの診断には、シルマー試験紙による検査を用います。
この検査は、専用の試験紙を使って犬の涙の分泌量を測る検査です。

まず専用の試験紙を目の縁に1分間挟み、涙を試験紙に染み込ませます。
そして1分後に試験紙の目盛りが15 mmより小さい場合はドライアイが強く疑われます。
正常な犬の涙の分泌量は、シルマー試験紙の目盛りで15〜25 mm程度です。

犬のドライアイが疑われるときは、免疫介在性であることが多いため、試験的な治療を行います。
後で説明するシクロスポリンなどの点眼によって症状の改善が見られれば、その時点で免疫介在性と診断されます。

マルチーズの目

犬のドライアイの治療法

犬のドライアイは完治が難しい病気ですが、適切な治療によって症状をコントロールすることができます。
この病気の治療では、以下の2つが大切です。

  • 点眼薬
  • 基礎疾患の精査

点眼薬

犬のドライアイの治療では以下の点眼薬を用います。

  • シクロスポリン点眼
  • ピロカルピン点眼液
  • 人工涙液・ヒアルロン酸

シクロスポリン点眼

シクロスポリン点眼は、免疫介在性のドライアイに対して最も広く使われる点眼薬です。
この薬は、涙腺への免疫の攻撃を抑えることで、涙が再び分泌されるように促します。

ピロカルピン点眼液

ピロカルピン点眼液は、神経原性のドライアイの犬に対して用いられる薬です。
この薬は点眼液ですが、神経原性ドライアイの治療では犬の口に投与して使用します。
ピロカルピンという成分が犬の涙腺を刺激して、涙の分泌を促すことでドライアイを改善します。

人工涙液・ヒアルロン酸

人工涙液・ヒアルロン酸は、薬剤によって涙の分泌が回復しない犬のドライアイに用いられることが多いです。
治療反応に乏しく、犬が自力で涙を分泌できなくなった場合は、自力で目の表面についた異物や細菌を洗い流すことが出来ません。
このため人工涙液やヒアルロン酸によって直接目の表面に潤いを与えて、目が炎症を起こさないようにすることが大切です。

基礎疾患の精査

犬のドライアイの治療では、基礎疾患の精査が重要です。
内分泌疾患などの基礎疾患が原因でドライアイを発症している場合は、基礎疾患の治療を行わないと目の症状は改善しません。

検査の結果、基礎疾患があった場合は、点眼治療とあわせて、基礎疾患の治療を行う必要があります。

まとめ

犬のドライアイは、涙液の分泌が低下することで角膜や結膜に炎症が起きる病気です。
とくにドライアイを発症しやすい犬種では注意が必要です。
目やにが増える、目の充血が続くといった場合は、ドライアイが隠れているケースもあるため、早めに獣医師に検査をしてもらうことをおすすめします。

サーカス動物病院グループでは眼科診療に力を入れており、専門スタッフが愛犬の目の状態をしっかりと診察いたします。
愛犬の目やにが気になるという飼い主様は、お気軽にご相談ください。

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この記事を監修した獣医師によるコメント

今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 眼科担当医
今井琢磨(いまいたくま)
サーカス動物病院 藤沢菖蒲沢院/ 横浜ゆめが丘院 勤務
比較眼科学会に所属し、麻布大学附属動物病院の眼科専科研修医として学びを深めながら、日々の診療に向き合っています。