
「うちの子の体にやわらかいしこりがある」
「このしこりは様子を見ていいの?」
このように心配されている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
犬の皮膚の下にできるしこりの中でも、特によくみられるものに脂肪腫があります。
今回は犬の脂肪腫の特徴や診断方法、治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のしこりに気がついたときにお役立てください。
獣医師からのメッセージ:まずはお気軽にご相談ください。
腫瘍科領域では、画像検査や病理検査などの診断方法が充実してきたことで、これまで見た目だけでは判断が難しかったしこりの性質も、客観的に評価できるようになりました。
その結果、しこりが小さいうちに発見しやすくなり、早い段階で適切な治療につなげることで、愛犬の負担を抑えながら良好な経過を目指すことができるようになっています。
多くの動物病院は総合診療として幅広い相談に対応できる点が強みです。
一方で、獣医療の進歩に伴い、すべての分野で常に高い専門性を維持することが難しいという側面もあります。
サーカス動物病院グループでは腫瘍科診療にも力を入れており、経験を積んだ獣医師が診療にあたっております。
「しこりが急に大きくなってきた」「できものが増えてきた」「良性か悪性かはっきりさせたい」「なかなか良くならない」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずにぜひご相談ください。
愛犬の状態に合わせた最適なケアを、一緒に考えていきましょう。
| 📍 目次 ▼ 犬の脂肪腫とは? ▼ 犬の脂肪腫ができやすい犬種 ▼ 犬の脂肪腫の診断 ▼ 犬の脂肪腫の治療 ▼ まとめ |
犬の脂肪腫とは?
犬の脂肪腫とは、皮膚の下にある脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。
この腫瘍は8歳以上の犬によく発生し、見た目や質感に以下の特徴があります。
- 触るとやわらかい
- ドーム状に盛り上がっている
- 周囲との境界がわかりやすい
脂肪腫は1個だけ(単発)のこともあれば、複数(多発)できることもあります。
脂肪腫の大きさは直径1cmほどの小さなものから、少しずつ大きくなって30cmほどの塊になるものもあります。
通常はドーム状で、境界がはっきりしており、触ると柔らかくタプタプしていますが、時に硬いものもあります。
また、犬の脂肪腫は以下の部位にできやすいです。
- 胸部
- 腹部
- 四肢の付け根
脂肪腫は良性の腫瘍であり、転移したり命に関わることはありませんが、浸潤性脂肪腫というタイプの場合は注意が必要です。
犬の浸潤性脂肪腫(しんじゅんせいしぼうしゅ)
犬の浸潤性脂肪腫は、筋肉や腱、間接、骨といった組織に入り込むように広がるタイプの脂肪腫で、その部分が物理的に動かしづらくなったり、痛みが生じたりすることがあります。
この腫瘍は通常の脂肪腫とは違い、周囲との境界がはっきりしないことが特徴です。
浸潤性脂肪腫は転移することはありませんが、周りの組織を巻き込みながら広がるため、早期に外科切除する必要があります。
犬の脂肪腫ができやすい犬種
犬の脂肪腫ができやすい犬種は、以下が挙げられます。
- コッカー・スパニエル
- ダックスフント
- ドーベルマン
- ラブラドール・レトリバー
- ミニチュア・シュナウザー
これ以外の犬種でも脂肪腫が発生することは珍しくないため、日頃から愛犬の体にしこりができていないかよく観察しましょう。
犬の脂肪腫の診断
犬の脂肪腫の診断は、以下の検査によって行われます。
- 細胞診
- 病理組織学的検査(びょうりそしきがくてきけんさ)
見た目や触った感触で脂肪腫が疑われても、それだけで診断をすることはできません。
悪性の腫瘍でも触るとやわらかいものがあるため、検査を行った上で判断することが大切です。
細胞診
細胞診はしこりに細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。
麻酔をかけずに行えることがほとんどで、犬への負担も少ない検査といえます。
細胞診によって採取したものが油のような見た目をしていて、脂肪細胞が確認された場合は、脂肪腫が疑われます。
ただし、この検査ではしこりが脂肪腫であるという確定診断をすることはできません。
確定診断をするには、病理組織学的検査が必要です。
病理検査
病理検査はしこりの一部、または全体を切除して、顕微鏡でしこりの細かな構造を観察する検査です。
この検査では犬の脂肪腫の確定診断をすることができ、さらに通常の脂肪腫と浸潤性脂肪腫を見分けることができます。
また細胞診で良性だと判断しても、病理検査で悪性腫瘍と判明することもあるため、なるべく病理検査を行うことが望ましいです。

犬の脂肪腫の治療
犬の脂肪腫の治療は、大きく分けて経過観察と外科切除の2つです。
それぞれについて解説します。
経過観察
経過観察は、小さくて境界がはっきりした脂肪腫に対して、治療をせずに定期的に様子を確認していく方法です。
犬の脂肪腫は良性の腫瘍であるため、生活に支障がなければ無理に切除する必要はありません。
しこりの大きさや硬さに変化がないか、定期的にチェックすることが大切です。
外科切除
外科切除は、脂肪腫を手術で取り除く治療です。
犬の脂肪腫が疑われるときは、以下のような場合に外科切除が検討されます。
- 大きさが急速に増大している場合
- 脇や内股などにできて、足を動かしにくくなっている場合
- 筋肉と筋肉の間(筋間)にできて、痛みを伴う場合
- しこりと周囲の境界がはっきりしない場合
脂肪腫は良性腫瘍ですが、大きさやできた場所によっては歩き方に影響したり、痛みの原因になったりすることがあります。
このため、愛犬の生活の質に影響を与えているかどうかも手術の判断において重要です。
完全にしこりを取りきれた場合、脂肪腫は同じ場所には再発しないことがほとんどです。
また、しこりと周囲の境界がはっきりしない場合は浸潤性脂肪腫の可能性があるため、積極的に手術を行うことが望ましいです。
浸潤性脂肪腫は転移はしませんが、手術後に再発する症例も多いといわれています。
このため、治療後も定期的に経過を確認していくことが大切です。

まとめ
犬の脂肪腫は、皮膚の下にできるやわらかい腫瘍であり、中齢から高齢の犬によくみられます。
多くの脂肪腫は経過観察で問題ありませんが、急に大きくなったり、足の動かしにくさや痛みにつながったりしている場合には、外科切除が必要になることもあります。
また、筋肉などの奥に広がる浸潤性脂肪腫が疑われる場合は、なるべく早く切除することが望ましいです。
サーカス動物病院グループでは腫瘍科の診療にも力を入れており、しこりの検査から手術まで経験豊富な獣医師が対応しております。
愛犬のしこりが気になる飼い主様は、ぜひ当動物病院グループまでお気軽にご相談ください。
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