犬の膿皮症の症例について解説|皮膚が赤くブツブツしているのは膿皮症?

2026.02.07
服を着て横になっているトイプードル

犬の皮膚に赤いブツブツやかさぶたができているのを見つけて、不安になったことはありませんか?
これらの症状はちょっとしたニキビのようなものに見えても、その裏には膿皮症という細菌が関与する病気が隠れていることもあります。

この記事では犬の膿皮症の原因や対策などを、獣医師が実際の症例も紹介しながら詳しく解説します。
犬の皮膚トラブルにお悩みの方はぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚の健康を守りましょう。

 📍 目次
 ▼ 犬の膿皮症とは
 ▼ 犬の膿皮症は人や他の犬にうつる?
 ▼ 犬の膿皮症の治療法とは
▼ 実際の症例
▼ まとめ

犬の膿皮症とは

膿皮症は犬の皮膚に細菌が異常増殖することで起こる皮膚の感染症です。
膿皮症のおもな原因となるのは、普段から犬の皮膚に存在する常在菌の一種であるブドウ球菌です。
ブドウ球菌は通常悪さをしませんが、皮膚のバリア機能が弱ると一気に増殖し、毛穴や皮膚に炎症を起こします。
膿皮症は「とびひ」と呼ばれる人間の病気に似ていて、適切な治療を行わないと症状が広がっていくことが多いです。
犬の膿皮症では以下のような症状に注意しましょう。

  • 赤いブツブツやニキビのような発疹
  • 黄色い膿がたまった膿疱(のうほう)
  • かさぶたやフケ
  • 強いかゆみ

これらの症状は体の一部に限定して現れることもあれば、全身に広がることもあります。
特に、高温多湿になる梅雨から夏にかけては細菌が繁殖しやすいため、症状が悪化しやすい傾向にあります。
犬の皮膚の状態をこまめにチェックし、異常があれば早めに動物病院を受診しましょう。

犬の膿皮症は人や他の犬にうつる?

抱っこされているトイプードル

「犬が膿皮症になったら、家族や同居犬にうつらないか心配」
犬が膿皮症と言われた場合、このような心配をされる方もいると思います。
しかし、膿皮症は基本的に人や他の犬にうつることはほとんどありません。
膿皮症の原因菌であるブドウ球菌は犬特有の常在菌で、人に感染症を起こす黄色ブドウ球菌とは種類が異なります。

ただし、犬に噛まれたり引っかかれたりした場合、また免疫力が低下している方や乳幼児が濃厚に接触した場合などは注意が必要です。
犬と触れ合った後は、必ず手を洗うことを習慣づけましょう。
犬が膿皮症になった場合は過度に心配する必要はありませんが、基本的な衛生管理を意識することが大切です。

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なぜ犬は膿皮症になりやすい?

膿皮症の発症には、背景に皮膚バリア機能を低下させるさまざまな原因が隠れていることがほとんどです。
ここでは犬の膿皮症の代表的な原因をご紹介します。

皮膚が薄い

意外かもしれませんが、犬の皮膚は人の皮膚の1/3程度の薄さしかありません。
皮膚が薄いため、物理的な刺激や乾燥に弱く、細菌が侵入しやすい構造になっています。
さらに、被毛に覆われているため通気性が悪く、細菌が繁殖しやすいため、膿皮症を発症することが多いです。

皮膚のpHがアルカリ性

人間の皮膚は弱酸性に保たれており、これが細菌の増殖を抑制する働きをしています。
一方、犬の皮膚はアルカリ性であり、細菌の多くはアルカリ性環境を好むため、犬の皮膚では細菌が繁殖しやすいです。
皮膚のpHも犬が膿皮症になりやすい理由の一つです。

膿皮症の原因となる基礎疾患がある

実は膿皮症の背景には別の病気が隠れているケースも少なくありません。

  • 犬アトピー性皮膚炎
  • ホルモンの病気(甲状腺機能低下症やクッシング症候群など)
  • 寄生虫感染
  • 先天性の皮膚疾患

などがあると、皮膚のバリア機能が低下し、二次的に膿皮症が発生しやすくなります。

膿皮症が治ってもすぐ再発する場合は基礎疾患が隠れていないかを確認する必要があります。

季節的な要因

膿皮症は春から夏にかけて発症が増加する傾向があります。
これは細菌が高温多湿の環境を好むためです。
梅雨時期や真夏の蒸し暑い日には、特に注意が必要です。
気温や湿度が上がる季節には、犬の生活環境をより清潔に保ち、こまめなブラッシングやシャンプーで皮膚を清潔に保つよう心がけましょう。

犬の膿皮症の治療法とは

風呂に入るチワワ
膿皮症の治療は大きく分けて「全身療法」と「局所療法」を組み合わせて行います。
また、スキンケアも治療や再発防止に重要です。
ここでは膿皮症の治療について詳しくみていきましょう。

全身療法

全身療法とは抗生物質の内服薬による治療です。
通常、膿皮症の治療では3〜4週間程度の投薬が必要となります。
重要なのは、症状が改善したように見えても、獣医師の指示通り最後まで飲み切ることです。
中途半端に治療をやめてしまうと、細菌が完全に除去されず再発の原因となります。
また、抗生物質に耐性を持つ菌が現れるリスクもあるので注意しましょう。

局所療法

局所療法は皮膚の表面から直接アプローチする治療で、治療効果を高めるために重要です。
局所療法ではクロルヘキシジンなどの抗菌成分を含む薬用シャンプーを使用し、皮膚表面の細菌を物理的に洗い流します。
シャンプーの際は、泡を皮膚にしっかり接触させ、10分程度時間を置いてから洗い流すことで、抗菌効果を最大限に発揮させることが可能です。
症状が限定的な場合や内服薬の補助として、抗菌成分を含む塗り薬が処方されることもあります。
抗菌シャンプーについての解説はこちらを合わせてお読みください。
犬へのクロルヘキシジンの使い方について解説|犬の抗菌シャンプーの成分の一つ

スキンケア

膿皮症の治療や再発予防には保湿などのスキンケアも大切です。

膿皮症を発症している犬の多くは、皮膚のバリア機能が低下しています。
シャンプー後は皮膚が乾燥しやすいので、必ず保湿をしてあげることが大切です。
保湿剤にはローションタイプ、スプレータイプなどさまざまな製品があるので、それぞれの犬にあったものを使用しましょう。
最近では、抗菌成分と保湿成分を同時に配合したスキンケア製品も登場しており、毎日のケアがより手軽になっています。

実際の症例

ここからは、実際の膿皮症の症例写真をもとに、どのような皮膚変化がみられるのかを解説します。

見た目の特徴と膿皮症のタイプを結びつけて理解することで、犬の皮膚トラブルに早く気づくヒントになります。

お腹に赤いブツブツが広がった犬の膿皮症

腹部に広がった膿皮症

こちらの写真は、犬の腹部から内股にかけて赤いブツブツや小さな膿疱が多数みられる症例です。
被毛が薄い腹部は皮膚の状態が観察しやすく、膿皮症の初期変化が現れやすい部位でもあります。
膿皮症では、はじめはニキビのような小さな発疹から始まり、進行すると膿疱やかさぶたが形成されます。
腹部は地面や床に接触しやすく、湿気がこもりやすいため、皮膚バリア機能が低下すると細菌が増殖しやすいです。
この写真のような所見が見られた場合、早めに動物病院で適切な診断と治療方針を立てることが、膿皮症の悪化や再発を防ぐうえで重要です。

背中に脱毛とフケが目立つ膿皮症(細菌性毛包炎)

細菌性毛包炎の犬

こちらの写真は、犬の背中に沿って被毛が薄くなり、白いフケが目立っている症例です。
赤みや膿疱がはっきりしないため、一見すると皮膚病と気づかれにくいこともありますが、実際には細菌性毛包炎によくみられる外観です。

細菌性毛包炎では、ブドウ球菌などの細菌が毛穴の中で増殖し、毛包に炎症が起こります。

このようなタイプの膿皮症では、強いかゆみや赤い発疹が目立たないことも多く、
「毛並みが悪くなった」
「フケが増えた」
といった変化だけが手がかりになることもあります。
見た目の変化が軽度でも、皮膚の内部では炎症が続いているため、適切な治療とスキンケアが必要です。

まとめ

犬の膿皮症は皮膚の常在菌が異常増殖することで起こる皮膚病です。
膿皮症の背景にはアレルギーなどの根本的な原因が隠れていることが少なくありません。
膿皮症は根本原因を特定し、治療することが大切です。
また、薬用シャンプーと保湿を軸とした正しいスキンケアで皮膚のバリア機能を回復させることも不可欠です。
それぞれの犬で適したスキンケアが違うので、獣医師と相談しながら愛犬に合ったケアを見つけましょう。
犬の膿皮症でお悩みの方は当院まで気軽にお問い合わせください。

サーカス動物病院

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