犬の乳腺腫瘍に使う抗がん剤について解説

2025.12.07

乳腺腫瘍は犬にとても多い腫瘍で、治療の多くは手術です。
しかし場合によっては手術に加えて抗がん剤治療が必要になるケースもあります。

今回は犬の乳腺腫瘍で行われる抗がん剤治療の進め方や副作用などについて分かりやすく解説します。
抗がん剤治療に不安のある飼い主さまの参考になれば幸いです。

薬のバイアル
 📍 目次
 ▼ 犬の乳腺腫瘍とは
 ▼ 乳腺腫瘍に使う抗がん剤とは
 ▼ 抗がん剤を使うかどうかの判断基準
 ▼ 犬の乳腺腫瘍で使われる主な抗がん剤
 ▼ 抗がん剤治療中の副作用と対策
▼ 抗がん剤治療の流れ
 ▼ まとめ

犬の乳腺腫瘍とは

乳腺腫瘍は乳腺にできる腫瘍のことで、良性の場合も悪性の場合もあります。
犬の乳腺腫瘍は避妊手術をしていない高齢のメス犬で多くみられます。
悪性の場合はリンパ節や肺へ転移しやすいため命に関わることが多く、慎重な治療計画が必要です。
乳腺腫瘍は腫瘍の大きさや進行度などによって治療方法が異なり、状況によっては手術と抗がん剤治療を両方おこなう必要があります。

乳腺腫瘍に使う抗がん剤とは

乳腺腫瘍の抗がん剤治療は手術だけでは取りきれない微小転移への対策や、すでに転移している腫瘍の進行をおさえる目的でおこなわれます。
微小転移への対策はレントゲンや超音波ではみえない細胞レベルの転移を抑え、再発リスクを下げることが主な目的です。
抗がん剤はみえない転移だけでなく、すでに転移している腫瘍の進行をなるべく遅らせ、生活の質を保つための治療としても重要な役割をもっています。
抗がん剤を使うかどうかは、腫瘍の悪性度などにより総合的な判断が必要です。
副作用のコントロール技術が進歩しているため、抗がん剤治療は昔より安全に行えるようになっています。

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抗がん剤を使うかどうかの判断基準

抗がん剤は、すべての乳腺腫瘍で必要というわけではありません。
治療の選択は腫瘍のタイプやご家族の希望など、さまざまな要素を組み合わせて決めていきます。
次のような場合に抗がん剤治療が検討されます。

  • 病理検査で悪性度が高かった場合
  • 転移が見つかった場合
  • 腫瘍が大きかった場合
  • 血管やリンパ管へ浸潤があった場合
  • 完全切除が難しかった場合

これらは再発リスクが高い状態と判断されるため、抗がん剤の使用をすることがあります。
逆に低悪性度の場合や小さな腫瘍の場合なら、多くの場合は手術だけの治療になります。

診察されるヨークシャーテリア

犬の乳腺腫瘍で使われる主な抗がん剤

犬の乳腺腫瘍で使われる主な抗がん剤としては以下のようなものがあげられます。

  • ドキソルビシン
  • カルボプラチン
  • シクロフォスファミド
  • トラセニブ

以下に詳しく解説していきます。

ドキソルビシン

ドキソルビシンは犬の乳腺腫瘍で最も使用頻度の高い抗がん剤で、特に悪性度が高い乳腺腫瘍に対して効果が期待できます。
代表的な副作用として白血球減少や心毒性などがありますが、現在は副作用のコントロールも進んでおり、昔より危険性は低くなっている傾向にあります。
ドキソルビシンは心臓に負担をかける可能性があるため、治療前に心臓検査を行うことが多い薬です。 

カルボプラチン

カルボプラチンは骨肉腫などに使われることが多い薬ですが、乳腺腫瘍でも効果が認められています。
ドキソルビシンに比べて心臓への負担が少なく、副作用が比較的マイルドです。
そのためカルボプラチンは高齢犬や心臓に持病のある犬でも使いやすいとされています。

シクロホスファミド

シクロフォスファミドは内服タイプの抗がん剤として使われることが多い薬です。
点滴薬に比べて自宅での管理がしやすく、ほかの抗がん剤と組み合わせて使うために処方されることもあります。
副作用としては出血性膀胱炎が有名で、水分をしっかり取らせたり、投薬方法を工夫したりなどの対策が必要です。

トラセニブ

トラセニブは分子標的薬とよばれる新しいタイプの抗がん剤で、従来の抗がん剤よりもピンポイントで作用しやすいのが特徴です。
全ての乳腺腫瘍で使えるわけではありませんが、腫瘍細胞にトラセニブが効きやすいタイプの変化がある場合に選択されることがあります。
トラセニブは内服薬のため通院負担が少なく、効果が期待できる症例では大きな選択肢になります。
副作用として食欲低下や肝臓の数値上昇などが出ることがあるため、定期的な血液検査と慎重な投与管理が必要です。

抗がん剤治療中の副作用と対策

抗がん剤というと苦しい治療のイメージがありますが、副作用が出るかどうかは薬の種類や体質で大きく変わります。
以下が抗がん剤でよくみられる副作用です。

  • 食欲低下
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 白血球減

副作用の対策として、吐き気止めの併用や血液検査での安全確認などを行いながら治療が進められます。
抗がん剤治療中でも普段と大きく変わらない生活を送りながら治療できる犬もいますね。

抗がん剤治療の流れ

抗がん剤治療は数週間おきに静脈点滴から抗がん剤を入れる形が一般的です。

  1. 抗がん剤を使えるかの検査
  2. 治療スケジュールの決定
  3. 抗がん剤投与
  4. 自宅での様子観察
  5. 次回来院での血液検査 → 次の投与へ

抗がん剤治療の間隔や抗がん剤の種類は途中で体調に応じて調整していきます。
治療の目的は生活の質を保ちながら再発を抑えることで、無理をして続ける治療ではありません。

カレンダーとペンと時計

まとめ

犬の乳腺腫瘍は手術だけで完治できるケースもある一方で、悪性度が高い場合や転移リスクがある場合には、抗がん剤が大切な役割を果たします。
抗がん剤はこわい治療に思えますが、今は副作用を抑えるサポートがあり、多くの犬が普段と変わらない生活を送りながら治療できます。
乳腺腫瘍と診断されたら、まずは治療の目的と方針をしっかり獣医師と相談することが大切です。

当院では腫瘍の治療に力を入れており、豊富な抗がん剤の使用実績があります。
少しでも不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

サーカス動物病院

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